シアトル航空博物館は、キング郡国際空港『ボーイング・フィールド』の敷地内、ボーイング社(※)の創業の地にある航空・宇宙の博物館。ダウンタウンの南約5マイル(約8km)、シアトル・タコマ国際空港の北約9マイル(約15km)のところにあります。米国西海岸では最大かつ最も完成度の高い航空機のセレクションを見られるところ。さまざまな航空機が展示に加え、航空産業と宇宙産業の歴史と発展についての展示、ボーイング・フィールドを見渡せる『The Tower』で管制塔とパイロットとの交信が聴けるコーナー、体験型のシミュレーションなどがあるので、飛行機好きなら一日中楽しめます。
※ボーイングは2001年に本社をシカゴに移転。民間航空機部門・防衛部門・宇宙部門などを合わせ、全米最大の輸出企業として14万人以上の従業員を擁しています。
イースト・キャンパス
広大な敷地内のどこからスタートするのがいいかというと、やはりイースト・キャンパスにある本館でしょう。
イースト・キャンパスは、主要幹線道路の Marginal Way から入ったところに、ボーイングが創業当時に建設した赤い社屋があります。内部では、ボーイング社や航空機産業の歴史、当時使われていた工具などの展示を見ることができます。
さまざまな時代の航空機が約40機も展示されたグレート・ギャラリーは、本館の目玉の一つ。同博物館が最初に買収した航空機でアラスカ州アンカレッジのがらくたの山から救出したボーイング社の80A-1などをボランティアらが何年もかけて修復し、ようやく博物館に展示できるまでになりました。
日本語のオーディオガイドも有料で借りることができます。
日本の空襲や原爆投下に使われた爆撃機 B-29も展示されているので、歴史を知っていると、さまざまな思いがよぎるでしょう。
ウエスト・キャンパス
イースト・キャンパスを見終わったら、本館からスカイブリッジでつながっているウエスト・キャンパスへ。
その中心となるのは、2012年11月に完成したスペース・ギャラリーです。スペースシャトルの乗組員が実際に使った実寸大のシュミレーター『NASA Full Fuselage Trainer』があり、後方から中に入ると、スペースシャトルに関する記録写真などが展示されています。
その中には、訓練中の JAXA 宇宙飛行士・山崎直子さんの写真も。スペースシャトルを着陸させるシュミレーターも体験できるので、ぜひやってみましょう!
その他に、2014年に宇宙飛行士3人を国際宇宙ステーション(ISS)に運んだロシアのソユーズ帰還船『TMA-14M』、宇宙からの帰還の VR 体験(有料)、宇宙飛行士の訓練スケジュールやユニフォームの展示などもあります。
スペース・ギャラリーに隣接している航空パビリオンには、さまざまな飛行機が屋外展示されています。代表的な所蔵機体は、1959年にアイゼンハワー大統領に提供され米国初の大統領専用機(エアフォース・ワン)となったボーイング社 VC-137B、第1次世界大戦前に製造された世界初の戦闘機 Caproni Ca 20、ボーイング社の727、737、747の試作品、787ドリームライナーの試験飛行用3号機(ZA003)、英国航空で最後の商業飛行を行ったコンコルド G-BOAG(米国西海岸では唯一の展示)など。
航空博物館では、年中を通してさまざまなイベントを開催し、学校の休暇期間中は子ども向けのキャンプ、高校生以上にはインターンシップ、3D 映画の上映やさまざまな特別展も提供しています。
航空機好きの人だけでなく、子どもから大人までさまざまに楽しめる航空博物館に、ぜひ足を運んでみてください。