シアトル在住のフードライターのマシュー・アムスター=バートンさんが8歳の娘アイリスちゃんと妻のローリーさんの3人で1ヶ月にわたり東京・中野を中心にフツーの日本食を食べ歩いた経験をつづって昨年4月に出版した 『Pretty Good Number One: An American Family Eats Tokyo』 が、今年6月、日本語に翻訳され話題を呼んでいる。マシューさんに、日本語版 『米国人一家、おいしい東京を食べ尽くす』 について、そして今後の予定について伺ってみた。
日本語に訳したいという問い合わせを受けた時、どう思いましたか?
嬉しい反面、驚きました。僕の本は東京と日本食の軽い紹介で、日本人の読者が興味を持ってくれるかどうかわからなかったから。日本人でない読者はこの本を読んで知ることが多いと思いますが、日本人はこの本に書かれていることはすべて知っているでしょう!でも、自分の国について読むのは面白いですけどね。例えば、シアトルを訪れた日本人家族の経験など、ぜひ読んでみたいです。
日本語に訳される時、最も大事だと思ったことは何でしょう。
ユーモアのセンスと謙虚さですね。ジョークを訳すのは難しいですが、翻訳してくださった方はとてもうまく訳してくださいました。この本を書いていた時、自分が日本のエキスパートでないように書くようにしました。だって自分はエキスパートではないですからね。なので、僕が日本食や日本の文化について勘違いしているところで笑っていただけたらと思います。
日本語版について出ているレビューについてどう思われますか?
とても公平に見てくださってると思います。アメリカ人と比べて、日本人のオンラインの評価は厳しいですよね!(『食べログ』 と英語の 『Yelp』 を比べてみたことはありますか?)
僕の本の日本語のタイトル 『米国人一家、おいしい東京を食べ尽くす』 は、マイケル・ブースの著書 『英国一家、日本を食べる』 を彷彿とさせますね。マイケルの著書は大成功しましたから、出版社はとても賢い決定をしたと思います。でも、僕の本がマイケルの著書と似ていることを期待した方はガッカリするでしょう。表面的には似ていますが、マイケルの家族は1年間にわたり日本を旅し、シェフや職人に会い、高級レストランで食事し、日本食に対してジャーナリスティックなアプローチを取っています。一方、僕の場合は、家族で東京のアパートに1ヶ月滞在し、B級グルメとコンビニ、スーパーマーケット、そして東京の日常的な食べ物と生活について書いています。短く言えば、さまざまな評価を受けていますが、それでいい!ということです。
日本と日本食に関する、新しいプロジェクトはありますか?
ラーメンに関する本を書き始めているのですが、その方向性をまだ検討中です。夏の間に福岡の友人たちを訪ねるので、福岡の素晴らしい食事と、ゆったりした雰囲気について書きたいと思っています。水炊き、もつ鍋、餃子、博多ラーメンなどなど・・・。また、鹿児島の茶葉生産工場も訪れる予定です。そこから何が生まれるのかはわかりませんが、これからも日本と日本食について書いていくと約束します。
マシュー・アムスター=バートンさん 公式サイト | Twitter
掲載:2014年7月