春の訪れとともに、シアトル周辺の自然が一斉に目を覚まします。3月中旬ごろにはスカジット・バレーの水仙が一面に咲き誇り、ワシントン大学ではソメイヨシノの桜並木が満開に。4月になるとスカジットのチューリップ・フェスティバルが色鮮やかに開催され、クリスタル・マウンテンなどでは春スキーが楽しめます。5月にもなればスノコルミー滝では雪解け水が迫力満点の水量で流れ落ちるほか、サリッシュ海ではホエールウォッチングのベストシーズンがスタート!
この記事では、春のワシントン州で自然を満喫できるスポット6か所をご紹介します。今しか見られない風景に出会いに、週末のおでかけ先を探している方はぜひチェックしてみてください。
スカジット・バレーの水仙畑

春のはじまりを告げるのが、スカジット・バレーに広がる鮮やかな水仙畑。3月中旬ごろ、黄色のじゅうたんのような風景が出迎えてくれます。ラ・コナー観光協会によると、スカジット・バレーで栽培されているのは、ダッチマスター、フラワーカーペット、スタンダードバリューの3大品種。ちなみに、ダッチマスターは世界で最も人気のある水仙です。チューリップ・フェスティバルに先駆けて楽しめる、静かな絶景スポットです。カメラを片手にのんびりドライブするのもおすすめ。下記の開花マップで、水仙(daffodills)とチューリップの開花状況をチェック!
ワシントン大学のソメイヨシノ


ワシントン大学の中庭にある約30本のソメイヨシノは、シアトルきっての桜の名所。クラシックな校舎とぴったりで、どこか幻想的な空間を作り出します。学生だけでなく、地元住民や観光客にも愛されるシアトルの春の風物詩ですが、天気のいい日は大混雑するので、早朝、または日没後に楽しむのがおすすめ。
このソメイヨシノは、戦前の1939年にワシントン大学が購入し、当初はワシントン・パーク樹木園(Washington Park Arboretum)に植樹されたものです。その後、州道520号線の建設のため、1962年にキャンパスの中庭(The Quad)に移植されました(参考:UW Magazine)。
スカジット・バレーのチューリップ畑

シアトルから約60マイル(約100キロ)北上したところにあるラ・コナー市で、毎年4月にチューリップ・フェスティバルが開催されます。赤・黄・ピンク・紫など、色とりどりのチューリップが咲き乱れる巨大な畑は圧巻です。開花状況に関係なく毎年4月1日から30日まで開催されるので、事前にオンラインマップで開花状況を確認して計画を立てましょう。スカジット・バレーは峡谷なので、風が強く、晴れていても寒く感じる日があります。防寒グッズを忘れずに。また、チューリップ畑の周辺は非常に混雑する上、車両通行止めになっている道路もあるので、歩けるのであれば離れたところに駐車するのがおすすめ。チューリップ・タウンなどの観光スポットもあります。

スノコルミー滝 ネイティブ・アメリカンの聖地 &『ツインピークス』の舞台

標高82メートルから豪快に流れ落ちるスノコルミー滝は、雪解け水で水量が増す時期になると、迫力ある姿が楽しめます。展望デッキからの眺めは圧巻で、雨の日でも神秘的な風景に出会えるのが魅力。近くには遊歩道や高級ホテルのサリッシュ・ロッジもあり、のんびり過ごすのに最適です。英語では Snoqualmie Falls と呼ばれるこの滝は、ネイティブ・アメリカンのスノコルミー族の神聖な土地として知られています。

また、この滝は1990年代に一世を風靡した『Twin Peaks』にも登場し、有名になりました。1990年から2シーズンにわたってアメリカでテレビ放送され、1992年には映画化(『Twin Peaks: Fire Walk With Me』)もされたミステリー・ドラマで、企画・監督のデビッド・リンチの作風が濃厚に発揮された怪作で、その後のテレビ界におけるミステリー・ドラマに多大な影響を与え、日本でもブームを巻き起こしたのです。2017年のリバイバル版『ツイン・ピークス: The Return』でも、スノコルミーとノース・ベンドで撮影が行われました。

クリスタル・マウンテンで春スキー&観光ゴンドラ

冬の名残を楽しむなら、春スキーもおすすめ。クリスタル・マウンテンでは、2025年は4月20日までスキーが楽しめ、晴れた日にはマウント・レーニアの絶景をバックに爽快な滑走が可能です。朝は雪、午後はシャツ一枚でも心地よい気温と、季節の移ろいを感じられます。コンサートなどさまざまなイベントも予定されているので、ぜひチェックしてみてください。
スキーをしない場合は、シーニック・ゴンドラはいかがでしょう。麓から約12分で高度約2,400フィート(約730メートル)を上がります。頂上からはマウント・レーニアや美しいカスケード山脈の景色を楽しめるほか、ワシントン州で最も高い場所にあるレストラン「サミットハウス」で食事もできます。なお、犬の同伴はスキーシーズンではない夏のみ。ストローラーは持ち込めません。
ゴンドラの営業日(Scenic Gondola) | 営業時間 |
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月〜金 | 9:00am – 3:30pm |
土日 | 8:30am – 3:30pm |
チェアリフトや観光ゴンドラのチケットは、事前にオンラインで購入しましょう。土日祝の正午に到着する場合は、駐車予約も必要です。
春のホエールウォッチング

春から初夏にかけて、オルカ(Orca)、コククジラ(Gray Whale)、ザトウクジラ(Humpback Whale)などが回遊するワシントン州の海域。特に、3月から5月にかけてはバハカリフォルニアから北極海へ向かうコククジラ(Gray Whale)が回遊の途中でワシントン州西部の沿岸に現れますし、5月から10月は、サザンレジデントオルカがサンフアン諸島周辺に現れる時期です。また、アザラシなどを捕食するトランジエント(移動型)のオルカも定期的に回遊しています。運が良ければツアー中に観察できるかもしれません。
