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妊娠中に気をつけること Q&A

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回答者:『プロに聞こう:女性の健康』 押尾祥子先生

アメリカで妊婦が寿司や刺身を食べてはいけないと言われているのはなぜですか。
主に3つの理由があります。1つ目は、生の魚はリステリア(listeria)という細菌に汚染されている可能性があり、リステリア症という病気を引き起こすことがあるからです。2つ目は、アメリカでは生の魚を扱うことに慣れていない業者が多く、適切に扱われない場合があるため。3つ目は、汚染物質の問題です。詳しくは 『妊娠中の生魚の摂取』 をご覧ください。

妊娠中や授乳中に避けるべき、または子供が避けるべきとされる海産物について教えてください。
ワシントン州保健局が避けるべき海産物についてのガイドラインを発表しています。詳しくは 『避けるべき海産物』 をご覧ください。

電磁波は胎児に影響を与えますか。
電磁波(Electromagnetic Wave)は、「体に害がある」という報告がいくつかなされているものの、現時点ではその害は明確に確認されていません。鉛の入ったエプロン(放射線を扱う人のために、医療器具販売のネットで購入できます)はアメリカでも手に入りますが、コンピュータの仕事をしている程度であれば必要ないとされています。それよりも、栄養のバランスやタバコの害などの方が妊娠に大きな影響を及ぼしますので、十分に気をつけてください。

妊娠初期に温度の高い風呂に入ると流産の危険性が高まるというのは本当ですか。
妊娠初期に熱い風呂に入ると流産の危険性(miscarriage risk)が高まるという報告がなされています。2003年11月25日発行の 『American Journal of Epidemiology』 で発表された研究 “Hot Tub Use during Pregnancy and the Risk of Miscarriage” によると、妊娠初期に熱い風呂やジャクジに入った女性は、入らなかった女性に比べ、流産の危険性が2倍高くなるとされています。この研究はまだ初期段階ですが、注意するに超したことはないと言えそうです。

逆子の胎児の体位を変えることはできますか。
日本では胎児が逆子であることが判明すると、「胸膝位」(きょうしつい)と呼ばれる逆子体操を医者から勧められます。この「胸膝位」とは、四つんばいの姿勢で顔・手・胸は地面につけ、お尻を高く上げるというものです。この姿勢を1日5~20分すると逆子が直ったという実例がたくさんあるそうです。アメリカでも、逆子体操の指導や逆子を通常の位置に手で回転させるなどの方法はとられますが、どちらかというと帝王切開にしてしまう確率が高いようです。自然分娩を望むお母さんは、医者と相談の上、この運動を取り入れてみるのもよいでしょう。

アメリカと日本では流産への対応に違いはありますか。
日本とアメリカでは流産への対応が異なります。アメリカでは一般的に「自然に任せる」という方向が取られています。 これは、過去のさまざまなデータを研究した結果、「直接効果的な直接的効果のある処置はない」という結論に至ったことが理由です。一方、日本では、入院するなどといった何らかの処置がとられます。というのは、日本では、「このケースでは、この処置をし、流産を回避できた」 という考え(しかし科学的に実証されてはいない)を基に処置を施しているからです。

妊婦に必要な栄養について教えてください。
基本は低カロリー、高栄養素。妊娠すると身体の状態も変わり、必要な栄養分なども、普段の生活のそれとは異なってきます。

  • 鉄分:妊娠中は血液が増加するため、血液を作る鉄分はもちろんのこと、蛋白質やビタミンも必要です。アメリカでは鉄剤をよく利用するようですが、便秘や下痢、腹痛などの副作用の可能性があります。レバー、赤身の肉、ほうれん草など、食生活を通して鉄分を摂取することもできます。
  • 葉酸 (Folic Acid):脊椎二分症の予防のため、1日400~600マイクログラム摂取するべきとされています。
  • 水:水分は十分とるよう心がけましょう。水分が不足して脱水症状になると、早産などの可能性が出てきます。
  • 生もの:生ものは避けましょう。寄生虫や菌などが理由で、死産などを起こす場合があります。 卵・鶏肉・ミンチなどは特に気をつけ、火をよく通すようにしましょう。 また、同じ理由から、切り売りしている生チーズも避けてください。 そして、たいていの日本人にとっては悲しいことですが、アメリカでは「寿司・刺身を食べないように」と注意されます。 これは、アメリカでは生魚の冷凍保存温度が日本より高く、そのため安全性も低いからだということです。レストランに届ける魚介類を扱っているのはアメリカの企業ですから、日本食レストランだから大丈夫というわけでもありませんので、ご注意ください。これについての詳細は、『妊娠中の生魚の摂取』 を参照してください。
  • ジュース:アメリカでは「風邪をひいたらオレンジジュースでビタミンを取る」というように、一般的にジュースは良いものと考えられています。 しかし、ジュースは基本的に糖分が非常に高いものです。特に、妊娠中期からは血糖を処理する機能が低下するため、赤ちゃんに糖分が行き過ぎ、糖尿病や胎児肥満の原因になる恐れがありますので、妊娠中は飲みすぎに気を付けましょう。
  • カフェイン:緑茶には意外とカフェインが多く入っています。 飲みすぎに注意しましょう。 少量なら直接的な悪影響はさほどありませんが、カフェインをとりすぎると、未熟児の原因になることがあります。BabyCenter によると、カフェインは鉄分の吸収力を弱め、また水分やカルシウムを尿と共に流し出してしまう作用があるそうです。コーヒーや緑茶以外では、紅茶・ウーロン茶・コーラにもカフェインが入っています。

妊娠中に運動をしてもよいですか。
妊娠中は「安静にしなければ」と神経質になりがちですが、母体と赤ちゃんの健康のためにも、体は適度に動かした方が良いです。普段から適度な運動をしている人は、そのままそのペースで続ければよいですし、普段から運動不足の人は、適度な運動を心がけましょう。運動が不足すると胎児が大きくなりすぎたり、余計な脂肪がつきやすくなります。病院で行なっているエクササイズのクラスなどにも積極的に参加しましょう。運動について気を付けたい点は、妊娠中はカルシウム不足に陥りがちなため、関節が弱くなるので、急激に方向を変えるような運動は避けるということです。サッカーやバスケットボールなどの球技は、そういう意味で避けた方がよいでしょう。

胎教について教えてください。
アメリカでは、日本で使われているような意味での胎教という概念はないようです。しかし、ヨガや自己催眠法などで母体をリラックスさせ、その結果、胎児に好影響を与えるという形では存在します。このようなクラスを提供している病院やクリニック、その他の施設がたくさんあります。

妊娠中に車を運転してもよいですか。
出産まで運転しても大丈夫です。ただし、シートベルトはお腹の周り部分(へそ上)を避け、下腹部にあてるようにしましょう。妊婦用のシートベルトはありません。

妊娠中に飛行機に乗ることはできますか。
個人の状態によって異なります。かかりつけの産科医にご相談ください。

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