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高校生による小学生のリーディング・サポート 『Team Read』

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Team Read

指導役の高校生と、指導を受ける小学生

小学2・3年生のリーディング・レベル向上を支援する非営利団体 『チーム・リード』。主に語彙力・流暢さ・読解力を磨き、子供たちのリーディングに対する苦手意識を克服することを目指している。

『チーム・リード』 発足のきっかけ

携帯電話事業で財を成した慈善家クレイグ・マッコーさんとその妻スーザン・マッコーさんが、読書困難の子供たちに関する講演を聴き、支援を提案したのが始まり。シアトル地域の小学校で子供たちのリーディング・レベルを向上させるよう教師の指導を行っていたリーディング・スペシャリストのジョアン・ドールさんとマッコー夫妻が話し合いを重ね、設立が実現した。

プログラムの概要

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指導役の高校生と、指導を受ける小学生

プログラムは毎年10月から5月まで行われ、シアトル・パブリック・スクールの小学校のうちプログラムに参加している10校でリーディング・レベルが特に低いとされる小学2・3年生を対象にしている。個人指導を行うのは、先生よりも小学生が親しみやすく、ロール・モデルとしてとらえやすい地元の高校生ボランティアだ。ボランティアは全員が計5時間のトレーニングを受けた後、放課後週2回、1時間半のセッションに参加。子供たちのリーディング・レベルに合わせて2人で本を選び、それぞれのやり方で自由に読書を進めるようになっている。小学生にとっては期間中同じ高校生に指導を受けるのが理想的だが、現在は最低1学期は継続するという体制がとられている。

高校生にも相乗効果

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高校生の John Nonato さん(左)は小学生の時に指導を受けていたそう

『チーム・リード』 で計4年間指導したというジュセル・パナルゴさんは、「毎回40分は必ず集中して本を読む時間を作り、後は語彙に力を入れて、何度も何度も復習するようにした。楽器の練習のように、読書も何度も繰り返し練習することが大切だと思ったので、生徒に “必ずすらすら読めるようになるから、絶対諦めないこと” と言葉をかけ続けることを忘れなかった。」その結果、1年間指導を続けた生徒の担任教師からその生徒のリーディング・レベルが1年間で劇的に向上したと伝えられ、大きな達成感を得たという。「誰かの支えになれたという喜びが自分の成長にもつながったと思う」。

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スタッフのみなさん
(左から2番目がモーリーンさん)

『チーム・リード』 エグゼグティブ・ディレクターのモーリーン・マッシーさんは、同プログラムが高校生のサービス・ラーニング制度にも役立っていると語る。サービス・ラーニング制度とは、授業で習ったことをボランティアなど地域貢献の場で実践することを奨励するもの。高校を卒業するためには計60時間以上のボランティア経験が必要とされるため、ボランティアをできる機会が常に求められており、『チーム・リード』 もそれに適したものとされている。さらに 『チーム・リード』 では、ボランティアとして貢献する以外に、賃金を受け取るオプションも用意。随時支払いを受け取るか、大学入学時にまとめて受け取るかを選ぶことができ、後者の場合はさらに50%が上乗せされるという。「ニューヨークなどにもリーディング・レベルの向上を支援するプログラムはあるが、賃金を支払うところはまずない。あっても営利団体で、非営利団体としてはおそらく 『チーム・リード』 のみ」とモーリーンさんは語る。

プログラムが始まって10年以上がたった今では、高校生・小学生共に年間約330人が参加するようになり、かつて 『チーム・リード』 でリーディング指導を受けた子供たちが、指導役として戻って来ることも多いという。しかし、モーリーンさんによると、現在シアトル・パブリック・スクールの小学2・3年生のうち、読書困難の子供たちは2,300~2,500人。まだまだプログラムを必要とする子供たちは多い。「子供たちが苦手意識を克服するだけでなく、自分が乗り越えて得たものをまた次の世代に伝えて行くという循環が、これからもずっと続いて行って欲しいと思う」。

Team Read

【住所】 Leschi Elementary School 内
135 32nd Avenue, Seattle (地図
【電話】 (206) 252-2966

【公式サイト】 www.teamread.com

掲載:2010年2月

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