今年の夏の一大イベントは何といっても8月21日の皆既日食ですが、夏の星空の楽しみはそれだけではありません。
夏は流れ星を見るのにぴったりの季節。今年もみずがめ座δ南流星群(Delta Aquariid meteor shower)に、ペルセウス座流星群(Perseid meteor shower)と、二つの大きな流星群(meteor shower)がやってきます。流れ星を見るのに必要なものは「目」だけ。誰でも気軽に簡単に見ることができて、星空の楽しさを堪能できるまたとない機会です。
ワシントン州の素晴らしい星空の下で繰り広げられる、独立記念日の花火に勝るとも劣らないイベントを見に行ってみませんか?

ワナパム・キャンプ場から見たペルセウス座流星群(2013年)
ワシントン州は星空に恵まれた場所
筆者は長く東京に住んでいましたが、ご存知の通り東京は地球上でおそらくもっとも星を見ることのできない場所の一つです。
シアトルについて聞く話といえば雨と曇りばかりの街だったので、住むことが決まったときは、休日に星を見に行くことを期待できるような場所とは露ほども思っていなかったのですが、移住して2年ほどたったあとにワシントン州の東、バンテージにほど近いキャンプ場で星空の美しさに圧倒されました。その後はさまざまな場所で星空散歩を楽しむようになっています。
どれだけワシントン州の星空が素晴らしいのか、百聞は一見に如かずなのでとにかく行ってみてもらうのが一番なのですが、どれだけ特別なのか一目でわかるのがこの地図です。

アメリカの光害(Light pollution)の状況。ワシントン州は暗い空がたくさん。
ワシントン州はシアトル地域から30-40マイルほど離れれば簡単に暗い星空を見つけることができますが、これはアメリカのみでなく、開発の進んだ先進国の中ではとても珍しく貴重です。
ちなみにこのサイトでは世界中の国を見ることができますが、日本の空が夜でもどれだけ明るいかもわかりますよ。
流星群を見よう – みずがめ座・ペルセウス座流星群
ワシントン州のとびきり暗い星空でこの夏楽しむことができる流星群は二つ、7月末のみずがめ座δ南流星群(Delta Aquariid meteor shower)と、8月中頃に見られるペルセウス座流星群(Perseid meteor shower)です。
今年はどちらの流星群も月の影響があるので最高の条件ではありませんが、ワシントン州の暗い空が流れ星を簡単に見つけられるよう助けてくれるはずです。

2016年のペルセウス座流星群。わずか3分ほどの間で見ることができた流れ星たち。
みずがめ座流星群は7月29日の夜に極大を迎えます。7月29日は7月最後の土曜日、キャンプをしながら流れ星を見るには最高のタイミングですね。誰でも知っているペルセウス座流星群と比べると地味な流星群ですが、それでも一時間で最大15-20個、比較的大きめな流れ星が見られるといった特徴があります。流れ星は夜中に南東にのぼってくるみずがめ座を中心として放射状に流れるので、南側を中心として星空を広く見られる場所を見つけられるといいでしょう。29日のみでなく、その前後の日でももちろん楽しむことができますが、見ごろは月の沈んだあと、夜11時以降になりそうです。昼間はゆっくり昼寝を楽しんで、少しだけ夜遅くまで起きていると、きっと流れ星に願いを聞いてもらえるでしょう。
8月に入って見ることのできるペルセウス座流星群はご存知の方も多いかもしれません。数ある流星群のなかでももっとも規模の大きいものの一つで、条件が良ければ一時間に100個くらい見ることができる年もあります。今年の極大は11日、残念ながら満月を過ぎたばかりの月が夜11時ころにはのぼってきてしまうためあまり条件はよくありませんが、それでも一時間に2-30個くらいは見られる可能性はありそうです。11日は金曜日ですので、少し早く仕事を切り上げて、ちょっと早めの週末キャンプを楽しんでみてはどうでしょう?
週末はレジャーシートとテントを持って東を目指そう
流れ星、見たくなってきましたか?流れ星は誰でも楽しむことができる手軽なイベントですが、ちょっとだけ準備をするとより楽しく、快適に楽しむことができます。
キャンプサイト: 夏の間は天気の安定しているカスケード山脈を越えたワシントン州の東側にあるキャンプサイトを目指しましょう。州立公園内にあるキャンプサイトはどこもよく整備されていて、比較的キャンプサイトが広く、視界が開けているのでお勧めです。先着順のサイトも多いので、必ずしも予約は必要ありませんが、こちらのサイトから予約しておけば確実です。
レジャーシート: ゴロンと寝転びながら流れ星を見るほど素敵な経験はありません。ぜひレジャーシートを持っていきましょう。夏とはいえ夜中は冷えることもあるので、レジャーシートの上で寝袋に入ります。寝袋に入っていればそのまま寝てしまってもいいですからね。筆者の相棒は昨年、雨のように降り注ぐペルセウス座流星群を見ながらそのまま寝てしまいましたが、人生の中でも指折りの睡眠だった!と大変満足したようです。

寝ながら見る星空。天然のプラネタリウム
筆者の経験では、夏のワシントン州の空では、流星群がない時期でも一時間に5-10個くらいの流れ星を見ることができます。12時を過ぎて空が暗くなるまで、ちょっとだけ長い夜を楽しんでみてください。きっといい夏の思い出になるはずですよ。
掲載:2017年7月 文・写真:保坂隆太