ここ20年で全米でも有数のグルメ都市に数えられるようになったシアトル。なぜ、独自の食文化を発展することができたのだろう。そんな疑問に対する答えを探る 『エディブル・シティ(Edible City: A Delicious Journey)』 展が、11月19日から歴史産業博物館(MOHAI)で始まる。初日は、Duke のクラムチャウダーや Molly Moon アイスクリームの試食、トレイルミックスの調合など、魅力的なイベントが目白押し。
同展は、1)地元の食材、2)缶詰からコーヒー焙煎までの新旧食品加工技術、3)農家直売やエスニック食材展など多様なスタイルの市場、4)ホームキッチンやコミュニティ菜園など個人レベルの食、5)シアトルらしいハイテク技術の食への利用、6)地元レストランやカリスマシェフの今と昔、という6つのテーマで構成されている。展示のところどころに、地元食材を使った人気レシピのパネルや、観覧の合間におしゃべりやゲームを楽しめるダイニングテーブルが配置されているのも面白い。
「シアトルの食は、ローカルとグローバル、充実したパブリック・マーケットと地域に根ざしたコミュニティ・ガーデンから成り立っている」と、ジェームズ・ビアード賞の受賞歴のあるフードライター/本展キュレーターのレベッカ・デン(Rebekah Denn)さん。
シアトルの食のグローバル化に影響を与えてきた「日本」の存在があちこちに見られることにも注目したい。著名な寿司店や日系スーパーマーケット、現在シアトルで人気の観光地パイク・プレース・マーケットは、そもそも日本人農家が大部分を占めていたにも関わらず、第二次世界大戦中の日系人強制収容が原因で、その顔ぶれが大幅に変わってしまった。
本展示は2017年9月10日まで、季節ごとの食材を紹介していく予定でほぼ1年間にわたって行われる。詳細はこちら。
掲載:2016年11月 取材・文 渡辺菜穂子