シアトル地域には、さまざまな美術館や博物館が点在しています。ここでは、米国博物館協会(American Association of Museums)に認可されているミュージアムを含む、ぜひ訪れたい美術館や博物館をご紹介します。
シアトル美術館
ハンマーを打ち下ろす黒い大きな彫刻 『ハマリング・マン(Hammering Man)』 が目印。地元では、頭文字をとって 『SAM』(サム)と呼ばれています。北西部屈指の規模を誇る収蔵品は2万4千点以上あり、日本をはじめとするアジアの美術品も数多く所蔵しています。
シアトル・アジア美術館
2020年2月8日にリニューアルオープン。ボランティア・パークにあるアールデコ様式の建物で1933年に「シアトル美術館」として開館したのが始まり。1991年にダウンタウンに完成した建物にシアトル美術館が移転し、その創設ディレクターを務めたリチャード・E・フラー博士とその家族が1900年代初期から収集していたアジアの美術品を中心としたアジア美術専門の美術館として1994年に開館しました。
オリンピック彫刻公園
海を臨むオープンエアの敷地に、ユニークな彫刻作品20数点を展示している彫刻公園。作品の説明を読みながらゆっくりと楽しめる設定になっています。パビリオンの内外で、一年を通じてさまざまなイベントも開催されています。
チフーリ・ガーデン・アンド・ガラス
ワシントン州タコマ市出身で国際的に有名なガラス・アーティスト、デール・チフーリ氏(1941~)の特徴的な作品を多数展示した広さ1.5エーカー(1,836坪)の庭園。シアトルのランドマークの一つ、スペースニードルのあるシアトル・センターに2012年5月末にオープンし、新しい観光名所となっています。
ポップ・カルチャー博物館
シアトル出身でマイクロソフト共同創業者の故ポール・アレン氏が莫大な資金を投資し、2000年に開館した博物館。開館当時はポップミュージックを専門としていましたが、2017年に音楽を含むポップカルチャーの博物館となりました。館内には1980年代にシアトルから始まったグランジロックを含むノースウェストのポップミュージック史の展示 『ノースウェスト・パッセージ』 をはじめ、ジャズ・ブルース・ロック・ヒップホップ・パンクのルーツなど40年代からの音楽史を学べる 『マイルストーン』、ジミー・ヘンドリックス・ギャラリー、ギター・ギャラリー、ドラムやキーボードなどの楽器の演奏を学べる 『サウンド・ラボ』、映画に関連する展示などが楽しめます。ビルバオ・グッゲンハイム美術館や神戸の「フィッシュ・ダンス」などを手掛けた著名建築家フランク・ゲーリー氏がデザインした、なんとも不思議な形の建物は一見の価値あり。
パシフィック・サイエンス・センター
シアトル・センターにあるパシフィック・サイエンス・センターは、科学・数学・テクノロジーを子供から大人まで誰もが楽しめる体験型の博物館。1962年にシアトルで開催された世界博覧会で米国科学パビリオンとして公開された後、民間非営利団体のパシフィック・サイエンス・センターとして生まれ変わり、科学&テクノロジー・センターとして設立された米国初の博物館となりました。生物や科学に対する知識を深めてもらうことが目的で、観察と体験を通して自然界に冠する発見と学びを提供する展示が中心となっています。宗教にもとづく観点の違いから米国では論争になることもある進化論に関しては、「進化論は科学的な現実」という立場を取っており、「現在地球上に生息する生物は約40億年前に単細胞生物から進化した」と説明しています。
航空博物館
シアトルの玄関口であるシアトル・タコマ国際空港の北約8.5マイル(約14キロ)、シアトルの中心地であるダウンタウン・シアトルの南約7マイル(約11キロ)にある航空博物館。米国西海岸では最大かつ最も完成度の高い航空機を所蔵していることで有名で、館内のグレート・ギャラリーにはさまざまな時代の航空機が展示されているほか、リアルなフライト・シュミレーションを体験できる乗り物などもあります。
フライ美術館
1858年にアイダホで生まれ、シアトルで精肉梱包会社を興して大成功を収めたドイツ系アメリカ人のチャールズ・フライと、その妻で同じくドイツ系アメリカ人のエマが数十年かけて収集した19世紀から20世紀の具象派を中心とする作品の常設展が楽しめます。また、期間限定の特別展やイベントも開催しています。
バーク・ミュージアム
1885年に若手自然研究家たちが創設したバーク・ミュージアムは、米国北西部(パシフィック・ノースウエスト)の土地、植物、動物、ネイティブ・アメリカンの歴史や文化などについて伝える博物館。2019年秋に移転オープン。ワシントン州唯一の恐竜の化石を含む所蔵品1600万点の約60%が、6つのギャラリー、遊び場、ラボ、ワークルームなど12のスペースで公開され、敷地内では8万種類の在来植物が栽培されています。周囲の自然と調和した、シンプルで美しく機能的なデザインで世界的に有名なシアトルの建築事務所 Olson Kundig の Tom Kundig 氏。ミュージアム1階には、ネイティブ・アメリカンの食事を融合させた軽食が楽しめるカフェがあります。詳しくはこちら。
ヘンリー・アート・ギャラリー
ヘンリー・アートギャラリーは、ワシントン大学にある、現代アートにフォーカスしたアートギャラリーです。1926年にシアトルの実業家ホレース・C・ヘンリー氏とその妻スーザンが収集した178点の美術作品をワシントン大学に寄贈し、建設資金も提供したことにより、新しい建物が建設され、1927年2月10日に一般公開されました。設立当初から、ヘンリー・アートギャラリーは地域で初めて世界的に有名な現代アーティストを紹介し、新進気鋭の才能を支援し、著名なアーティストによる新作を初公開しています。また、パシフィック・ノースウェストの重要な新進アーティストの紹介にも努めています。1997年には大規模な拡張工事が完了し、展示や公開プログラムを拡充し、所蔵作品の保存と展示が強化されました。2003年にはジェームズ・タレルによる『スカイスペース ライト・レイン』という没入型彫刻が完成し、名所となっています。
クロンダイク・ゴールド・ラッシュ国立公園
1897年から1898年に起こったクロンダイク・ゴールド・ラッシュを記念して開設された小さなミュージアム。カナダはユーコン州のクロンダイクで金鉱 が発見されたことがニュースになると、一攫千金を夢見た何万人もの人々が全米、そして海外から食料・設備を求めてシアトルを訪れ、地域経済の活性化に大き く貢献しました。当時の写真や道具などの展示に加え、タッチスクリーンを使ったインタラクティブなアクティビティや砂金探し体験などが楽しめます。
シアトル歴史産業博物館
1952年に開館した博物館。海や湖に囲まれたシアトル地域ならではの海洋産業とのかかわり『Maritime Seattle』、シアトルの歴史を学べる展示 『True Northwest』、世界の人々に影響を与えたシアトル発の発明を紹介する 『Bezos Center for Innovation』 などの常設展示のほか、期間限定の特別展示も楽しめます。年間入場者数は6万人。地元では頭文字を取って、『MOHAI』(モハイ)と呼ばれています。
ナショナル・ノルディック・ミュージアム
スカンジナビア諸国からの移民コミュニティの中心地バラードにある博物館で、ノルウェー・スウェーデン・フィンランド・アイスランド・デンマークの文化を称えるものとしては米国唯一という貴重な存在。19世紀に希望にあふれて米国に移民してきたスカンジナビア諸国出身者の生活を再現した展示や、多数のスカンジナビア諸国出身者が従事した林業や漁業の歴史、スカンジナビア諸国の共通点や相違点に焦点を当てた展示は、ここでしか見られない内容です。
ウィング・ルーク博物館
米国北西部に暮らすアジア系・太平洋諸国出身のアメリカ人の歴史・文化・アートなどを展示している博物館。その名前の由来となったウィング・ルーク氏(Wing Luke)は、数年間の軍役を経た後、政府機関に勤めながら人種差別問題に取り組んだ中国系アメリカ人。1965年の飛行機事故で他界した同氏の「アジア系アメリカ人がその歴史や文化を学び、誇りを保てるような場所を作りたい」という遺志を継いだ支持者らによって設立されました。第2次大戦中から大戦後にかけての日系アメリカ人の生活、中国・日本・韓国を中心としたアジア系・太平洋諸国出身のアメリカ人が故郷から持ち寄った文化、民俗衣装・楽器・食生活などが展示されています。期間限定の特別展もあり。
ノースウエスト・アフリカン・アメリカン・ミュージアム
アメリカ北西部におけるアフリカ系アメリカ人の歴史や文化、アメリカにおける黒人の体験や貢献を紹介する博物館。1981年に発案され、2008年に開館しました。年間を通じて、さまざまなプログラムやイベントを行っています。2019年にはシアトル出身のミュージシャン、故ジミ・ヘンドリックスに関する展示会『Bold as Love: Jimi Hendrix at Home』 が、King County Historical Organizations による2019年度の最優秀展示会に選ばれました。
西北日系博物館
ワシントン州日本文化会館内にある西北日系博物館(Northwest Nikkei Museum)は、100年以上の歴史を持つ日本語学校の校舎を保存し、1880年代から戦前にかけて日本から移住してきた日本人とその子孫の日系アメリカ人の歴史的な品々を展示しています。見どころは、シアトルの先駆け世代の日系1世である三原源治に関する展示(2018)、日系アメリカ人画家・ロジャー・シモムラによる絵画作品『Nikkei Story』(2005)、日本語学校およびワシントン州日本文化会館の歴史を伝える『ハントホテル展』(2016)、伊藤博文の書(1901)、日系人強制収容所内で作られた遺物の展示など。館内にある『Hosekibako』では、日本の物品の買い物も楽しめます。オンラインツアーはこちら。
ゲイツ財団 ディスカバリー・センター
シアトルを拠点とする、世界最大の慈善基金団体「ビル&メリンダ・ゲイツ財団」。本財団は、マイクロソフト共同創業者のビル・ゲイツが、妻メリンダと父親ゲイツ・シニアとともに設立したもので、「Voices(世界の声)」「Family & Foundation(ゲイツ家族と財団)」「Partnerships(パートナーシップ)」「Theater(シアター)」という4つのスペースで、財団の活動内容を紹介しています。