美しいカスケード山脈やオリンピック山脈とピュージェット湾に挟まれたシアトル。その変化に富む自然と共存する街を中心とした絶景スポットから、秋の風景を厳選します。
秋色に染まったカスケード山脈
マウント・レーニア国立公園のパラダイスは、夏はワイルドフラワーが有名ですが、秋の紅葉も有名。でも、パラダイスやサンライズからアクセスするトレイルの紅葉のピークは短いので、お天気がいい時はすぐに行ってみなくては見逃してしまいかねません。
カナダとの国境に近い、マウント・ベーカーの紅葉。秋は雨がしとしとと降る日が多くなり始める頃ですが、雨上がりの夜は空気が澄んで星がきれいに見えます。ピクチャー・レイクから眺める秋の星空は一級品。
ワシントン州は常緑樹が多いため、Evergreen State(常緑の州)という愛称がつけられていますが、きれいに紅葉するところもあります。カスケード山脈北部のチェイン・レイクス・ループや、セントラル・カスケードのラーチ・レイクなども人気があります。
チェイン・レイクス・ループは、マウント・ベーカーやマウント・シュクサンの雄大な姿が拝めることで人気のトレイル。写真をご提供くださった Miki さんは「写真では本当の美しさは捉えられません。ぜひ、実際に行ってみて下さい。Heather Meadows Visitor Center からスタートして、時計回りにハイキングするルートがおすすめです!」と話してくれました。WTA によると、春はワイルドフラワー、晩夏は野生のブルーベリー、秋は見事な紅葉と、年中を通してさまざまな楽しみがあるそうです。
スカジットの渡り鳥
スカジット・バレーは、ワシントン州の北西部に位置する渡り鳥観察の名所です。スカジット・リバーとスカジット湾に囲まれた肥沃なデルタ地帯、ファー・アイランド(Fir Island)は、特にバードウォッチングには外せないスポット。特に、毎年10月後半に越冬のためにシベリアから飛来するスノーギース(Snow Geese:白雁 ハクガン)の群れが有名です。スノーギースは、飛び立つ瞬間の音やその壮大な飛行パターンが特徴で、一斉に空を覆う様子は圧巻。スカジット・バレーの冬の風物詩ともいえます。また、渡り鳥だけでなく、多様な水鳥や湿地の生態系も豊かで、他の動植物の観察も楽しめます。
世界遺産のレインフォレスト
世界遺産のオリンピック国立公園には世界的にも珍しい針葉樹の雨林があります。なぜか乾燥した夏に訪れる人が多いのですが、レインフォレストは雨の滴る時期こそ美しいのをご存知ですか?濡れた苔に覆われた樹齢数百年の樹木がうっそうと生い茂る森林は、歩を進めるごとにその表情が変わります。
ワシントン州最北端の冬の海
鉛色の空の下、暗鬱な空気を含み、生命の気配を消した冬の海。北緯48度を越えるワシントン州最北端の海岸は、オリンピック国立公園内の太平洋にそって細長く伸びた部分にあり、地の果てという表現に似つかわしい風景が広がっています。
スカイコミッシュ・リバーの紅葉
シアトル地域から州道2号線(US Route 2)でも、ところどころできれいな紅葉が楽しめます。州道沿いを流れるスカイコミッシュ・リバーは、カスケード山脈の冷たい水が流れ込む全長約29マイル(約47km)の急流で、ホワイトウォーターラフティングやカヤック、釣りで人気のスポットがあります。
スカイコミッシュ・リバーは、氷河から溶け出した水が流れ込んでいて、水温は常に低く、流れが急な川です。ロッククライミングのメッカとして有名な町インデックスの近くにあるイーグル・フォールズは、2020年に TikTok で有名になって以来、たくさんの人が訪れるスポットとなりましたが、溺れたり、死亡者が出たりする危険度の高い滝です。2024年3月にも日本人男性が二人も亡くなっています。
ワシントン州の宝石、海に浮かぶ島々
一年のうち平均247日が晴天というサンファン諸島は、冬場の手軽な避雨スポット。絶景ポイントは、海に浮かぶ島々の間を縫って進むフェリーからの眺めです。諸島最高峰のマウント・コンスティテューションからも、大小の島々が水上に点在している風景が楽しめます。
黄金色の夕日と影 ゴールデン・ガーデンズ
シアトルのバラードにある絶景夕日スポット、ゴールデン・ガーデンズ公園。夏場はバーベキューやスポーツなどを楽しむ人々で賑わうビーチだが、閑散とした冬場に一日の終わりを告げる日没を眺めるのは、また格別。葉を落とした木々やオリンピック山脈のシルエットが、黄金の光に浮かび上がる。
文:渡辺菜穂子・編集部