土用の丑の日。我々日本人には江戸時代から土用の丑の日を中心に夏場にウナギ(Eel:鰻)の蒲焼きを食べる習慣があります。
蒲焼きは関東と関西では料理法が異なる上、割き方にも違いがあります。関東では “切腹” を嫌って背開きにし、関西では腹開きにします(余談ですが、昔筆者が東京足立区の綾瀬川でウナギを釣った際、母は腹開きにした記憶があります。ちなみに、母は関西育ちですが、本人は蒲焼きを作ることに夢中で、無論背開き腹開きに関し深く考えずに腹開きしたと思われます)。蒲焼きを筆頭に、ウナギは白焼き・八幡巻き(ゴボウを巻く)、う焼き(卵焼きを巻く)・佃煮として非常に美味です。また、栄養もいっぱいで、食欲増進効果があり、不足すると疲れやすくなるというビタミン B1がカツオの3倍、牛肉の6倍も含まれるなど、体に良さそうなものが一通り含まれています。
それでは、栄養がいっぱいのウナギはどこから来るのでしょうか。ウナギ属魚類の祖先はニューギニア海域で生まれ、世界中に分散していったと考えられています。ウナギ属魚類18種のうち、ほとんどが同地域の熱帯域に分布するからなどというのがその理由です。ニホンウナギについても日本では熱心に産卵場所探索が行われ、ごく最近になってその場所がマリアナ諸島西方海域であることがようやく分かってきました。産卵後の仔魚は葉形の幼生となり、北赤道海流に乗って西へ運ばれ、そのままフィリピン西方を北上し、台湾東方海域で黒潮に乗り換えます。ここまでで孵化後3ヶ月たっていますが、このころから変態を始め、およそ3週間後に透明なシラスウナギとなります。シラスウナギは10月~6月に台湾・中国・韓国、そして日本各地に接岸回遊し、河川を上がります。養殖種苗には河口付近で捕獲したシラスウナギを用い、台湾・中国で6ヶ月~12ヶ月かけて成魚になるまで養殖し、ウナギ蒲焼きの原料となります。
掲載:2005年7月
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