マンサク
執筆者：真知子・フォート
2010年にワシントン州立大学のエクステンション・プログラムでマスターガーデナーの資格を取得して以来、コミュニティ・ガーデンや園芸相談、コミュニティガーデンの世話などボランティア活動を続けています。自宅のスタジオではイケバナ教室を開講中。初級クラスはオンラインでも受講できます。お問い合わせは machikofa@gmail.com まで。
草月指導者連盟会員、草月シアトル支部ボードメンバー、インターナショナルイケバナシアトル支部ボードメンバー
この冬は雨が多いものの比較的暖かく、やんだ合間に庭をクリーンアップして、次々と嬉しい発見を楽しんでいます。
この冬もまた、耐寒性のあるハーディシクラメン（Hardy cyclamen）、スノードロップ（Snow Drop）、クリスマスローズ（Hellebore）、クロッカス（Crocus）たちが花を咲かせ、いち早い春の訪れを告げてくれました。
中でも際立っているのが、マンサク（Witch Hazel)、ミツマタ（三又：Edgeworthia Chrysantha）、オウバイ（黄梅、Winter Jasmine）の3本の花木たち。灰色の冷たい雨続きで沈みがちな気持ちを、その美しさで寂しい冬の庭を彩って、元気にしてくれています！この健気な花木たちは、寒さに強く、病気もなく、育てやすしでお薦め。
1. マンサク（Witch Hazel）
マンサク
2015年に半日蔭の場所に移植したのが、12月下旬から今もいっぱいに花を咲かせ、2月下旬まで咲き続けるようです。こんなに咲いているのは初めて。アーノルド・プロミス（Arnold Promise Witch Hazel）という花付きの良い種は、冬に濃黄色の花が咲き、春と夏は緑の葉、秋は黄色にという低落葉樹。他に、オレンジ色がかかった赤い花で紅葉が美しいエレナ（Jelena Witch Hazel）、濃赤銅色の花赤と黄が混じった紅葉が美しいダイアン（Diane Witch Hazel） という種類もあります。
北アメリカ、日本、中国原産。耐寒性があり、かかりやすい病害虫は見られず、剪定の必要がほとんどなく（ただし、スペースに応じて）、元気に育っていれば肥料は必要なし。日陰は花付きが悪くなり、西日がもろに当たる場所は乾燥してダメ、日当たりから半日蔭でよく育ちます。植え付けは2月～3月、10月～11月がよく、乾燥防止のために株元に藁、腐葉土、ウッドチップなどでマルチングすることをお忘れなく。アメリカでは昔からマンサクを使った化粧水（Witch Hazel astringent）が人気があります（マンサクの葉や枝などから抽出した水には肌をひきしめる優れた効果があり、肌に優しいノンアルコールの自然化粧水）。
2. ミツマタ（三又：Edgeworthia Chrysantha）
ミツマタ
去年の3月に購入。移植を嫌う性質で、よく検討して西日が当たらず、木洩れ日が当たる場所に植えたのが、1月初旬頃から芳香のある黄色とクリーム色の半球形の花々がうつむいて控えめに咲き始めました。他に、赤い花のベニバナミツマタがあります。
中国原産で冬に葉を落す落葉性の低木（2メートルぐらい）。枝が三つに分かれるので「三又」と呼ばれます。枝分かれしない性質で、枝を切っても新しい芽は出てこず、剪定の必要はなし。病気は特になし。耐寒性は普通でも耐暑性は強し。肥料は2月頃に。和紙の原料として知られています。
3. オウバイ（黄梅、Winter Jasmine）
2018年に移植し、今年初めて黄色い梅のような花を咲かせました。ツル性落葉低木で原産地は中国の中部と北部。耐寒性が高く、病害虫もほとんどなし。日当たりと水はけのよい場所、風通しがよくやや乾燥した環境を好みます。肥料は年に2回、3月～4月と9月。そのままにしておくと、枝が立て込んでくるので剪定は必要で、花芽が出来る前の3月下旬から4月にします。植え付けは3月～4月か9月が適しています。
ところで、ご存知かと思いますが、今春も恒例のシアトル・フラワー＆ガーデンショー（Seattle Flower & Garden Show）が2月26日（水）から3月1日（日）まで催されます。今回ご紹介した植物たちは、そこに出ている園芸店で手に入ると思います。
やはり、ショーの目玉はデザインされたさまざまな庭のディスプレイで、庭園デザイナーさんたちの創作を見るのが楽しみの一つ。他に、数々の役に立つ園芸セミナーがあり、便利な園芸用具や庭を飾るオブジェなどを見つけたり。今回もインターナショナル・イケバナ主催によるイケバナ展示会で春を意識したイケバナを展示するので、何をいけようか思案中です。毎回、会場はいち早い春いっぱいで、気持ちが上向きになり、インスパアされます！
掲載：2020年2月
