最寄りの公立図書館で貸し出しアカウントを作ると、電子書籍やオーディオブックを “無料” で借りられるサービスがあるのをご存知ですか？そうなんです。アプリの『Libby（リビー）』と紐付けすれば、どこにいても簡単に本やオーディオブックを借りて（ダウンロードして）読んだり聴いたりできますよ！
ユーザフレンドリーなアプリ『Libby（リビー）』
もともと『Overdrive（オーバードライブ）』が先に公開されたのですが、2017年にそのコアな機能を凝縮してユーザフレンドリーにした『Libby（リビー）』がリリースされました。
どちらもアプリのストアで高評価を得ていますが、『Libby（リビー）』の方が使いやすいようです。
このサービスをアメリカの公立図書館と連携して提供しているオーバードライブ社は、カセットテープから CD に移行した時期にあたる1986年にオハイオ州クリーブランドで創業した企業。2015年に楽天が4億1千万ドルで買収して子会社化し、2019年12月に投資会社 KKR に買収されました。2022年1月時点で、94カ国以上、7万6000以上の図書館や学校と提携しています。
どうして無料なの？
『Libby』が無料で使える理由は、公立図書館は税金などで運営されているから。
納税者にとっては完全に無料というわけではありませんが、本や雑誌、漫画や DVD などを借りる場合と同じように、オーディオブックを借りるためにお金を払う必要はありません。
自伝、ビジネス、ミステリ、旅行、ヤングアダルト、ノンフィクション、サイエンスフィクション、テクノロジーなど、電子書籍とデジタルコンテンツのタイトルは200万以上。新作、NPR（アメリカの公共ラジオ）で紹介されたもの、人気本などが揃っているので、公式サイトや公式アプリで検索してみてください。
ただし、図書館は1回の貸し出しにつき 『Overdrive』 に費用を支払う必要があるので、予算の関係上、一つのタイトルを借りられる人数に制限があります。すべて貸し出し中の場合は、貸し出し予約（Hold）をすることができます。
有料サービスの場合は、買いたいときに買い、ダウンロードできます。でも、無料サービスの場合は、図書館にないものは借りることができません。例えば、図書館によっては豊富にそろえていない部門があるようです。「今すぐ読みたい、今すぐ読まないといけないのに、図書館にない」という場合は、有料サービスを利用するしかありませんね。
使い方
- 図書館の貸出アカウントが必要です。持ってない場合は、まず、図書館の公式サイトや図書館でアカウントを作りましょう。
- iOS または Android の端末で Overdrive または Libby のアプリをダウンロードします。
- 貸出アカウントの情報を入力して保存したら、設定完了です。
- 検索したり、おすすめをブラウズしたりして、希望するタイトルを見つけます。
- 「Borrow」（借りる）「Hold」（借りるリクエストをする）などのオプションを選びます。
- オーディオブックの場合、手元のデバイスにダウンロードしてオフラインで聴くことができますが、端末のスペースを使用してしまいます。スペースを使用したくない場合は、ネットにアクセスしながら聴くストリーミングのオプションがありますが、ネットの接続が不安定な場合は不具合が生じる可能性があります。
- 電子書籍を Kindle に送ることもできます（米国の図書館と学校のみ）。
- 貸し出し期限が来ると自動的に返却されるので、延滞料金が発生しません。もちろん、他に借りる人がいなければ延長もできます。
オーディオブックで聴くか、タブレットや紙の本で読むか
オーディオブック、タブレット、紙の本、それぞれに良さがあります。でも、オーディオブックの場合・・・
・目が疲れない
オーディブックは声だけなので、タブレットや紙と異なり、目が疲れることがありません。
・リスニングの練習になるかも
「文章を見たらわかるのに、聞いただけでは聞き取れないことがある」ー そんな場合は、本を見ながらオーディオブックを聴けば、リスニング力をアップできるかもしれません。
・移動しながら、何かをしながらでも聴ける
ウォーキングをしながらでも、ワークアウトや庭仕事、家事をしながらと、いろいろなシーンで聴けます。
・スピードの調整もできる
基本のスピード（x1.00）はゆっくりめなので、自然なスピードで聴きたい場合は1.25倍（x1.25）にするなど、スピードの調整ができるのもポイントが高いです。
・著者が朗読している場合、リアリティがある
特に、自伝や回顧録を著者自身が朗読しているものは、声にある程度の感情がこもり、リアリティがあります。例えば、ミシェル・オバマの自伝『Becoming』はミシェル自身が朗読しているので、おすすめです。
・映画やドラマに出演した俳優が朗読する作品もある
映画やドラマになった作品がオーディオブック化され、映像で登場人物を演じた俳優が朗読を担当する作品もあります。
・フィクションでは声優の声が重要
フィクションでは、その物語や登場人物にあう声優が起用されますが、上手な人の場合、声だけで見事な世界を創り出しています。例として挙げるなら、映画にもなった『Crazy Rich Asians』三部作の第2部と第3部を読んでいるリディア・ルック。ナレーション部分の英語はスタンダードな英語ですが、老若男女のシンガポール、イギリス、アメリカ、インド、広東語、中国語のそれぞれのアクセントのある英語を見事に使い分けています。また、世界的ベストセラーになった『A Gentleman in Moscow（邦題：モスクワの伯爵）』は、イギリス英語の声優の穏やかな声が物語にぴったり。
「声やアクセントにどうも慣れることができない」「好みの声ではないので、気持ちよく聴くことができない」という場合もあります。そんな時は無理せず、紙の本か電子書籍で読むのがいいでしょう。
こんなサービスが無料で使えるアメリカの公立図書館って、すばらしいですね！みなさんもぜひ利用してみてください。
