日米関係の強化に向けて日本人・アメリカ人・日系アメリカ人が協力し合うことを目的に活動する非営利公益法人・米日カウンシルの年次総会が、今月5日・6日の2日間にわたり、ダウンタウン・シアトルのフェアモント・オリンピック・ホテルで開催された。
5日の開会式では、米日カウンシルのトーマス・イイノ理事長が「ここしばらく中国に注目が集まっているが、アメリカとしては日本との関係を重視している」と述べた。民主党のダニエル・イノウエ上院議員も、第1回目は100人以下だった参加者が今年は350人以上に増えていることを称え、米日カウンシルのこれまでの取り組みと成果を高く評価した。
年次総会は午前と午後の2部に分かれ、教育・テクノロジー・経済・起業など幅広いテーマに基づいたセッションから興味のあるものを自由に選んで参加できる形式となっている。午前中は米日カウンシルの主導する 『TOMODACHI』 プロジェクトの一環で、東北地方の復興に貢献し雇用機会を創り出すビジネス・アイデアを競う 『TOMODACHI 東北チャレンジ』 の決勝が行われ、注目を集めた。優勝したのはナノミストテクノロジーズ社の松浦一雄氏。ビジネスに対する情熱の強さと、東北との結びつき、ビジネスモデルとしての将来性が評価された。
また、午後は東日本大震災による洋上漂流物に関するシンポジウムに関係者らが多数出席。9月に野田佳彦首相が米国に500万ドル、カナダに100万カナダドルの見舞金を送ると発表したことについて、外務省の伊原純一・北米局長が「国際法上の責任は日本にないが、震災後さまざまな復興支援を行ってくれたことに感謝の気持ちを示すもの」と説明。米海洋大気局(NOAA)のデヴィッド・ケネディ局長補佐は、見舞金の使途について「州によって状況が異なるため、どのように配分されるのかについては検討中」と述べた。
昼食会でスピーチを行ったのは、株式会社ローソンの新浪剛史社長。三菱商事に20年間務め、2002年に43歳で社長に就任した新浪氏は、「最初は業界のこともよく知らず、信頼を得るのに苦労した」そうだが、競合相手とやり方を変えて味にこだわる商品を打ち出し、業績回復に貢献。現在も女性や外国人を積極的に採用したり、海外展開に力を入れたりするなど、柔軟な姿勢でさまざまな改革に取り組み続けている。「若い社長はまだまだ少ないが、米日カウンシルは若い世代の育成にも力を入れていて頼もしい。若い世代が交流や視野を広げる機会を作るのは必要」と語った。
閉会式では、河野太郎・衆議院議員が挨拶。人口が減少する日本の将来に向けて移民制度を抜本的に見直す考えや、教育や経済のシステムを変革する必要性を示し、「日本が変化するうえで同盟国の存在は必要」と日米関係の重要性を改めて強調した。 なお、6日は米日カウンシルのメンバーによる会議が行われ、7日には希望者にシアトルの旧・日本町のツアーが開催された。来年の年次総会は再び本部のあるワシントン DC で開催される予定。
>> U.S. – Japan Council 米日カウンシル 公式サイト
掲載: 2012年10月8日