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『Be Water, My Friend: The Teachings of Bruce Lee』 ブルース・リーの哲学を紹介する常設展が公開に

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『Be Water, My Friend: The Teachings of Bruce Lee』 ブルース・リーの哲学を紹介する常設展が公開に

1973年に公開されたハリウッドでの初主演映画『Enter the Dragon(邦題:燃えよドラゴン)』が大ヒットし、一躍世界的なアクションスターとなった武道家ブルース・リー。32歳という若さで突然この世を去ったブルース・リーの影響は大きく、武道だけでなく、人生にも通じる哲学を感じさせる数々の名言が伝えられています。

その一つが、この展示のタイトルであり、ブルース・リーの精神力に対するビジョンを象徴する "Be water, my Friend."

"Be like water making its way through cracks. Do not be assertive, but adjust to the object, and you shall find a way around or through it. If nothing within you stays rigid, outward things will disclose themselves.

Empty your mind, be formless. Shapeless, like water. If you put water into a cup, it becomes the cup. You put water into a bottle and it becomes the bottle. You put it in a teapot, it becomes the teapot. Now, water can flow or it can crash. Be water, my friend." – Bruce Lee

「隙間をぬって流れていく水のようになれ。自己主張せず、対象に合わせれば、回り道、通り道が見えてくる。自分の中に硬直したものがなければ、外側にあるものは自ずと明らかになる。

心を空にし、形をなくす。形がない、水のようなものだ。水は、コップに入れればコップの形になる。瓶に入れれば、瓶の形になる。急須に入れれば、急須の形になる。水は流れることもできれば、打ち砕くこともできる。水になれ、わが友よ」

シアトルで初のブルース・リーに関する常設展

シアトルで初のブルース・リーに関する常設展

展示ディレクターのジェシカ・ルーベナッカーさん(左)とブルース・リーの長女シャノン・リーさん(右)

ブルース・リー財団と、長女シャノン・リーさんが協力し、シアトルのウィング・ルーク博物館で2022年7月9日に公開された新しい常設展 『Be Water, My Friend: The Teachings of Bruce Lee』 は、短くも濃い人生を送ったブルース・リーが遺した2800冊以上もの蔵書を中心に構成され、人生に対する飽くなき探求を続け、哲学的思考を深く掘り下げた一端を垣間見せるものです。

「この展示は、父の思考のプロセス、その流れ、心、体、精神に出会うことができるものです。その始まりである蔵書に父が書き込んだ下線や注釈、そこから生まれた文章、そしてそれが父の人生でどのように表現されたかを、「水」というテーマで表現しています」と、シャノン・リーさん。

シアトルで初のブルース・リーに関する常設展

ガラスケースに展示されている数冊の書籍は、知識欲が旺盛で貪欲な読書家でもあったブルース・リーが個人的に所蔵していた2800冊以上もの書籍から選ばれたもの。直接手に取って触ることはできませんが、ブルース・リー自身が下線を引いたり、余白に書き込んだりした文章を読むことで、さまざまな経験や大量の読書を通じて常に学び、進化しようとしていたことが伺えます。

シアトルで初のブルース・リーに関する常設展

奥の部屋は、ブルース・リーのさまざまなメッセージをインタラクティブな形で紹介するデジタル・プレゼンテーション。床に映し出されている三つの円はそれぞれ、心(mind)、体(body)、精神(spirit)を表しており、水が漂っているようなその円に足を踏み入れると、鐘の音が聴こえ、足下にはブルース・リーが下線を引いた蔵書の文章と作者の名前が表示されます。正面の壁には、その引用文から得たものをブルース・リーが自分の人生にどのように取り込んだかが映し出されます。余白に書き込んだ言葉や、出演作品の一場面、関連した写真などさまざまなコンテンツが何種類か制作してあるので、気持ちの赴くままに移動して体験することができます。

ブルース・リーの長女シャノン・リーさんとの一問一答

– これからの子ども達にもブルース・リーのメッセージを伝えるため、どのような工夫をされていますか。

今回の展示は大人向けかもしれませんが、ブルース・リー財団がウィング・ルーク博物館と共同で提供している子ども向けの「ブルース・リー・キャンプ」のプロセスの一部として、自分自身を知るというアイデアを導入しています。父が提唱したコンセプトはとてもシンプルですが、応用が難しいので、子どもたちは武道、指導、アクティビティなどの体験を通して学んでいきます。水とは、より柔軟であることを表しています。水は生きるために必要不可欠な要素であり、私たちもほとんど水でできています。自分自身を理解し、自分自身を知ることで、より巧みに環境に対応し、柔軟になり、今ここに集中することができるのです。

– 今、ブルース・リーのメッセージは、これまで以上に必要とされていると思われますか。

このメッセージは常に必要とされてきました。でも、私たちは今、非常に二極化した状態になっています。コンパートメント化(編集部注:矛盾する思考、感情、経験を精神的に分離し、矛盾の不快感を回避する防衛メカニズム)に大きな価値を置いてきた結果、私たちはより二極化し、より複雑になってしまったのです。今は、そのような壁を取り払い、理解を深め、つながりを作る必要があります。この展示では、父の哲学を心(mind)、体(body)、精神(spirit)の三つに分けてわかりやすく紹介していますが、実際、ブルース・リーは、すべてを一つのエコシステムとしてとらえることを推奨していました。そして、自分自身をケアすること、自分以外をケアすることも。このような哲学は、状態が悪化している今こそ必要なものだと思います。

ブルース・リーとシアトルのつながり

シアトルで初のブルース・リーに関する常設展

サンフランシスコで生まれ、すぐに家族と香港に引っ越したブルース・リー(1940~1973)とシアトルのつながりは、18歳だった1959年に単独渡米した時から5年間。年数としては短いものの、働きながら通ったシアトル・セントラル・カレッジ(現シアトル・カレッジ)で高校卒業資格を取得し、ワシントン大学に入学して演劇と哲学を学びながら、ユニバーシティ・ディスリクトに構えた道場で武術指導を始めるという、濃い期間だったことが想像できます。

その後、アメリカのテレビシリーズに出演して人気を博し、ハリウッドで武術指導やゲスト出演を重ねたものの、アジア人であることなどが理由で自主企画作品で主役に起用されず、香港で制作された主演作品が大ヒット。ついにハリウッドで初主演映画『Enter the Dragon(邦題:燃えよドラゴン)』が制作されましたが、その公開を2週間後に控えた1973年7月20日に突然他界してしまいます。映画は大ヒットし、一躍世界的アクションスターとなったブルース・リー。この常設展を機に、その蔵書はすべてウィング・ルーク博物館に保管されることになりました。

ブルース・リーとその息子のブランドン・リーは、ウィング・ルーク博物館から約4.7マイル(約7.5km)のとこにあるキャピトル・ヒルのレイクビュー墓地に眠っています。

ウィング・ルーク博物館は、ブルース・リーのアメリカでの基礎を作ったシアトルのチャイナタウンを、ガイドとともに歩くウォーキング・ツアー 『Bruce Lee’s Chinatown』を提供しています。催行は7月から9月の毎週土曜午前11時30分から。

『Be Water, My Friend: The Teachings of Bruce Lee』

【会場】The Wing Luke Museum of the Asian Pacific American Experience (719 South King Street, Seattle)(地図
【入場券】大人$17; シニア(62歳以上)$15; 学生(13-18歳・要ID)$12.50; 子ども(5-12歳)$10; 4歳以下無料
【公式サイト】wingluke.org

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