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日本と西アフリカの伝統芸能に心躍る 第2回ベルビュー・ワールド太鼓フェスティバル

ちきり

ちきり

Japan Creative Arts が主催するベルビュー・ワールド太鼓フェスティバルが、第2回目の今年、レクチャーやワークショップも含め1月15日(金)から17日(日)の3日間に渡り開催された。

16日の昼の部の公演には大村昌弘在シアトル総領事が出席し、太鼓が古くからさまざまなシーンに欠かせないものとして人々に親しまれてきたことを紹介。また、自身がケニアに駐在していた経験から、西アフリカのベナンとガーナのダンスとパーカッションを披露する「ガンサンゴ」のステージを楽しみにしていると語った。

公演は、長野県を拠点とし、海外でも高い評価を得ている芸能集団「和力(わりき)」の 『祈りの舞』 からスタート。会場が一気に異空間に変わり、神聖な場所へ導かれているようで背筋がピンとなる。

続いては、Japan Creative Arts 主宰の立石鈴太郎さん、あさこさん、息子の颯春(そうしゅん)君が結成した「ちきり」による 『嵐の中へ』 と 『青天~西カラック』。太鼓の音が魂に響く。そしてなにより立石さんたちが笑顔で楽しそうに演奏をする姿が印象的だった。

府州太鼓とちきり

立石さんがディズニー・ワールドをはじめフロリダ州オーランドを拠点に活動していた時代からの友人で、南フロリダをベースに世界でも活躍している「府州太鼓」との共演、西アフリカの伝統を伝えるシアトルのパフォーマンス・グループ「ガンサンゴ」が魅せるダンスとパーカッションも会場を大いに沸かせた。

ガンサンゴ

第2部は「和力」の独演。太鼓だけでなく、大道芸、舞、笛、三味線が織り成す伝統芸能を披露した。まずは加藤木朗(かとうぎ・あきら)さんによる日本の古典芸「独楽の芸」。ユーモアたっぷりのトークと巧みな芸で笑いを誘い、歓声があがる。続いて、コミカルな動きで笑いを誘う獅子舞。獅子に頭を噛まれることは、無病息災・魔除け・厄祓いになると言われる縁起の良いもので、観覧席に下り、最前列の観覧者の頭を噛んでみせるパフォーマンスも。さらに、津軽三味線の『じょんがら節』、三味線デュオの『忍者』は、力強い撥さばき、素早い指の動きで魅せるメロディ、切なさを感じさせる弦の響きが圧巻だ。

和力 『鶏舞』

最後の演目『鶏舞』は夜明けを呼び込む鶏の舞で、太古の昔、天照大神が天岩戸に隠れたため、真っ暗になってしまった世の中に明るさを取り戻そうと祈りを込めて舞ったのが起源とされる。華やかな衣装に身を包んだ加藤木さんによる渾身の舞は、明るい夜明けを呼び込むようで、今年一年が明るい年になりそうな希望を感じさせた。

フィナーレでは出演者全員が『東風』を合奏。太鼓の種類や人種、文化を超えて日本とアメリカ、西アフリカが一体となりスタンディング・オベーションでの大きな拍手に包まれた。

出演者全員で『東風』を合奏

第3回目の開催にも意欲的な立石さん。今後も太鼓や文化を通して、日本と世界を繋ぐ活動に期待したい。

掲載:2016年1月

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