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©︎ Junko
秋といえば紅葉狩り。シアトルでは、特に名所まで行かなくてもあちこちできれいな紅葉が見られますが、ここではあえておすすめスポットを絞ってみました。天候によって大きく左右されますが、天気のいい日に出かけてみてはいかがでしょうか。
ワシントン・パーク植物園とシアトル日本庭園 (モントレイク)
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シアトルのモントレイク地域にあるワシントン・パーク植物園と、その中にあるシアトル日本庭園(有料)は、市内中心部にありながらきれいな紅葉が楽しめるスポットとして知られています。
1960年に開園し、数カ月後には日米の平和と友好を願って訪米した皇太子明仁親王殿下(現 ・上皇)と美智子妃殿下(現・上皇后)が訪れ、それぞれ白妙の桜、カバノキ(European White Birch)を植樹されました。
2018年4月には、ワシントン・パーク植物園(Washington Parks Arboretum)を周遊できる2マイル(約3.2キロ)のトレイル 『Washington Park Arboretum Loop Trail』 が完成しました。詳しくは「日本とシアトルの桜の深いつながり」をご一読ください。
窪田ガーデン (レーニア・ビーチ)
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シアトル南部のレーニア・ビーチにある窪田ガーデンは、140種類のモミジがあることで有名な日本庭園。1907年に高知県高岡郡からサンフランシスコに渡り、シアトルに移住した窪田藤太郎氏(1879~1973)が、1927年に5エーカー(6120坪)の土地を購入して造園を開始したのがその始まりです。
独学で造園を学び、造園会社を創業した窪田氏は、ここノースウエストの美しさを日本風に表現したいという考え、シアトル地域の至る所に庭園を設計・設置しました。窪田氏が関わった庭園には、シアトル大学のキャンパスや、ベインブリッジ・アイランドのブローデル・リザーブにある日本庭園などがあります。第2次世界大戦中のアメリカ合衆国政府による日本人・日系人強制収容を生き延びた窪田一家は、戦後にシアトルに戻り、窪田ガーデンを完成させました。
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1970年代にコンドミニアム建設業者が庭園を再開発する計画を立てましたが、市民がシアトル市に保護を要請し、1982年に庭園の中心となる4.5エーカーが市の歴史的建造物に指定されました。その後、シアトル市は1987年に窪田家から庭園を購入し、市の庭園として管理しています。2015年には、日本全国各地の城の石垣を築いた「穴太衆積み」の技術を世界に伝える粟田建設が手がけた石垣が完成しました。日本政府は窪田氏の功績を称え、1972年に勲五等瑞宝章を授与しています。入場無料。
この庭園の石垣の建築に携わった彫刻家の児嶋健太郎さんのエッセイ「シアトル石垣プロジェクト」も、ぜひご一読ください。
チッテンデン・ロックス (バラード)
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ピュージェット湾とレイク・ユニオンを行き交う船が通る水門、ハイラム・M・チッテンデン・ロックス。2017年で100周年を迎えました。
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地元では The Locks(ザ・ロックス)、または Ballard Locks(バラード・ロックス)と呼ばれます。この周辺でも紅葉が少し楽しめます。
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グリーン・レイク(ノース・シアトル)
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シアトルのダウンタウンから車で北へ約15分のところにある、グリーン・レイク。緑色の湖面を湛えたこの小さな湖は、市民の憩いの場となっています。湖を一周するトレイルは約2.8マイル(約4.5km)。ちょうど東京の皇居の周りを一周するのと同じぐらいで、春は桜、秋は紅葉が楽しめます。
スワード・パーク(サウス・シアトル)
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レイク・ワシントン南西部、湖に突き出るようなスワード・パーク。2.4マイル(約4km)の周遊路には落葉樹が連なり、紅葉した木々と湖越しにシアトルが見えます。散歩、自転車、ピクニックにも最適。ビーチやプレイグラウンドもあるので、親子連れにもおすすめ。公園に向かう自動車道、レイク・ワシントン・ブルーバード(Lake Washington Blvd South)の街路樹の紅葉も要チェック。
リンカーン・パーク(ウエスト・シアトル)
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ウエスト・シアトルにあるリンカーン・パークは、ピュージェット湾に面した大きな公園。フェリー・ターミナルの Fauntleroy Ferry Terminal のすぐ北にあります。
135エーカーの敷地には、ビーチ沿いの約4.6マイル(約7.4km)の遊歩道、約3.9マイル(約6.3km)の自転車道、テニスコート、ピクニックシェルター、野球場、海水プールなどがあります。夏は豊かな緑に恵まれていますが、秋にはその緑の葉がきれいに紅葉し、海沿いを歩くだけで癒されます。
2023年には、デンマーク出身のアーティストと地元アーティストが共同制作したトロールが設置されました。ぜひ立ち寄ってみてください。
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八尾ガーデン(ベルビュー)
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ベルビュー・ボタニカル・ガーデンの中にある八尾ガーデンは、ベルビューと大阪府八尾市の姉妹提携を讃えるために造園されました。シアトル日本庭園や窪田ガーデンよりはるかに小さいですが、きれいな紅葉が見られます。
ロックス・トゥ・レイクス・コリドー(バラード〜イサクア)
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シアトルのバラードと郊外のイサクアを結ぶ全長44マイル(約71km)のトレイルでも、湖沿いなどできれいな紅葉が楽しめます。
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この長いトレイルは、バーク・ギルマン・トレイル、サマミッシュ・リバー・トレイル、メアリモア・コネクター・トレイル、イサクア・プレストン・トレイルが繋がったもので、シアトルの都市部とイーストサイド、カスケード山麓を行き来することができるようになりました。幼いお子さんからシニアまで、幅広い年齢層の人が気軽に利用できる多目的トレイルで、サイクリング、ウォーキング、ジョギングなどが楽しめます。
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©︎King County DNRP
レイク・サマミッシュの東側の The East Lake Sammamish rail corridor(ELSRC)は、1889年にシアトル、レイクショア&イースタン鉄道がシアトルから現在のウディンビル、レドモンドを通って現在のイサクアの炭鉱まで鉄道を結んだ時から存在しています。20世紀初頭には、レイク・サマミッシュの東岸への鉄道のおかげで、製材所、新しい入植地、湖岸沿いのリゾート地が賑わいましたが、 やがて衰退し、今日のコリドー沿いは住宅密集地に取って代わりました。この鉄道は何度か所有者が変わり、最後にバーリントン・ナショナル・サンタフェ(BNSF)鉄道が買収しましたが、最終的に廃線を決定し、1997年にキング郡に売却。その後、キング郡は議会や地域コミュニティと協力し、2011年から2023年9月にかけて工事を進め、レドモンドからイサクアまでのトレイルを完成させました。
トレイルには車は入れない点は安心ですが、自転車やE-Bike、スクーターやスケートボードに乗る時はスピードを出しすぎないことが大切です。
なお、バラードで一般道路を通る箇所があります。古い線路が敷かれたままになっており、自転車の車輪がはまってしまうと転倒して怪我をする可能性があります。くれぐれもお気をつけください
ブローデル・リザーブ(ベインブリッジ・アイランド)
ベインブリッジ・アイランドの北端にある、全米でも有数の美しい庭園。150エーカーもの広さの敷地を、入園者は美術館で鑑賞するように静かに歩く。園内にある日本庭園は、自然への畏敬の念など日本庭園のコンセプトを西洋スタイルで表現したユニークなもの。自然保護や東洋思想の影響を受けたブローデル夫妻が、1950年代に作り始め、当時の夫妻の邸宅が現在はビジター・センターとなっている。入場は火曜から日曜の午前10時から夕方4時。一般入場料は17ドル、子供割引あり、4歳以下は無料。