去る9月11日、1984年にカナダのモントリオールで設立されたエンターテイメント集団、シルク・ドゥ・ソレイユの41番目の作品 『Volta』 を、シアトルの東にあるワシントン州レドモンド市で観てきました!
ワシントン州レドモンド市にあるマリムーア・パーク。総面積640エーカー(約2.6平方キロ)もあるこの広大な公園は、トレイルやドッグパーク、自転車競技の競技場などもあり、夏はコンサート会場も作られる市民の憩いの場なのですが、シルク・ドゥ・ソレイユはその一角に Big Top と呼ばれる巨大テントを設置し、約3ヶ月にわたり公演を行っています。
遊び心満載で、パーティー気分
駐車係に誘導されて駐車場に車を停めたら、徒歩で会場へ。テント以外は屋根がないので、雨の日は傘やフード付きジャケットなどをお忘れなく。
ゲートに到着すると、金属探知機で検査を受け、バッグの中身を係員に見せてから、敷地内に入ります。いろいろな作品が来るたびに観てきましたが、今回のテントは最近の黄色と青とは違って、なんだか新鮮。
一輪車に乗ったパフォーマーと記念写真を撮影したり、太鼓をたたくとテントがライトアップする仕掛けで遊んだら、軽食やグッズが販売されているテントへ(ここを通らないと舞台のあるテントに行けない仕組みです)。
外は寒くてもテントの中は暖かく、無料で振舞われたシャンパンやポップコーンを味わいながら、グッズを見て回ったり、ソファにすわってくつろいだり。もちろん、ここを通り抜けて舞台のあるテントに行くこともできます。
VIP 席の前がやはり「正面」ですが、どの角度から見ても楽しめるように、ステージはいつものとおり円形です。今回の席は左側の前から3番目。かなりステージに近く、パフォーマーの表情までよく見えそう。
メッセージは「自分に正直であれ」
午後8時過ぎ、テンポのよい音楽が鳴り響くと、よくあるタレントショーのようなにぎやかなセッティングで舞台の幕が上がりました。
直後に登場したのは、日本人ダブルダッチチーム。高速縄跳びの技に会場から惜しみない拍手と歓声が上がります。さらに、一輪車を使ったアクロバット、ジャグリングなど、さまざまなパフォーマーが次々と舞台に登場し、すごい技を見せてくれます。
拍手と歓声の中、最後に登場したのは、キレッキレのダンスを繰り広げる男性パフォーマー。会場全体からさらに大きな歓声と拍手が沸き起こり、「どうやらこのコンテストは、この人が優勝して終わり?」と思いきや、彼には実は自分のユニークさを受け入れることができていないという背景があり・・・。
そこに登場するのが、同じ灰色のコスチュームを頭からすっぽりかぶり、手に持ったスマホを見ながらぞろぞろ歩いていく集団。"コンテストの出演者" の写真を撮ったりする以外はずっとスマホの画面を見ていたり通話していたりで、注目を浴びて一瞬嬉しそうに見えたそのダンサーも、他人からの評価を基準にすることの空しさを全身で感じ、「僕は幸せなのか?」と自分に問いかけることに。かつては夢にあふれた少年だったのに、いつの間に "その他大勢" の一人になってしまったのか。こんなはずじゃ・・・。
そうなのです。この 『Volta』 を通じてシルクが伝えたいのは、「自分に正直であれ」「本当の自由は、他人の評価から自分を解き放ち、自分という人間を自分が受け入れることから始まる」「それぞれがユニークであることがすばらしい」ということなのです。
これから観に行く予定の方々の楽しみが減るのでこれ以上の詳細は省略しますが、もちろん、そんなメッセージを考えながら観るかどうかはお好み次第。BMX でパフォーマンスする吉田尚生さんをはじめ、次々と繰り出される度肝を抜かれるようなパフォーマーたちのアクロバットを純粋に楽しむのもありですね。常に危険と隣り合わせのパフォーマンスを、M83のアンソニー・ゴンザレスが手がけたオリジナルのポップなサウンドとともにお楽しみください!
午後10時過ぎ、みんながハッピーになって公演が終了。舞台のまわりにずらりと並んだ出演者の皆さんも満面の笑顔で、観客のスタンディングオベーションに手を振って応えてくれました。
6大陸450都市以上で公演し、1億9千万人以上の観客を動員しているシルク。レドモンド市での公演は11月4日まで。お見逃しなく!
【会場】 Marymoor Park (Redmond, WA)(地図)
【チケット】 $39~
【公式サイト】 cirquedusoleil.com
【電話】 1-877-9CIRQUE(1-877-924-7783)
【駐車】 有料駐車場($20)
【その他】 入場の際にバッグの中身検査あり。場内では、軽食や飲み物のほか、さまざまなグッズを購入できます。
掲載:2018年9月