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ベルビュー・ワールド・太鼓フェスティバル – 日本から米国、そして世界へ 太鼓の舞台芸術としての歴史と広がりを体感

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ジャパン・クリエイティブ・アーツが主催するベルビュー・ワールド・太鼓フェスティバルが、10月6日・7日の2日間にわたりベルビュー・カレッジにて開催され、両日2公演とも満員で計600人が来場しました。

ベルビュー・ワールド・太鼓フェスティバル

第3回となった今年は、日本の伝統芸能の太鼓を舞台芸術に昇華させた鬼太鼓座出身で『ちきり』『太鼓の学校』の代表を務める立石鈴太郎さんがシアトルを拠点に展開する太鼓の世界と、日本の太鼓の真髄を伝えつつ、生まれ育ったアメリカで培った感性で曲作りを行うケニー・遠藤さんの太鼓の世界が融合し、太鼓の舞台芸術としての歴史と広がりを体感する舞台。オープニングでは、劇場の舞台と客席上部にある広いスペースの両方で太鼓の音が響き渡り、会場全体を一気に太鼓の世界に引き込みました。同フェスティバルのプロデューサー、立石あさこさんにお話を伺いました。

これまで日本人の方々をゲストとして日本からお招きになっていましたが、今回はアメリカ出身の太鼓奏者、ケニー・遠藤さんとのコラボレーションでした。どんな新しい体験をされましたか?
これまでの公演で第2部は日本からのゲストの演目で構成していましたが、今回は日系2世で太鼓奏者のケニー・遠藤さんと、シアトルに舞台芸術としての太鼓を初めて紹介した鬼太鼓座の座員だった立石鈴太郎が同じ舞台に立つということで、北米での太鼓の歴史にも焦点を当てた舞台づくりをしました。

太鼓奏者でもあり、パーカッショニストでもあるケニーさんのリズムが『三宅』や『屋台』といった、日本に昔から伝わる演目に入り込み、ひとつの曲になるという面白い試みとなりました。私たちはあくまでも日本の雰囲気を崩さず、舞台の所作などで凛として粋な表現を保つよう心がけ、シンバルや小さめの太鼓で作ったセットで演奏するケニーさんと対比することで、コラボレーションの面白さを出すよう工夫し、今までよりもっと自分たちが奏者として参加した公演になったと思います。

舞踏家の奥村薫さんと3人で作った演目は、私たちの今までの流れと違ったために「あれ?」と思われた方もいらっしゃるかもしれませんが、舞踏は日本で生まれた踊りのジャンルであり、太鼓との作品を創ることができたのは意義深いです。また、シアトルの太鼓グループ・古今太鼓のスタン・シクマ氏による講演や、Kimono Art の香山真理子さんによる着物と袴の解説のおかげで、身体と感性で感じる部分が大きくて知識が必要とは思われない音楽に、新たな視点を増やし、演奏をより深く楽しんでいただけたなら嬉しいですね。

また、8周年を記念して、太鼓を始めて8年目の生徒さんを中心に構成した Cascades Taiko Drummersをお披露目し、『太鼓の学校』を立ち上げたときからの構想を実現しました。今後はさらに広い範囲からの奏者を募集し、演奏活動を継続したいと思っています。

ベルビュー・ワールド・太鼓フェスティバル

今回の公演には日本人の方もたくさんいらっしゃいましたが、実にさまざまな人種の方がたくさんいらっしゃり、立石鈴太郎さん・あさこさんのこれまでの活動が日本人以外の人にもリーチしていることをとても強く感じました。
それこそ、私たちの大きな目的です。日本に興味のある方が、太鼓を通じ、より日本に魅力を感じる、あるいは、日本についてまったく知らない方が、太鼓の音に引き寄せられて日本を知る入口となる、そのために日本からアメリカに移住して太鼓のプログラムを提供してきました。今回、そのような方がたくさん来てくださっていたなら、シアトルでの8年間の活動が少しづつ成果をあげてきているのかな、と思えます。これからのやりがいにつながりますね!

一口に「太鼓」といっても、さまざまなタイプがあります。私たちが演奏しているものは、立石鈴太郎が幼少からたしなんできた御諏訪太鼓、成人して入座した鬼太鼓座、フロリダのディズニーワールド・EPCOTで演奏していた助六太鼓、それぞれのテイストが立石鈴太郎という一人の太鼓奏者の中でミックスされてできた作品ですが、鬼太鼓座での経験は何よりも日本の太鼓の原点を表していると思います。それを核に、アメリカや韓国などの国のリズムを融合させ、観客の皆さんの体の中、魂の部分を揺るがすようなものを創ることができれば、と思っています。

ベルビュー・ワールド・太鼓フェスティバル

今後の活動について教えてください。
2018年3月3日・4日の2日間にわたり、佐渡を拠点とする太鼓芸能集団『鼓童』に 『三宅』の演目を指導し、日本をはじめ、世界各地で活躍している三宅太鼓芸能同志会の主要メンバー4名による公演とワークショップを企画しています。3月3日の公演はひな祭りにあたりますので、太鼓とひな祭りという趣向の舞台プログラムをお楽しみいただける予定です。

ありがとうございました。

【お知らせ】
ジャパン・クリエイティブ・アーツでは、2018年3月3日・4日の公演のスポンサー、そしてロビーでの出店者を募集しています。ご興味のある方はお気軽にお問い合わせください

また、3月4日に開講するワークショップでは太鼓経験者コースと初心者2時間コースが用意されます。今年3月の『三宅』のワークショップには、カナダ、カリフォルニア、フロリダ、日本(!)と、広い地域から『三宅』ファンが参加し、すぐに満員となったそう。詳細は随時ジャパン・クリエイティブ・アーツのニュースレターやSNS、ウェブサイトなどで告知されるので、参加ご希望の方はお見逃しなく。

掲載:2017年10月

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