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「アメリカに “ありがとう” のメッセージを伝えたい」 米国縦断中のサイクリスト・安部良さん歓迎会開催

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米国縦断中のサイクリスト・安部良さん歓迎会開催

2011年の東日本大震災発生以後、日本に多大な支援をもたらしてくれた国々を自転車で走り、「日本人として顔の見えるかたちで “ありがとう” のメッセージを伝える」という活動を続けている埼玉県在住の安部良(あんべ・りょう)さんが、7月8日にシアトルに到着し、翌9日にワシントン州日本文化会館で歓迎会が開催された。

東日本大地震が発生した当時、末期がんで埼玉県の病院に入院中だった友人の病室にいたという安部さん。「日本人は地震には慣れている。でも、あの地震は違った。」 揺れが激しくなった瞬間、それまで意識朦朧の状態でベッドに横たわっていた友人が突然目を開き、「逃げよう!」と叫んだ。残念ながらその友人は数日後に亡くなってしまったが、安部さんは「生きたいのに生きられない人がいる。では、この地震で直接の被害は受けていない僕には何ができるんだろう?どうすればいいんだろう?」 そう自分に問いかけ始めたという。それが、カナダを自転車で横断し、日本への支援に対する感謝の言葉をメディアを通じて世界中に届けたいという思いになり、働いて貯めた資金で2011年5月から10月にカナダ大陸横断を実現。2012年2月~4月にはニュージーランド、同年4月下旬から5月に台湾も一周し、走行距離は合計1万3,160キロに達した。

今回のアメリカ西海岸縦断は、震災発生後に最大規模の支援を行ったアメリカへの感謝の気持ちを伝え、海岸線の漂着がれきの様子を見、海岸の掃除をすることが目的となった。ルートは、サンディエゴからカナダのバンクーバー BC までの3千キロ(約1,860マイル)。5月23日に出発してから、悪天候に悩まされることはあったが、無事、今月8日にシアトルに到着した。

歓迎会では、安部さんが撮影した写真やビデオを使ったプレゼンテーションが行われた。1日の走行距離は最高94マイル(約150キロ)。荷物だけでも約25キロあり、自転車とあわせればかなりの重さだ。自分で働いて貯めた貯金が唯一の資金源であることから、1日の予算は50ドル。そのうち30ドルが宿泊費で、残り20ドルは食費だが、安いインスタントラーメンを大量購入するなどして切り詰めているという。「最も大変だったことは?」「トレーニングは?」といった質問が参加者から飛び出したが、「向かい風は大変だけど、楽しいんです」と安部さん。「3/11の前はマラソンは7回完走しましたが、自転車は持っていなかったし、自転車で旅行したこともなかった。でも、そんな僕のこの行動で、”日本人は支援に対してお礼を言いたい、そんな国民なんだ” と思ってもらえたら」と、すっかり日焼けした顔に満面の笑顔を浮かべた。

ゴールのバンクーバー BC まであとわずか。その後の予定は未定だが、台湾を走行している時に日本語の堪能な台湾人に出会ったことから、「日本語を学ぶ台湾人に日本に行くチャンスを与える財団を作る」という構想を思いついた。「日本と台湾の新しい世代を築いていくお手伝いができたら嬉しい。」

安部さんは12日朝、バンクーバー BC に向け、シアトルを出発する。

>> 安部さんのブログ 『僕の大陸横断日記 ~30歳からの青春~

掲載: 2013年7月10日

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