ワシントン州スピーチ＆スキット・コンテスト、出場者数が大幅増加

Sooin Yang さん（左）、段下宏貴先生（中央）、Simon Huang さん（右）

第39回桜祭の会場となったシアトル・センターで4月25日に開催されたワシントン州スピーチ＆スキット・コンテスト。スキット部門に、前年を大幅に上回る19チーム、スピーチ部門には23名が参加し、日本語力を競い合った。

レベル3で優勝した Simon Huang さんが選んだテーマは、大好きな漫画 『スラムダンク』 の主人公・桜木花道。「漫画から学ぶことが多かった」「日本語は楽しい」と、顔をほころばせる Simon さんが日本語に興味を持ったきっかけは、小学校1年生の時の日本への家族旅行だった。その後、漫画を読み始めてからは日本語を勉強したいと思うようになっていったという。レベル4で優勝した Sooin Yang さんは、生まれ育った韓国で中国語を学び、アメリカに来てから「日本語もやってみよう」という軽い気持ちで学び始めたそう。コンテストで行ったスピーチをレセプションでも披露したが、一人っ子で寂しかったこと、双子の弟ができて嬉しかったこと、そして自分が大学進学で家を出ることで新たな寂しさと不安を感じると同時に、弟たちがいることで両親が寂しくないと安堵していることなどについて語り、大きな拍手を受けた。

二人の日本語クラスを担当している段下宏貴先生は大阪出身。和歌山県那賀高等学校国際科卒業後、ブリガム・ヤング大学ハワイ校にて TESOL（英語教授法）を専攻し、音楽(ピアノ) ・国際英語を副専攻。卒業後にマーサー・アイランドの養護学校に4年勤務した後、オリンピアにあるセント・マーティンズ大学大学院で教員免許を取得し、2010年からイサクア高校で日本語を教えている。クラスは5分おきにアクティビティを切り替える参加型が基本で、日本語を話す状況を確実に作ることを心がけているそうで、「歌なども取り入れて、ゲーム感覚で、楽しく学ぶ。間違っていてもいいんだよと、繰り返し伝えています」。しかし、教える側にとってもチャレンジとなるのは、漢字。「どうしても丸暗記の形になってしまいますので、楽しく教えるのが難しいですね。今後はその辺をいろいろリサーチして改善していけたらいいなと思っています」。

このコンテストを共催する兵庫県ワシントン州事務所の水口典久所長は、「午前中のスキット部門はチームとしてよく工夫と練習がされており、会場はとても盛り上がりました。また、午後のスピーチ部門は、緊張する中で、自分の家族のこと、日本とアメリカの関係、海外での経験、日本の漫画から学んだことなど、高校生が日常考えていること、また、感じたことを一緒懸命に日本語で発表し、心を動かされました」とのこと。「その姿を見ていて、世界から人の集まる米国において、今後の将来のある若者が日本語を学んで、日本に興味を持つということは、とても大切なことだと改めて思いました。ワシントン州の日本語教育のレベルは年々向上しており、これは、日本語教師の先生方の日々の努力に支えられています。今後も日本語教育関係機関が協力して、このワシントン州日本語スピーチ＆スキットコンテストを継続をしていきたいと考えています」。

水口所長によると、今回のコンテストは、兵庫県ワシントン州事務所だけでなく、在シアトル日本国総領事館、ワシントン州日本語教師会、シアトル日本商工会、当事務所の4つの日本語教育関係機関が実行委員会を作って準備にあたった。28年ぶりにシアトル桜まつり・日本文化祭の会場で開催されたことも、このコンテストの歴史に残る出来事となった。日本語はもちろん、日本の文化などを理解する人が増えることは、ワシントン州での生活はもちろん、日本とのビジネスや交流などにも大きな影響がある。今後さらに多くの若者たちが日本と日本語に興味を持ち続けてくれるよう応援していきたい。

ワシントン州スピーチ＆スキット・コンテストの最高レベルであるレベル4の優勝者となったSooin Yang さんには、6月の兵庫県訪問・学校訪問・ホームステイ体験が賞品として授与された。コンテストの詳細はこちら。

第31回 日本語スピーチ＆スキットコンテスト結果

スキット部門

スピーチ部門

掲載：2014年4月30日