30代後半で「働くお母さん」の仲間入り。何もかも「初めて」の息子と一緒にいろいろな発見をさせてもらっています。20年以上住んでいるシアトルも、親子になるとまだまだおもしろいことがたくさん隠れているものですね。シアトルのお気に入りを息子に紹介しながら、「ここに自分の子供と来ることになるとは!」と、しみじみする日々です。
「ご主人、オムツを換えられますか?」
子育てが始まってから、何度か聞かれたこの質問。一般的に、男性にとっての最初の関門はオムツ交換と考えられがちのようですね。
夫に聞いてみたところ、”Diaper change? That’s not a big deal. The toughest thing is not knowing what he wants.” という答えが返ってきました。
つまり、「オムツ交換?そんなのはたいしたことじゃない。最も難しいのは、彼(息子)が何を求めているのかわからないことだ」というわけですが、そう、確かに最初はこの小さな赤ちゃんが何をほしがって泣いているのかわからず、あたふたしながら、とにかく考えられることをすべてやってみました。
オムツ?
おなかがすいたの?
暑いの?
寒いの?
まぶしいの?
疲れたの?
眠いの?
どこか痛いの?
こういったことを一つ一つクリアし、ようやく息子が落ち着いた頃にはヘトヘト。そのまま親子でベッドや椅子、床で寝てしまい、椅子で寝てしまった時は抱いていた息子を落っことしそうになって目が覚めたりすることもありました。
我が家では最初は布オムツのみを使っていたので、使い捨てオムツ(紙おむつと言ってもいいですが、ここではあえて “使い捨て” と言ってみます)のように、「換え時になったら、ここの色が変わります」というような便利な機能はないですし、服の外からちょっと触っても濡れているかよくわかりません。「えーい、とにかく替えてしまえ!」とやっていたら、1日の交換回数が最高19回に達してしまった日もありました。ま、こういったことは初心者ならたいていの人が通る道。経験値を上げていくしかないですね。
なんて書いていますが、子供ができる前はオムツ交換自体をすごいことだと思ってました。友人たちが子供のオムツを替えているのを見て、「すごいな~」「私にはとてもとても」と思っていたのに、自分が当事者になってみると、ただオムツを替えるだけなら朝飯前。特に寝た状態の新生児の頃は楽だったなと思う状況がたびたびあります。そして、生後11ヶ月となった今では飲み食いした量や時間を見て、「うーん、まだいいかな」「そろそろ替えよう」「あ、ウンコしたかな。どれどれ」などと対応している自分に、ほんのわずかですが応用力がついてきたのを感じます。
布オムツと使い捨てオムツはいろいろなプラスマイナスがありますが、布オムツのいいところの一つは、使い捨てオムツよりも臭いがきつくないことかも。特に生後6ヶ月ぐらいになって離乳食を始めると大きいほうの臭いがきつくなりますが、布オムツならそこまできつくないように思います。「ウンコをしたかな」とお尻を臭ってみる時も、布オムツならお尻に鼻をつけられますが、使い捨てオムツの場合は離れてても強烈!ま、これも赤ちゃんによるのでしょうが、我が家ではそのような利点を感じています。
でも、布オムツは使い捨てオムツのように持ちが良くないのが難点。生まれた直後から夜に眠る時だけは夜用の使い捨てオムツを使っていれば、息子も不愉快な思いをして夜に頻繁に起きることもなく、新生児らしくよく寝てくれたかもしれません(したがって、私たちも断続的ではなく、継続した睡眠を取ることができたかも)。生後11ヶ月になった今は在宅の場合のみ布オムツにしていますが、2時間持てばいい方。生まれてからずっと1日に3~4回のお通じがあるので、1日のうちほとんど在宅の場合の交換回数は・・・(汗。
そのことを日本の父に言ったら、「ええやんか、生命活動!」と即答されました。私が幼い頃は布オムツだけで、それを洗ってくれたのも干してくれたのも父だったらしいんですよね。「覚えてるで、洗濯紐にぶらさがったたくさんのオムツが風でひらひらしてた光景を。」 父が私を育てるのを楽しんでくれたのを思い出させてくれるこの一言は、「ほんまやなあ、ちゃんと出るということは素晴らしい!」と、頭の中を180度転換させてくれました。もしこれが、「困るよねえ、忙しい時にオムツ交換なんて!」と口を尖らせる人たちしか話し相手がいなかったら、そのままストレスになっていたかもしれません。かなり単純かもしれませんが、こんなことはものすごく単純でいいんですよね。
最後に、当事者になって感じたのは、「布オムツか使い捨てオムツか」というトピックに関してはさまざまな意見があるということ。我が家では布オムツの配達・回収を1970年代からやっている Baby Diaper Service のクラスを受講して、どちらかと言うと環境により良いようだと考えて布オムツを選びましたが、「ガソリンを使って排気ガスを撒き散らしながらオムツの回収・配達をするなんて、どうしてそんな環境に悪いことをするの!」という意見もあるようです。使い捨てオムツだって、製造から使用、そして廃棄に至るまでガソリンが使われていますし、いわゆる先進国で生活している一般人が自分だけガソリンの使用と環境の破壊とまったく無縁の生活をしているかのように言うことはできないのが現実。使い捨てオムツに関しては、「埋立地で何年も埋められたまま分解できない紙オムツをどうして使うの」という意見もあるように、とにかく、子供の状態や親の状況はさまざま。自分で考えて行動するしかないようです。
(2011年10月)