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トリガイ (漢字名:鳥貝、分類:マルスダレガイ目ザルガイ科、英名: Japanese egg cockle)

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トリガイは、日本の本州の陸奥湾から九州・朝鮮半島・中国沿岸の内湾に分布している貝で、殻長・殻高は8センチくらいになり、殻は薄質でよく膨れて丸く、殻の内面は薄紫赤。足は先がとがっていて、殻の中では折れ曲がっています。トリガイという名は、身の質が鶏肉に似てるという説と、くの字に曲がった足の形が鳥の頭に似ているからという説があります。

1年しか育たない二枚貝で、春から夏にかけて育ち、七月頃に大きくなりますので、この時期に採取して加工出荷されますが、冷凍保管され、シーズン外に出荷されることもあります。殻付きとしての入荷はほとんどなく、産地(九州)で加工した足だけが主に入荷されます。この足は甘みがあって美味で、厚いものが上物とされています。すし種に使われるほか、酢の物や刺し身で食べるのが主です。

宇和島屋でも以前何度かは取り扱いましたが、どうも米国人向きではなく、販売を中止しました。売れ行きが悪かった理由は、加工したトリガイは全体に黒紫っぽい色になり、三角状の形が一般的に日本人以外には馴染みがないことと、イカ、およびタコのような食感が受け入れられなかったためとも思われます。

トリガイは、筆者の思い入れのある鮨だねの1つです。50年前頃、父が会社か業界の新年会や忘年会、あるいは宴会で出る折り詰めの鮨を我々3人の息子に少しでも食べさせようと思って、あるいはおみやげとして持たされたかで、よく持ち帰ってきました。その中に必ずトリガイの鮨があり、甘い味と食感が好きで、好んで食べた懐かしさが思い出されます。何もない時代で、貧乏な筆者の家ではこの折り詰め鮨はとんかつ入りの仕出し折り詰めと共に大変なご馳走で、今でもこの折り詰めの木箱の香りは忘れられません。

掲載:2007年11月

『お魚豆知識』 は、宇和島屋鮮魚部の沖良三さんが発行している 『Seafood Newsletter』 の一部です。宇和島屋の入荷商品やおすすめ商品の情報が満載ですので、ぜひご購読ください。お申し込みは seafoodnews@uwajimaya.com まで、日本語でどうぞ。

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