執筆者:真知子・フォート
2010年にワシントン州立大学のエクステンション・プログラムでマスターガーデナーの資格を取得して以来、コミュニティ・ガーデンや園芸相談、コミュニティガーデンの世話などボランティア活動を続けています。自宅のスタジオではイケバナ教室を開講中。初級クラスはオンラインでも受講できます。お問い合わせは machikofa@gmail.com まで。
草月指導者連盟会員、草月シアトル支部ボードメンバー、インターナショナルイケバナシアトル支部ボードメンバー
昨年のことだったか、偶然にNHK番組で完璧なまでに美しい庭園を目にして圧倒され、いつか必ず訪ねようと考えていた、島根県安来市にある足立美術館の日本庭園。地元出身の実業家・足立全康(あだちぜんこう:1899年~1990年)が71歳の時に開館し、91歳で亡くなるまで、庭造りに心血を注いだそうです。
その足立美術館庭園に、10年振りの母校の同窓会出席も兼ねて、11月初旬に行ってきました。日本は紅葉が始まったばかりで暖かめで、冬コートはいりませんでした。
美術館には質量ともに日本一として知られる横山大観の作品が総数130点もあり、他にもさまざまな巨匠たちの作品などが所蔵されています。開館直後の館内はまだ人混みも少なく、ゆっくりと拝見することができました。
次から次へと続く美術品を観ていくうちに、大きな窓一杯に、まるで額に入っているような、完璧に美しい日本庭園が現れ、驚きと感動にひたりました。この時、全康の信念だった「庭園もまた一幅の絵画である」という真の意味が理解できた気がします。
庭園は美術館の中からと外からは建物の近くからしか拝めず、庭の中は散策できないという、ユニークなコンセプトになっています。日々刻々と変化する庭園の眺めは一期一会の美しさに満ち溢れ、「枯山水庭」「白砂青松庭」「苔庭」「池庭」など、5万坪(約40エーカー)内の6つの庭園は四季折々にさまざまな表情を見せ、借景の自然の山々との調和はまさに生きた日本画と言われます。
また、『Journal of Japanese Gardening』というアメリカの雑誌が行っている日本庭園ランキングでは、初回の2003年から16年連続で日本一に。また、フランスの旅行ガイド『ミシュラングリーンガイドジャポン』にて最高評価の三ツ星を獲得しています。
年の瀬も迫りあわただしい時期となりましたが、いまだにこの日本庭園の美しさが脳裏にあり、夢見心地の状態が続いています。あまりに美しい庭園を見たお陰で心の余裕がうまれ、年の瀬に向かってゆっくりと過ごせている自分を感じます。本当に行ってよかった!
これからは、ちょくちょく、日本を訪れ、まだ見ぬ庭園を拝見し、学び、楽しもうというのが、私の新年の抱負です。あなたの新年の抱負はなんですか?
Happy New Year & Happy Gardening!
掲載:2019年12月