スズキは、成長するにつれ名前が変わるところから、出世魚と呼ばれる魚です。
生後1年(20~25cm)はセイゴ、生後2年(30~50cm)はフッコ、生後3~4年以上(50cm以上)はスズキ、と分類され、全長1メートルに達するものもあります。
日本各地の沿岸の岩礁域から内湾砂底域にまで生息していますが、成長とともに季節的な移動を行います。産卵は、冬から春にかけて、水深50cm以上のやや深い場所で行われます。孵化した仔魚は浮遊生活をしながら成長し、春になって稚幼魚に成長すると、内湾の藻場や浅瀬などに出ていきます。若魚になると、河川で群れをなし、河川にもある程度遡上します。冬になると沿岸のやや深い場所で生活し、翌年の春から夏には内湾の浅瀬で生活します。
漁法は定置網や巻き網のほか、一本釣りでも漁獲されます。信じられないことですが、統計ではスズキの漁獲量は東京湾が全国一とのこと。工場汚水の規制が効果したのか、東京湾の海水がきれいになり、その工場汚水が浄化された後の暖かい水が東京湾に放流されてプランクトンが増えました。そのプランクトンを食べに、カタクチイワシなどの小魚が集まり、そのカタクチイワシを狙うスズキおよびボラなどの大きな魚が増えるという食物連鎖反応の結果です。スズキはウナギまたはボラと混養される魚でもあります。混養とは、互いに競争関係にない対象魚種を同時に養殖するという意味です。
旬は春から夏で、刺し身、洗い、塩焼き、蒸し物、椀種として淡白で美味。くせがないので、ムニエルやバター焼き、フライや、空揚げにして中国風あんかけ料理にも利用できます。秋から初冬の卵巣の大きなものも好まれます。
宇和島屋では、学名的には異なりますが、California Sea-Bass の名前で類似品があります。20年以上前には白身の刺身用としてこれをカリフォルニアから入荷して販売していました。その後、回遊あるいは海流の変化か、資源の減少か、今ではアジ、およびイワシと同様、カリフォルニアからの入荷が減少し、シアトルでは California Sea-Bass は忘れられてしまいました。
掲載:2007年6月
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