石川小百合(Sayuri Ishikawa)
「周りの人からの支えに感謝し、今度は支える側に」
今回の iLEAP プログラムを通して学んだことはたくさんありますが、思い返してみると「感謝」というキーワードが最も心に残っています。一人では生きられない、自分は周りに生かされている、ということを何度も痛感しました。
特にこのプログラムは、1人では何もできません。自分は一体何者なのか、自分は将来何をしたいのか、そのような深い問いは自分だけで掘り下げられるものではありません。友人からの何気ない質問の中で気づかされることが多々ありました。
またこの一ヶ月間、さまざまな経験を積むことができましたが、時にはどうしても気分が下がってしまうこともありました。そんな時、いつも友人が声をかけてくれたり、何も言わず手を差し伸べてくれたりしました。
グループ・プロジェクトでも3人の方にインタビューを行いましたが、全員の話に共通してあった思いは「感謝」である、と私は感じました。支えがあってこそ、今の自分がいる。周りの人からの支えに感謝し、今度は支える側になる。当たり前のようですが、非常に難しいことです。だからこそ、感謝の心を持って、このプログラムで受けた支えを与える側に回る、それが私の次のステップです。
高橋健人(Kento Takahashi)
「新たな立ち位置で、無理なく自分を出せることに気づいた」
iLEAP の活動を通じて感じた一番の変化は、団体における自分の立ち位置や役割の変化です。
今までは、何か強い目標を持っている時、人をあまり頼ることなく、自分がそのプロジェクトを率先しようとしていることが多かったと思います。それがコミュニティの輪を乱したこともありました。でも、今回、私たちのチームは支え合わなければならないからこそ、頼りあい、信頼し合える関係を作ることができたのではないかと感じています。列の先頭に立ってみんなを引き連れて役割を果たそうとしていた自分が、列の最後尾で乱れを整える形で役割を果たすことに向いていて、だからこそ無理なく自分を出していけることに気がつきました。
北中茉莉絵(Marie Kitanaka)
「自分の意思を積み重ねて、少しずつ進んでいきたい」
日本で就職活動が始まる時期にシアトルに来ました。自分が社会で働くことを意識したとき、やりたいこととやれることに大きなギャップを感じていたことは、シアトルに来ることにしたひとつの理由です。
今回このプロジェクトで3人の方にインタビューをして印象的だったのは、自分の意思で「今」を生きていくことが幸せに繋がるということ。何かを決断するとき、「~しなければいけないから」「これが一般的だから」という考えが浮かんできて自分の心に耳を傾けられないことがよくあります。でもそれは誰の人生を生きていることになるのでしょうか。今回のシアトルでの時間は、これまでの21年を振り返ると同時に、いま何がしたいのかを考えるきっかけとなりました。少しずつではあるけれど、これからは自分の意思を積み重ねて進んでいきたいと思っています。家族や社会のために何か役割をはたせるのは、きっとその先です。
白井宏美(Hiromi Shirai)
「今にこだわりすぎずに、もっと大きく構えて大丈夫」
私にとっての大きな転換期というタイミングで参加した、今回のiLEAPプログラム。「今にこだわりすぎずに、もっと大きく構えて大丈夫」。今回のジャングルシティでのプロジェクトを終えての一番の学びはそれでした。
今それぞれの場で活躍されている方3人に「25歳だったころ」をテーマにお話を伺ったとき、ターニングポイントはそれぞれあれど、人生全体からすればその時期はほんのわずかな部分にすぎないことに気づかされました。それまで、「今」という時間になんとか大きいことを決断したい、前進したい、と思って少し力んでいた部分がありましたが、良い意味での力みが抜けた気がしました。
20代でまだ経験も少ないため、一つ一つの経験を大局的に見ることは難しい。でも、だからこそ下手な先入観を持たずに、もっと大きく、自分の興味に貪欲に、そして気軽に楽しんでいきたいと思いました。人生の先輩であり、尊敬する方々と、これを機会に関係を深めることができてとても嬉しかったです。
小林健一(Kenichi Kobayashi)
「自分と向き合う時間の中で見えてくるもの」
今回のプロジェクトでは、チームにおいてとても重要だと思うことを、形として認識することができました。日本ではリーダーの理想像は、スティーブ・ジョブズのような人たちと認識されているでしょう。僕も以前はその一人でした。しかし、実際にリーダーの立場に立ってみると、そんな理想像に近づこうとすればするほど、「違う」と感じ始めることがありました。シアトルに来る前は、そんなふうに感覚でしかつかめていなかったものが、今回ある程度目に見える形で自分の中に落とし込めたのは、とても重要なことだったと考えています。
もう一つは、 「自己との向き合い方」。これはiLEAPでの、シアトルでの生活の一部と言ってもいいくらい、繰り返し繰り返し自分に問いかけました。でも、人に相談したりして、見えかけたと思ったら雲に隠れてしまうような、行ったり来たりするような感覚でした。 日本では「平均であること」が重要視される中、僕はどうしてもその形だけの物に、ただただ反抗することしかできていませんでした。でも、iLEAPで、自己と向き合う時間と場所を作ってもらい、少しづつ自分の心と頭と会話することで、見えてくるものがありました。
大事なのはこれから。日本に帰って、どれだけそんな時間と場所を自分で作ることができるかだと思う。でも大丈夫な気がします。僕は今、一人ではなく、仲間がいるから。
掲載:2015年4月