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スピーチ・セラピー 第3回「言語(language)」について

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前回のテーマ「音声(speech)」に引き続き、今回は「言語(language)」についてお話したいと思います。

みなさんは「言葉をうまく使えなくなったら・・・」と考えてみたことはあるでしょうか。

私達は、日常、当たり前のように言葉を使って他者とコミュニケーションをとりながら生活しています。だからこそ、言葉を使えなくなることがいかに辛いことが想像に難くないことだと思います。

皆さんの中には、アメリカで思うように英語が使えず、日本語が通じない現地の人に、自分の思いやニーズを伝えられないもどかしさや辛さを感じられたことのある方もいらっしゃるでしょう。

言語障害を持つ方々はそうした思いに似たストレスを日々の生活の中で感じているのです。

言語障害についてお話しする前に、まず、「言語」の3要素についてお話ししたいと思います。「言語」とは、言葉を聴いて理解する力である「言語理解力」、自分の考えを伝えるために必要な語彙や文法を使って表現する力である「言語表現力」に加え、場面や状況に応じて適切な言語表現を使う力である「ソーシャルコミュニケーション力」の3つから成り立っています。

これらの言語要素のいずれかに困難が生じた状態が「言語障害」です。 言語障害には、次のような症状があります。

失語症

脳梗塞や脳出血、頭部外傷により、大脳の言語野が損傷してしまい、「聞く」「話す」「読む」「書く」といった、言葉の能力全て、またはその一部が障害されてしまった状態。

言語発達の遅れ・障害

同年齢の子どもに比べ、言語理解・表出に遅れが生じている状態。語彙面では1歳前後で初語、1歳半で12~20語を言える、2歳で200語の理解語彙がある、文法面では、1歳で単語、2歳で2語文、3歳で3語文を使って表現するようになるというのが一般的な言語発達の目安になります。

ソーシャル・コミュニケーション力の発達の遅れ・障害

自閉症あるいはその他の原因により、コミュニケーション場面において言葉を適切に使う能力の発達に遅れが生じている状態。もう少し具体的にお話ししましょう。私達は、仕事で上司と話す場面、学校で先生と話す場面、家族と話をする場面、友達と話す場面など、場面や状況、話し相手に応じて、適切な話題や話し方を判断し使いわけています。また、会話の中で、声の抑揚や強弱、表情、身振り、相手との距離などを調節し効果的にコミュニケーションをとっているのです。そうした能力の発達に遅れあるいは障害がある場合、言語理解や表出に遅れがない場合でも、人との関わりに支障が生じてしまいます。

上記のほか、適切な言語刺激を受けていないといったような環境的要因や聴覚障害により言語発達に遅れが生じる場合があります。

冒頭の質問にある「言葉をうまく使えない」という問題の軽減・改善を図り、よりスムーズかつ効果的にコミュニケーションを取れるようにサポートするのがスピーチセラピーの目的なのです。

以上、今回は「言語(language)」に含まれる症状についてご説明いたしました。次回は「バイリンガル児の言語発達」についてお話したいと思います。

情報提供:言語聴覚士 鈴木 美佐子さん

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