去る8月31日、日本のエース・渡嘉敷来夢選手がプレーする WNBA シアトル・ストームが本拠地キーアリーナでダラス・ウィングスに78-66で快勝。日本の文化などを紹介する 『セレブレート・ジャパン・ナイト』 というイベントも企画され、多数の日本人が参加して声援を送った。
試合は開始直後から前半はシアトル・ストームがリード。後半では何度かウィングスに追いつかれる場面もあったが、ストームが逃げ切った。リオ五輪で金メダルを獲得したアメリカ代表のスー・バードとブレアナ・スチュワートが積極的に攻め、ガードのジュウェル・ロイドも23得点をあげて勝利に大きく貢献。リオ五輪に日本代表として出場した渡嘉敷選手も13分出場で2得点。フリースローのチャンスはものにできなかったが、相手チームから何度もボールを奪う、すばらしいディフェンスを見せた。
アメリカのスポーツの試合は観戦以外にも観客を楽しませるためのエンターテイメントが用意されているのが常だが、シアトル・ストームは試合開始前やハーフタイムに 『セレブレート・ジャパン・ナイト』としてファンを巻き込んだ催しを展開。『日本祭 CELEBRATE JAPAN NIGHT』と書かれたプログラムの配布、試合中のタイムアウトでの日本の絵文字やポップソングを渡嘉敷選手が紹介する映像、シアトルを拠点として活躍する和太鼓のプロ集団『ちきり』と『太鼓の学校』 の演奏など、客席と一体感を作ろうという積極的な姿勢がうかがえた。
試合後には、渡嘉敷選手と、特別ゲストのシアトル・レイン FC 宇津木瑠美選手が Q&A を行い、100人を超えるファンが集まった。リオ五輪についての感想を求められた渡嘉敷選手は「五輪の前から、チームメートのスーとブレアナには負けたくないと思っていた。日本の渡嘉敷はこんなだぞというのを見せたかった」と負けず嫌いの一面を見せ、「結果的にメダルには届かなかったが、自分が成長するチャンスになった」と振り返った。プロのアスリートを目指す子供たちへのアドバイスとしては、両選手とも、その夢を “手放さない” ことだと述べた。また、自身もスポーツをやっているという観客からの「壁にぶち当たった時はどうするか」という質問に宇津木選手は「選手生命の終わりを考える年齢になってきたが、いまだに壁にぶつかり続けている。それは自分には成長できる余地がある、まだまだサッカーを続けられるということだと考えている。壁にぶつからなくなったら、それがサッカーをやめるときなのかもしれない」と言葉を選びながら真摯に答えていた。
この勝利でプレーオフ進出圏内の上位8チームに入ったストーム。9月2日からアウェーの4連戦が始まる。次のホーム試合は9月11日で、ロサンゼルス・スパークスと対戦する。
掲載:2016年9月