さまざまな仕事を経験してきたフランシスさん。大学在学中に電気工学に興味を持ち、その流れでコンピュータの小売店に就職。コンピュータ産業・IT 産業が急激に成長し、インターネットが発展してきた1980年代である。
コンピュータ産業の成長にはとてもわくわくしていたよ。ビジネスとしても成長の兆しが見えていたんじゃないかな。当時のコンピュータは大きなもので1000万するものもあった。ストレージ(コンピュータの主要な構成要素の一つで、データを永続的に記憶する装置)もディスプレイも大きくなって、変わっていったね。この時は、コンピュータを使って人を助ける仕事をしたかったんだ。商品の機能を学ぶよりも、お客さんのニーズに合わせた接客の仕方を学んだよ。
仕事以外には、健康な食事について興味を持っていたことが、レストラン経営に発展した。
『Diet for a New America』という映画を見て、ベジタリアンの生活は健康に良いと知ったんだ。そして、ベジタリアンになって、健康促進運動を展開するようになった。それから、もっと多くの人々にベジタリアンの生活を知ってほしい、健康な食事により長生きをして欲しいと思って、栄養があって美味しい健康的な食事を提供するレストランを開店したんだ。料理を作っている時はとても楽しかったし、食事を提供している時はとても幸せだったよ。
「25歳の時は今の自分を想像していなかった」
25歳の時は今の自分を想像していなかったよ。銀行じゃなくて、もっと違う職に就くと思っていた。でも、これからの銀行はただお金を貸すだけじゃなく、社会貢献をしている団体にお金を貸すべきだと思うんだ。今はそれが自分のやりたいことかな。今振り返ってみると、金融もテクノロジーで発展しているし、経営していくには金融の知識を得ることで自分の会社を経営できる。また、エンジニアも組織を運営するにあたって、マネジメントする力が必要だと思う。例えば、エンジニアの人が MBA(経営学修士)を取ったら、経営者としても成功できるし、PL(製造物責任者)だけで終わることなく、金融の力、コミュニケーション能力で CEO(最高経営責任者)にもなれると思う。
自ら新しい道を切り開いてきたフランシスさん。今までに不安や悩みはあったのだろうか。
僕は3回転職しているけど、その時に不安はなかったな。レストランを売却した後、本当は食品事業を継続したかったけど、シアトル地域でベジタリアン・フードを生産または提供する会社を見つけることは難しかった。最終的には、私自身や家族にとって、僕が仕事を見つけなくてはならなくなり、地元紙で銀行の経験を必要としなかった銀行のマネージャーの募集広告を見つけたんだ。面接を受けた後、採用されたよ。それ以来、銀行での時間を楽しんでいるね。面接のときに、あなたは金融の知識はないけれども、マネジメントとするスキルがあるし、コミュニケーションも取れるから、銀行で活かすことができると言われたんだ。面接は短い時間で、いかに自分のことを伝えられるかが大切だね。会社に入ってからは、自分のマネジメント力を活かして、社内の10%しかもらえない賞を戴いたよ。
学生時代は DJ をやっていたこともあるという、多才なフランシスさん。昔から人々を楽しませたり、自分で新しいモノを作るのが好きだった。
僕の趣味は音楽かな。ランニングの時によく音楽を聴いていた。ルームメイトと一緒に小さいビジネスをやって、大学のダンスフロアを借りて友達とダンスパーティーを開いていたな。友達の好きな曲の系統に合わせてダンスの曲をチョイスして、踊って楽しんでいたよ。みんなと音楽を通してコミュニケーションをとる楽しみを覚えたんだ。この頃からコミュニケーション・スキルが身についていたのかもしれないな。
今の若者にメッセージを。
自分自身の領域だけではなくて、もっと心を開いていろいろなことに挑戦するといいよ。いつも質問を持つことが大切かな。すべての良い変化は、重要な質問から生まれると思うんだ。どのように人々を助けられるか、どのようにコミュニティを助けられるか、どのようにこの問題を一緒に解決できるか。最後に、何に対しても質問を持って欲しい。変化や革新は素晴らしい質問から生まれる。あなたも質問を持つことを大切にして欲しい。みんなで協力して質問を出して欲しい。お互いにみんなで取り組めるような素晴らしい質問は、何の場においてもすごく価値あるものだと、私は思うよ。