ワシントン州の夏の楽しみのひとつと言えばキャンプ。温暖で緑豊かな西部、暑くて乾燥した砂漠気候の東部、太平洋に面した海岸沿いなど大自然の中で過ごす時間は格別です。
でも、たくさんのキャンプ場の中でも人気のキャンプサイトは受付開始後すぐに予約でいっぱいになり、予約ができない先着順のところは確保できればラッキーというところ。つまり、既存のキャンプサイトの中でも人気の高いところで確実にキャンプするには、かなりの計画性が必要になってきます。
そんな不便さをどうにかしたいとカリフォルニア州出身の女性が立ち上げたのが、シェアリング・エコノミー「ヒップキャンプ」。全米50州すべての国立・州立・地方・陸軍の公園や私有地で簡単にキャンプが楽しめる上、私有地の場合はホストと仲良くなれるエア B&B のアウトドア版のような体験ができます。
シアトルから東へ車で約1時間半、ドイツ村レブンワースに住むリンディ星川さんがそんなヒップキャンプのホストになったのは、「新しい出会いが最大の楽しみだから」。シアトル出身でワシントン大学卒業生のアメリカ人の母親と、大阪は岸和田出身の日本人の父親のもとにシアトルに生まれ、10〜15歳の5年間と大学時代を日本で過ごしたリンディさんは、誰かの旅の話を聞くのが好きで、かつて東京とベルビューでエアB&Bのホストをしていたことも。
ミュージシャンのセルジオさんとの結婚を機にレブンワースに引っ越してからは部屋数が足りないためエアB&Bをできなくなり残念に思っていたところ、友人に「広い庭でヒップキャンプをやったら?」と言われてすぐに申し込んだところ、ヒップキャンプの写真家がお試しキャンプに来て審査に合格。今年6月にキャンプサイトとして登録できたとたんに予約が入ってきて驚いたそうです。
「ワシントン州のキャンプ場は人気が高く、かなり前から予定しないといけなかったりします。先着順のところは満員のことも多いですよね。でも、ヒップキャンプなら完全予約制で、あいていれば "今日行きたい" と思った日に行ける気楽さがあります」とリンディさん。「いろいろな出会いがあって、アメリカの田舎にいるハーフジャパニーズである私の世界が広がって、人生が面白くなります。現在8歳の双子の子供たちもとても楽しんでいます。家からすぐのところにハイキングのトレイルもありますし、レブンワースの街にも近いので、自然と街の両方が楽しめますよ」。
リンディさんとセルジオさんはミュージシャンとして活動しており、セルジオさんはシアトルのコーニッシュ大学卒業後、故郷レブンワースに戻ってライブミュージック・シーンを作り上げることに尽くしてきた人。英語が苦手な場合は、リンディさんが日本語で案内してくれるので安心です。
乾燥して暑くなるレブンワースでのキャンプにいい時期は、7月と9月。年によっては6月から10月まで楽しめるそうですが、真夏は気温が高くなり森林火災も発生しやすいので、天候や地域情報をチェックしながら決めるのがおすすめです。
掲載:2017年9月 写真:Hipcamp・Ronald Hope 2017