MENU

サクラエビ (桜蝦)

  • URLをコピーしました!

サクラエビ(桜蝦)は浮遊性のエビです。生きてるいる時は透明感のある体に紅赤色の色素胞が多数散らばっていますが、干すと全身が鮮やかな桜色に変わります。体には発光器が約160個あるそうですが、実際の発光は観察されておらず、その存在の理由はわかっていません。昼間は200mほどの深さにいますが、夜間には表層に浮上して餌を食べ、明け方に深みに戻ります。寿命は15カ月。

静岡県の駿河湾は有名な産地で、浮上した群れを捕獲します。東京湾や相模湾にも分布していますが、駿河湾での水揚げ量が圧倒的で、年間7,000トン(約200億匹)を誇ります。釜揚げや天ぷらとして食べられますが、干しても生のままでも食べられます。カルシウムやリン等の無機質が他のエビとは比較にならないほど多く、タンパク質も豊富で、優れた栄養成分の食材です。釜揚げしたサクラエビは多数の色素胞のために桜色に見え、干したサクラエビは乾燥するとますます赤みが濃くなります。

サクラエビはコエビ類ですが、卵を海中に産み放すために、広い意味ではクルマエビ類に含まれます。なお、コエビを漢字で書くと 『小蝦』 で、大型のクルマエビ類などは 『海老』 です。英語でも使い分けをし、小型種は “shrimp”(一般に小型種は茹でたり干したりといった加工が主)、大型種は “prawn”(冷凍が一般的)。しかし、実際には非常にあいまいに使われているようです。

宇和島屋鮮魚部でも、サクラエビは日本産の色の鮮やかな 『天日干し: すぼし海老』 として販売しています。品切れにならないようにしていますので、お好み焼きや海老かき揚げなどを作る際は、ぜひお買い求め下さい。

戦後のどさくさが色濃く残る昭和26~27年頃に筆者が住んでいた東京荒川区南千住辺りでは、お好み焼きのようなものがモンジャと呼ばれていました。水でといたうどん粉とキャベツなどを加熱させた鉄板の上に流し、これを薄い金製のヘラでかき回しながら、固まる頃を見計らってソースをかけ、フーフー言いながら食べるという、子供相手の食べ物でした。赤っぽいものを入れた記憶はありませんので、サクラエビはおそらくその後に入れるようになったのでしょうか。何もない殺風景な時代でしたから、近所の遊び仲間ではモンジャを食べに行くことが格好がいいとされていました。

掲載:2006年3月

『お魚豆知識』 は、宇和島屋鮮魚部の沖良三さんが発行している 『Seafood Newsletter』 の一部です。宇和島屋の入荷商品やおすすめ商品の情報が満載ですので、ぜひご購読ください。お申し込みは seafoodnews@uwajimaya.com まで、日本語でどうぞ。

  • URLをコピーしました!

この記事が気に入ったら
フォローをお願いします!

もくじ