毎年9月から翌年6月にかけては、舞台芸術(performing arts)のシーズン。今回は、子どもからシニアまでが楽しめるシアトルの芸術団体を4つご紹介します。オシャレして行くのもよし、普段着で行くのもよし。気軽に舞台が見られるのが、シアトルの良さのひとつです。「やっぱりナマの舞台は違う!」とハマッてしまうかもしれません。
パシフィック・ノースウェスト・バレエ:バラエティ豊かな作品をラインアップ
【公式サイト】 pnb.org
1972年に創設されたパシフィック・ノースウェスト・バレエは、米国内だけでなく国際的にも高く評価されるバレエ団。これまで何度も上演されてきた人気作品に加え、同バレエ団初演の作品や世界初演の作品も上演するなど、常に挑戦を続けています。
今シーズンは、20世紀の最も偉大な振付家の一人であるジョージ・バランシンの代表作 『Agon』 と、同バレエ団創立芸術監督ケント・ストウェルの象徴的な作品『Carmina Burana』 が開幕を飾ります。来年6月までの公演日程は、ロマンチック・バレエを代表する作品のひとつ『ジゼル』 や、御伽噺の『シンデレラ』『美女と野獣』、そして新進振付家の作品をラインアップした公演など、バラエティに富んだ作品が勢ぞろい。ホリデー・シーズンに欠かせない 『The Nutcracker(くるみ割り人形)』 もお見逃しなく。
ホームシアターはシアトル・センターにあるマリオン・オリバー・マッカウ・ホール(シアトル・オペラと共用)。1作品の上演時間は約2~3時間。開演前に劇場内のレストランや周辺のレストランで食事をしていくと、お出かけがさらに楽しくなりますね。こうした公演があるときは、食事は予約していくのがおすすめです。
途中休憩(インターミッション)では劇場内のレストランやコンセッション(売店)はかなり込み合うので、前もってドリンクや軽食を注文しておくと、インターミッションが始まってすぐにいただくことができます。コンセッションで Intermission Pre-Ordersについて聞いてみましょう)。各階のロビーには、セルフサービスのコーヒースタンドで1杯2ドルのコーヒーも。
シアトル・シンフォニー:グラミー賞も受賞している交響楽団
【公式サイト】 seattlesymphony.org
最初の公演は1903年という、116年の歴史を誇る交響楽団。これまで150近くのレコーディングを行い、グラミー賞やエミー賞など、さまざまな賞を受賞し、高く評価されています。
ホームシアターは、ダウンタウン・シアトルに1998年に完成した世界レベルの劇場ベナロヤ・ホール。音楽監督は8シーズンを務めたフランス人の指揮者ルドヴィク・モルロー氏が去り、今シーズンからデンマーク出身のトーマス・ダウスゴー氏(Thomas Dausgaard)が就任しました。同氏は2014年からシアトル・シンフォニーの客演指揮者を務め、マーラーの交響曲第10番とカール・ニールセンの交響曲3番・4番のレコーディングを行いました。
2019-2020シーズンの開幕は9月14日(土)。この日はオープニング・ナイト&ガラが催され、ロシアのピアニスト、ダニール・オレゴヴィチ・トリフォノフがラフマニノフのピアノ協奏曲第4番でシアトル・シンフォニーと共演します。
9月から7月までのシーズンには実にたくさんの公演があるので、それほど詳しくない場合は、演目にある作曲家や楽曲、共演するソリストなどで選んでみるのがおすすめ。
夜の公演なら食事をしてから出かけるのもおススメ。周辺にはいろいろな人気レストランがひしめいています。また、たいていの公演では劇場の建物内にあるカフェが開演2時間前、ロビーにあるバーが開演75分前に開店。手軽に軽食やワイン、ビールが楽しめます。このカフェやバーは公演中の途中休憩(インターミッション)でも営業しています。
シアトル・オペラ:古典からコンテンポラリまで。4代目のディレクターが就任
【公式サイト】 seattleopera.org
1963年に設立されたシアトル・オペラのホーム・シアターはシアトル・センターにあるマリオン・オリバー・マッカウ・ホール(パシフィック・ノースウェスト・バレエと共用)。シアトル・オペラによると、シアトルは一人当たりのオペラ観劇回数がアメリカで一番多い都市。気軽に劇場に行ける文化があるからですね。
2019年8月に4代目の芸術監督に就任したのは、サンフランシスコ・オペラ、ワシントン・ナショナルオペラ、ロイヤルオペラハウス・マスカット(オマーン)、リセウ大劇場(バルセロナ)で合計30年近い経験を持つドイツ出身のクリスティーナ・シュペルマン氏。2019-2020シーズンは、『シンデレラ』『エフゲニー・オネーギン』『ヤードバード』『ラ・ボエーム』 の4作品をラインアップしており、期待が高まります。
オペラ歌手が台詞をすべて歌いながら演技をして物語を進行するオペラ。マイクも使わず、豊かな声量で歌い上げながら物語が展開していきますが、あらすじはあらかじめ読んで知っておくのがおすすめ。舞台当日は、その物語がどのようにプロデュースされているかを観て、じっくり味わいましょう。フランス語やイタリア語、ドイツ語、英語など、どんな言語の舞台でも、舞台上にある電光掲示板に英語字幕が表示されます。
伴奏は客席からは見えない舞台下にいるオーケストラによる生演奏。シアトル・オペラの場合は、シアトル・シンフォニーの団員たちが演奏することも多いです。
1作品の上演時間は一般的に約2時間30分から約3時間。開演前に劇場内のレストランや周辺のレストランを予約して食事を。美味しいものを食べてから出かけると、さらに楽しくなりますよ。
途中休憩(インターミッション)では劇場内のレストランやコンセッション(売店)はかなり込み合うので、前もってドリンクや軽食を注文しておくのがおすすめ。コンセッションで Intermission Pre-Ordersをしましょう。グランド・ロビーのワイン・ビストロでは、全米第2のワインの産地であるここワシントン州のワインが揃っています。各階のロビーには、セルフサービスのコーヒースタンドで1杯2ドルのコーヒーも買えます。
シアトル・チルドレンズ・シアター:演劇の世界を親子で楽しむ
【公式サイト】 www.sct.org
1975年にシアトル市公園管理局のプログラムとして始まり、今では若年層向けの常設劇場として北米2番目の規模を誇るまでに成長した 『シアトル・チルドレンズ・シアター』。生涯にわたって芸術に興味を持ち続けるための基盤作りに加え、芸術を通して世界を見る目を養うことも目的としており、劇場での公演のほか、多彩なクラスも揃えています。家族向けの劇場としては西海岸では最大の規模。
子どもに人気の高いお話が劇になったものなど、子どもと一緒に大人も楽しめるプログラムがいっぱい。学校の遠足でも観劇することがあります。手話の通訳がつく日時やセンサリー・フレンドリーな舞台の日時もあります。
マナーについて
- シンフォニー、バレエ、オペラは、公演が始まってしまってから席に着くことはできません。必ず開演前に到着しましょう。
- 携帯電話の電源は切っておきましょう。
- 劇場内に飲食物の持ち込みはできません。
- 香水やコロンはつけません。アレルギーの人に配慮しましょう。
- 日本でメジャーな劇場へ行くというと敷居の高いイメージがありますが、シアトルではガラやオープニングの日でもなければ、ゴージャスに着飾っている人は多くありません。普段着で OK ですが、カジュアルすぎず、ちょっとキレイめくらいがおすすめです。もちろん、せっかくなのでキメていきたいという方は、ぜひ!
掲載:2019年9月