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シアトルでスメルトを釣る

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スメルトは実は一年中釣れる沿岸の小魚である。シシャモにも、ワカサギにも似ていて、味はまたキスのように上品で淡白。清涼にして、ほのかに青々しい香りがすることから、和名ではキュウリウオと呼ばれている。

沿岸の浅瀬を回遊していて、桟橋やマリーナのドックなどに、冬から春にかけて押し寄せてくるので、これをサビキで大量に釣り上げることができる。最も数が釣れるのは、やはり寒い冬から、桜が咲く3~4月あたりまでのようだ。

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スメルト釣りにおすすめの仕掛け

サビキ

小アジやイワシなどを釣るのに使われる小さなハリが5〜6本付いた簡単な仕掛けのサビキに、10g くらいの小さな錘を付けて岸から竿をしゃくっていれば、子供にでも釣れるお手軽な釣りである。

サビキは、日本の釣具メーカーの「がまかつ」などが Herring/Smelt Jig として米国でも市販しているものが良く釣れる。サイズは小さめの4番くらいが手ごろであろうか。

Chum(コマセ)

釣り方は単純で、このサビキを6-8ft の小ぶりなリール竿に結んで、水中を軽く上下させるだけ。遠くまでキャスティングする必要もないし、足元に仕掛けを投げ入れるだけで十分である。

しかし、仕掛けよりも重要なのは、Chum と呼ばれる、魚寄せのためのコマセ(撒き餌)である。スメルトは、イワシやニシンのように群れをなして、海中のプランクトンなどを食べて遊泳しているので、このコマセを海中に撒くことで、大群をおびき寄せることができるのだ。

最も一般的なのは、キャットフードの缶詰を水で薄めたものに、コーンミールなどの粉を混ぜて、これを杓子ですくって水に撒いてやる。こうすると、その匂いで魚が寄ってくるのか、釣れ始めたら一度に3匹、4匹と竿に掛かって、なかなか楽しいものだ。竿先に、ビリビリと小刻みな振動が伝わってくる瞬間が、スメルト釣りの醍醐味である。

おすすめの釣りスポット

スメルトが釣れるのはシアトルよりも北の海域で、有名なのは Oak Harbor のマリーナ。ここはヨットが係留されているマリーナの中を抜けて行くと、その最前列に釣り桟橋が設けられていて、その最北端の角あたりがホット・スポットである。ピクニック用のテーブルなども完備しているので、弁当など持参で天気の良い日に家族で釣りに行くのも一興である。

他には Deception Pass の裏側の入り江、Cornet Bay も良く釣れることもあり、チューリップ・フェスティバルで有名な La Conner の町のマリーナもかつてはスメルト釣りのメッカであったが、今やその面影はないようだ。スメルトの南端は、Everett 辺りと言われており、1~2月にはマリーナ・ビレッジのすぐ北側の小さな釣りドックで釣れることもあるが、最近はあまり大漁という話は伝わってこない。やはり、ちょっと遠くても Oak Harbor まで遠征するのが無難であろう。

おすすめの食べ方

スメルトの食べ方は、まずは新鮮なやつを刺身で。釣ってまだ1-2日目であれば、身はピンとしているので、これを良く切れる刺身包丁で3枚におろして、腹骨をすきとり、皮を指でピッと剥いてやれば、出来上がり。そのままでも良し、酢にくぐらせても良し、ワサビ醤油で食べれば、爽やかな春の味わいである。

我が家で定番の洋風レシピは、内臓だけ取ったスメルトに塩をふって、そのまま軽く小麦粉をはたき、フライパンでオリーブ油かバターで炒めて、さいごにバジルをふりかけるというもの。簡単なムニエルであるが、これが実に白ワインと合うのである。

文:光岡則夫
1952年、横須賀生まれ。小学生の時に2年間をアメリカで過ごす。東京大学卒業後に電通に入社、旅行会社への転職を経て、1981年にロサンゼルスの DENTSU AMERICA へ。その後、オイル・チェンジのバルブを販売する会社をシアトルで起業。普段は釣りや松茸狩りなど、ワシントン州の四季を満喫する日々を送っている。『ぶらぼおな人』での取材記事はこちら。ワシントン州での釣り、松茸狩り、栗拾い、山菜取りなどについてまとめた 『人生そぞろ歩き』 を文芸社から出版。

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