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日中共同製作映画 『純愛』 製作総指揮・脚本・主演、小林桂子さんインタビュー

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この記事は2013年3月に掲載されたものです。

日中共同製作映画 『純愛』 製作総指揮・脚本・主演、小林桂子さんインタビュー

今月16日に日系2世在郷軍人会館で行われる映画 『純愛』 の上映会と特別チャリティ・イベントに、製作総指揮・脚本・主演を務めた小林桂子さんが出席する。

『純愛』 は、第二次世界大戦後にやむなく中国に留まった日本人開拓団の夫婦と、日本軍によって大切な家族を失った中国農民の交流を通し、国境を超えた “真実の愛” を描く作品。当時中国大陸に移り住んでいた日本人開拓団民の数はおよそ32万人と言われており、小林さんは1990年代に舞台出演で中国を訪れた際、現地に住む日本人と直接話をする機会に恵まれたという。「皆さんの話を伺って、純粋に人を愛するとはこういうことなのかと思わされました。人を愛する前に許し合うこと、それが 『純愛』 の根底にあります。」

脚本執筆にかかった期間は4年。中国人監督ジャン・チンミンの協力を得て、日中の観点をバランス良く盛り込んだ脚本を完成させた。「話を伺った方々は皆さまざまな苦労をされていて、今の家族に当時のことを話せない方もいらっしゃいます。そのため、一人の物語に焦点を当てるのではなく、複数の方々の話を一つに集約しました」と小林さん。日・中・英の3カ国語の字幕を取り入れた本作は、開拓団跡地でも撮影を行い、セリフを極力抑えて登場人物の心情を音楽で表現するなど工夫している。「日中両国が協力し合って一つの作品を作り上げることが世界平和へのメッセージになると信じ、子どもたちの幸せな未来を願うという目的を共有することで、さまざまな障害を乗り越えることができました。」

『純愛』 は、2007年にモナコ国際映画祭で最多5部門を受賞し、昨年の第18回セドナ国際映画祭でも観客投票による最優秀長編作品賞を受賞。2008年の UNHCR 国際難民映画祭や2010年には英国アカデミー(BAFTA)のアン王女劇場にて多くの有識者を招いて国際交流の上映会を開催するなど、世界的に高い評価を得ている。中国で劇場公開された際には「中国人の美しさを最も良く描いた映画」との称賛を浴び、日本でもロングランを記録した。今回のアメリカでの上映会はアリゾナ州フェニックスに続き、シアトルが2番目となる。

「私の親は戦争を体験していません。次の世代の子どもたちは、戦争についてもっと知らないはず。誰かが物語を後世に伝え、残すべきだと思っています」と小林さん。『純愛プロジェクト』 の一貫として小林さんは教育支援にも力を入れており、上映会のチケット代の一部は、中国山東省泰山に創立した小林桂子基金希望小学校や純愛幼稚園を通した教育支援、東日本大震災の被害を受けた子どもたちの教育支援活動に充てられる予定だ。

最後に小林桂子さんからシアトル上映に向けてメッセージをいただいた。 「これは戦争映画ではなく、愛の物語です。戦争を知らない若い世代の方たち、日本の方、日系の方たちだけでなく、多くのアメリカ人の皆様にお越しいただきたいと願っています。皆様にお会いできることを楽しみにしています。」

写真©日中共同映画「純愛」制作実行委員会

掲載: 2013年3月13日

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