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シアトルで紅鮭を釣る

紅鮭釣り

サーモンは海でも川でも湖でも釣れるが、それぞれ釣り方も異なれば、食味も異なる。

一生の大半を海で過ごすものの、生まれは川の上流なので、淡水魚である。稚魚は川や湖で成長し、やがて海に出てアラスカ沖を回遊した後に、3-5年ものの成魚となって、産卵期になると故郷の川を目指してシアトルに戻ってくる。

サーモンの種類

大きく分けて、サーモンは、キング、シルバー、紅鮭(Sockeye)、ピンク(カラフトマス)、チャム(白サケ)の5種類だが、前3者が川を遡上しても食味がさほど落ちないのに比べ、ピンクやチャムは淡水に入った途端に身体に婚姻色が出て、脂もすっかり抜けてしまって、もはや食べられる代物ではなくなってしまうのは不思議である。

川に入ったサーモンは、一切エサを食べなくなり、頭の中は産卵一色であるから、蓄えた栄養を使い切って、身が痩せてしまうのは無理ない話である。

しかし、なぜか紅鮭などは、川や湖に長くいても、まだ十分に美味しい。もともとの味のレベルが高いのか、燃費効率がいいのか、7・8月に湖で釣れる紅鮭も、海で釣れるものと味はほとんど違いはないようである。

紅鮭と言えば、かつてはレイク・ワシントンが有名で、都会のど真ん中の湖で釣れるサーモンとして貴重な存在であった。しかも、紅鮭は海ではなかなか釣れないものだ。紅鮭はオキアミやプランクトンを捕食してしているので、普通のエサには食いつかない。狭い湖に密集している時は、大量にいる魚の中の気まぐれなやつがルアーを食って結構釣れるのであるが、広い海ではそうはいかないのだろう。筆者もレイク・ワシントンでは3日で27匹釣ったことはあっても、シアトルの海で紅鮭を釣ったことは一度もない。

そんなローカルな紅鮭釣りの名所も、サーモンの回帰数が激減して、この7-8年は禁漁になってしまった。7月にバラードを抜けて湖に入る紅鮭が30万匹を超えないと、釣りは解禁にならないのである。今年の回帰数はまだ3万匹足らずであるから、今年も解禁は絶望的だ。

ベーカー・レイクでのサーモン釣り

その代わりに脚光を浴びているのが、ちょっと遠いがマウント・ベーカーのふもとにある風光明媚なベーカー・レイクの紅鮭である。遠いと言っても、シアトルから2時間ほどの距離だし、キャンプ場も数箇所あるので、一泊して早朝に運試しという手もある。目の前にマウント・ベーカーの雄姿を拝みながら、静まり返った湖面をトロトロとボートでトローリングして、魚信を待つ。ボートがないとできない釣りではあるが、小さな湖なので、カヌーやゴムボートでも結構釣っている人がいる。よく釣れるのは朝5時から8時頃まで。早起きが苦手という人にはサーモン釣りは向いていない。

釣り方

釣り方は至って簡単で、20~30ポンド・クラスの糸に銀色の反射板を結び、その12インチほど後ろに赤いハリ(仕掛け)を引いてやるのである。ボートの速度は人が歩くよりも遅いくらいがいいとされている。この反射板が水の抵抗で左右に振動し、その動きに好奇心の強いサーモンが引き寄せられるというわけだ。そのすぐ後ろにフラフラしている赤いハリが、サーモンには小さなエビやオキアミに見えるのかもしれない。実際に小エビをこのハリに付ける人も少なくないが、レイク・ワシントンではハリだけという仕掛けが最もよく釣れる定番であったから、よくわからないものである。

ベーカー・レイクの釣り・キャンプ場情報は下記の通り:

Washington Department of Fish and Wildlife: Baker Lake
Forest Service: Baker Lake / Middle Fork Nooksack

ワシントン州で魚釣りや潮干狩りをするには、ライセンスを購入する必要があります。また、量・数には制限があります。ワシントン州魚類野生動物管理局(WDFW)の公式サイトでライセンスを購入し、規則を読んでから出かけましょう。

文:光岡則夫
1952年、横須賀生まれ。小学生の時に2年間をアメリカで過ごす。東京大学卒業後に電通に入社、旅行会社への転職を経て、1981年にロサンゼルスの DENTSU AMERICA へ。その後、オイル・チェンジのバルブを販売する会社をシアトルで起業。普段は釣りや松茸狩りなど、ワシントン州の四季を満喫する日々を送っている。『ぶらぼおな人』での取材記事はこちら。ワシントン州での釣り、松茸狩り、栗拾い、山菜取りなどについてまとめた 『人生そぞろ歩き』 を文芸社から出版。

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