あのニルヴァーナのアルバム 『Nevermind』 を最初にオンエアしたことで知られるシアトルのラジオ局 KEXP 90.3FMが無料のスタジオツアーを一般向けに行っているとのことで、早速行ってきました!
1972年に放送を開始して以来、何度か移転してきた KEXP ですが、この春からシアトル・センターの北西の角にある一階建ての建物に移転しています。
中に入ると、シアトルのロースターカフェ 『Caffe Vita』のカフェになっています。広々としたスペースには、テーブルやいす、カウチなどがまばらに置かれ、時間がゆったり流れています。BGM はもちろん KEXP。こんなところで勉強や仕事をしたらはかどりそう?!奥のガラス窓の向こうが放送中の番組が制作されているスタジオです。
1st Avenue 側の入口を入って左手にある受付で名前を告げてチェックイン。あらかじめ予約していたので、名札が用意されていました。ガイドをしてくれるのは、ボランティア歴7-8年というジャック・ピューさん。なんと登録しているボランティアは600人もいるそうで、音楽好きのコミュニティに愛されている様子が伺えます。
ツアーは、カフェのコンクリートの床に描かれたアートからスタートしました。壁画などを主に制作するアーティスト、ジョナサン・ワクダ・フィッシャーさんによる作品『Fushigi』で、タイトルは日本語の「不思議」です。浮世絵などに影響を受けたというジョナサンさんは KEXP が以前に入居していた建物の壁にも作品を描いていたので、ご存知の方も多いかも。ちなみに、この作品はまだ未完成で、人知れず制作活動が行われ、少しずつ作品が大きくなっていっているそうです。不思議・・・
次は、ガラス張りになっている生放送中のスタジオをチェック。中では DJ さんがマイクに向かって話しているのが見えました。完全サウンドプルーフなので、外でいくら騒いでも聞こえません。この壁に使われている木には、小さな穴がたくさんあいているのですが、その理由は、ツアーに行ってのお楽しみ。入口の横にあるアイスランド出身の画家による有名ミュージシャンのコラージュ作品もお見逃しなく。
天井にはものすごい数のケーブルが。テクノロジー好きな方なら、ラジオ局の技術的な面にいろいろ興味があるかも。この右手の壁に描かれているのも前述のジョナサンさんの作品です。
局内にあるスタジオでは、午後に演奏するバンドが準備中でした。その録音作業をする部屋を見学。世界で大人気のマックルモア&ライアン・ルイスをはじめとするローカル・ミュージシャンたちも、ビッグになる前はこのラジオ局に入り浸っていたとか!常に新しい才能の発掘を積極的に行っている KEXP ならではの歴史があるんですね!
そして、CD は4万枚、レコードも数万枚を保管しているそう。ガイドのジャックさんが手に持っているのは、ニルヴァーナの 『Nevermind』 のレコード。ジャケットに貼り付けてある白い紙は DJ さんたちが感想などを書いたものだそうで、「このバンドはこれから何年にもわたって語り継がれるだろう」といったコメントを読むことができます。
コミュニティとの連携にも積極的な KEXP では、バンドのライブパフォーマンスを見られる機会も提供しています。ライブパフォーマンスのページで Public Sign Up と書いてあるものをチェックしてみましょう(開演90分前から並んで先着75名のみ)。
さらに、番組が作られるスタジオやビデオグラファーの作業場などもまわり、ツアーが終了しました。ここでは伝えきれない盛りだくさんな内容でしたので、ぜひシアトルの新しい名所として、このツアーを体験してみてください。子供も大歓迎ですよ。今回のガイドのジャックさんも、子供たちからのあらゆる質問に丁寧に答えてくれました。
2人の息子さんと参加したブラッド・ホワイトさんは「いつも運転中に KEXP を聴いているので、いつかスタジオ・ツアーに子供を連れていきたいと思っていました。今回のツアーがとても面白かったので、娘も今度連れてきてあげようと思います」と話してくれました。
KEXP は常にボランティアやインターンを募集しているほか、非営利団体のラジオ局として寄付も常に受け付けています。放送してほしい曲のリクエストがあれば、こちらのフォームからメールしてみましょう。