今回は私のホーム・トレイル、Poo Poo Point(プー・プー・ポイント)を頂上とする Chirico Trail をご紹介しましょう。I-90 のイサクア Exit 17を出てから約15分くらいのところにあります。ジムで過ごすにはちょっともったいない天気のいい夏は、会社が終わった後によくこのトレイルに行きます。イサクア近辺にはたくさんトレイルがありますが、私がここをホーム・トレイルと呼ぶ理由は:
- 家から近くて気軽に行ける
- “Challenging” な運動量をくれる(決して簡単ではないですが、やってやれないことはないレベル)
- 長さ的にもちょうど良く、パッと行ってパッと帰ってこられる
そしてそして、大事なご褒美は・・・頂上から見られるきれいな景色はもちろんのこと、パラグライダーのジャンプを見られることです。
頂上までのトレイルはほとんどが木に囲まれていて、お日様がでている暑い日でも意外にひんやりします。また、雨の日が続いた後でもトレイルが乾いていて歩きやすく、いつも感心するほどトレイルの整備が行き届いています。
片道2マイル弱(約2.8キロ)、森の中を登っていくと、急に右手にマウント・レーニアがくっきり見える斜面南側のオープンスペースに出ます。といってもこれは頂上ではありません。この最初のオープンスペースを通り越して、また先にある森に進んでください。この地点が頂上と思ってすでにくつろいでる人がいたら、もっと上ですよと教えてあげましょう(笑)。
そこからまた20分くらい歩くと、今度はサマミッシュ湖側のオープン・スペースに到着です。ここが山の頂上。そしてパラグライダーたちのジャンプ場でもあります。
気温が高ければ高いほど、空気が暖かくて、パラグライダー達は空中に長い間滞在していられるそう。天気がいい日はジャンプの順番を待つパラグライダーで列ができるほどです。
自分だけで飛べるようになりたい人は、何十時間かに及ぶ授業と実習をこなす必要があり、もちろん費用も何千ドルとかかるらしいですが、Seattle Paragliding に代表されるパラグライディングの会社などでは、資格を持つパイロットのお腹にくっついて飛ぶタンデム方式なら、10分程度のガイダンスのみで誰でもパラグライディングを試すことができます。
パラグライディングの会社は裏山の道路を車で行き来できる許可を持っていて、タンデムをしたい人は追加料金を払えば地上から送迎もしてくれます。年をとったご両親などに頂上からのきれいな景色を見せてあげたいなんていう人も使えるサービスですね。
パラグライダーの常連たちはたいていものすごい大きな荷物を背負って私達と同じトレイルを汗だくになりながら登っています。ある人が「今日は僕はこれで3回目だよ」と話してくれたこともありました。
いつのことだったか、いつものように夏の夕方、頂上までハイキングしてジャンプを見ていたら、友達同士で来ていたらしいアジア系の若い3人組(女の子1人、男の子2人)が、これからタンデムジャンプをしようと、パイロットの説明を聞いていました。パイロットに「パラシュートを操作して、行けそうだったら “走れ” と合図するので、それを聞いたら躊躇せずにとにかく山から飛び降りるべく走れ」と言われているようでした。誰が最初に行くかと聞かれ、勇敢にも女の子が手を挙げました。3人とも18歳くらいにしか見えませんでしたが、男の子も含めてみんな細い。アメリカ人のマッチョなパラグライダーのお腹にくっつけられるとさらに小さく見えます。そして、いよいよパイロットが風を操作してパラシュートが空中に上がり、それと同時に大声で “RUUUUUUUN!” という叫び声が。お腹にくっついてる女の子は真剣そのもので、わき目もふらずに必死に走り出しました。でも、本人は走ってるつもりでも、脚が地についておらず、エア Run 状態。パイロットがやっとタイミングを整えて2人がジャンプしたときは、その様子を見ていたみんなが拍手喝采したのでした。
このパラグライダー、人気があるとはいえ、いまだに1年に1度くらいは、落っこちて近所の木にぶら下がっているとか、ひどいときには亡くなっているとか。そのたびに巻き起こる交通渋滞で近所の人にはあまり評判がよくないそう。シアトルだったかどうか忘れましたが、過去には近所の人が上を通り過ぎるパラグライダーをエアガンで撃って問題になったニュースがありました。撃ったほうは、プライバシーの侵害だと怒っていたそう。
「で、由佳子さんは、やってみてどうでしたか」って?
実は私は高所恐怖症なので、やったことないんですよ~。ははは、すみません。自分が飛び降りるなんて考えただけで、おへそがくすぐったくなっちゃいます。
これも何年か前の話、そのときは友達と2人で頂上まで行きました。またまたジャンプする人たちを見て楽しんでいると、なにやら怪しげな男の人が近づいてきました。「君たち、パラグライディングやってみない?」 聞いてみると、タイガー・トッドと名乗ったこの人、プロのパラグライディング・パイロットであるものの、お客さんの予約が入ってなかったにも関わらず、「せっかく天気もいいし、誰か興味ありそうな人がいるかも」と、頂上まで来てみたそう。私の友達は、実は前々からやってみたかったようで、普通の値段だったら200ドル近くするところをなんと75ドルまで値切って、とうとうやると決断。支払いも後でチェックを送ってくれたらいいからということになった。そして、彼女の荷物は私がかついで降りることに。
実際に空中にいたのは15分ぐらいだったそうですが、パイロットは空中で写真を撮るのもちゃんと手伝ってくれたそうで、友達は「Bucket list(死ぬまでにやりたいこと)の夢がひとつ、思いがけない形でかなった」と、満足そうでした。
一方、自分と彼女の荷物を背負って下山した私は、どんなに急いでも2マイル弱の山を下山するのに40分はかかりました。友達は着地地点で冷たい飲み物をごちそうになって、うれしそうでした。
この Chirico Trail、私は今でも1人で行くことが多いですが、熊がいたという話も聞きましたので、くれぐれも気をつけてくださいね。
私のように夕方に行く分には問題ないのですが、パラグライダー着地エリアに場所をとられて駐車場がものすごく小さくなっているので、週末などは早めに到着することをお勧めします。近所にある高校の側に停めるという投稿も見かけますが、そこから出発するとかなり長い距離を歩くことになります。
さて、最後に、英語がわからない人でも、「プー・プー・ポイントって面白い名前だなあ」と思いますよね。今回、なぜこの名前がついたのかちょっと調べてみました。シアトルのテレビ局 KING5 によると、昔むかし、木こりたちが合図を送るのに使っていた笛の音が「プー・プー」と聞こえたので、そこからプー・プー・ポイントという名前がついたそうな。
Loggers used whistles to communicate from the logging tower operator to the workers down the hill. According to the Issaquah Historical Society, the whistle would be a signal that two logs were tied to a cable, ready to be towed. The whistle made a sound like “poo poo,” hence the name Poo Poo Point.
天気のいい日の夕方に行くと、もしかしたらハイキング中の私に出会うかもしれませんね。
Happy flying!
Poo Poo Trail – Chirico Trail
詳細情報 | Washington Trail Association: Poo Poo Point – Chirico Trail |
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難易度 | 中級 |
ハイキング 往復距離 | 3.6マイル(約5.76キロ) |
標高差 | 1,700フィート(約518メートル) |
必要なパス | なし |
その他 | リーシュつきなら犬同伴も可 |