ビル＆メリンダ・ゲイツ財団 ディスカバリー・センター「どうしたら世界を変えられるのか」

シアトルを拠点とする、世界最大の慈善基金団体「ビル＆メリンダ・ゲイツ財団」。世界長者番付でのべ15年以上トップを記録したビル・ゲイツ氏が、妻メリンダ氏（当時）、父親のゲイツ・シニアとともに、人々の健康を改善し、飢餓や極度の貧困から抜け出す機会を提供する活動を世界規模で行うため、2000年に設立しました。

シアトルの中心に位置するシアトル・センター横に2011年に完成した財団キャンパス一角のディスカバリー・センターは、シアトルに来たらぜひ訪れてみたいところ。

館内に入ると、高さ2メートルほどの薄型タンク付きトイレが目に入ります。雨水を貯めておしり洗浄や手洗いに利用できるというアイデア商品で、2011年に同財団が行った「トイレ再開発コンテスト（Reinvented the Toilet Challenge）」受賞作の一つです。現在地球上で数十億人が非衛生的な生活を送っているという事実をもとに、「水・電気・汚水処理システムがなくても機能し、衛生的でお金のかからないトイレ」のアイデアを募りました。

財団の主な活動内容の紹介に加え、2022年からゲイツ財団とそのパートナー、そしてシアトルのコミュニティの活動に関連するさまざまな問題の関連性に焦点を当てた特別展が公開されています。

成功したビジネスマンならではの発想で、「結果を出す慈善活動」を行う方法論が学べるのも、このディスカバリー・センターの見どころ。また、財団の紹介だけにとどまらず、「どうしたら世界を変えられるのか」「私たち一人一人に何ができるのか」という問いに対して、アイデアを共有しあう役割もあります。

見学に際しておすすめなのは、午後2時から行われる1時間の無料パブリック・ツアーに参加すること。といっても、1時間にわたって英語スピーチを聴くわけではなく、ガイドが各スペースの概要を簡潔に説明し、その後個々の質問に答えるため待機しているというスタイル。個人で見学したら見逃してしまいそうな展示もしっかり説明を聞くことができます。また、事前予約の必要はなく、ツアーの途中での出入りも可能なので、気軽に参加してみましょう。

更新：2022年9月　取材・文（一部）：渡辺菜穂子
写真： Bill & Melinda Gates Foundation