シアトルに住むソーシャルワーカーの角谷紀誉子さんとビジネスコーチの森山陽子さんが、海外生活者が日本に住む家族の介護をする場合の情報を満載したハンドブック 『遠隔介護ハンドブック』 を制作。今月21日から、その出版にかかる費用をクラウドファンディングで募っている。
ボランティア活動で知り合った角谷さんと森山さんは、日本の親に対する気持ちを語り合ううち、同じような悩みを抱えている人たちのためになるはずと、2014年と2015年にシアトルで「遠隔介護セミナー」を開催。その際、さまざまな状況の参加者に役立てようと制作した資料が、このハンドブックの下地となった。
日本の介護保険や介護サービス、介護施設などのシステムは複雑で、自分でリサーチしても、日本の家族との情報格差を埋めるのは簡単ではない。また、親の介護については、親が元気なうちは話し合いを先延ばしにしてしまったり、海外から一時帰国して久しぶりに会う場合はなかなか切り出せなかったりすることもある。
そういった状況の体験を踏まえ、このハンドブックでは、自宅で元気に暮らしている状態から、施設で暮らすようになったり、介護が必要になったりした場合、そして亡くなった後までという段階別に、平易な言葉を使った日本のサービスやシステムをケーススタディを多用してわかりやすく紹介するように工夫した。今からどんな予防策を実行することで、日本に介護帰国したり、そのために介護離職となってしまったりする可能性を減らすことにつなげられる可能性もある。
クラウドファンディングでの支援目標金額は1万5千ドル(約150万円)。まずは紙の書籍1,000冊を4月に印刷し、その後、他の地域の日本人もアクセスできるよう電子書籍化を予定している。
このプロジェクトに関する問い合わせは、遠隔介護ハンドブック制作チームまで。クラウドファンディングの詳細はこちら。
掲載:2017年1月