執筆者:真知子・フォート
2010年にワシントン州立大学のエクステンション・プログラムでマスターガーデナーの資格を取得して以来、コミュニティ・ガーデンや園芸相談、コミュニティガーデンの世話などボランティア活動を続けています。自宅のスタジオではイケバナ教室を開講中。初級クラスはオンラインでも受講できます。お問い合わせは machikofa@gmail.com まで。
草月指導者連盟会員、草月シアトル支部ボードメンバー、インターナショナルイケバナシアトル支部ボードメンバー
まだ霜が降ることのある肌寒い早春に元気づけてくれる低花木の一つ、レンギョウ。3月初旬頃から鮮やかな黄色の花を咲かせます。よく見かけるので皆さんもご存知でしょう。
カルフォルニア州北部から20年前にワシントン州に移り住んだ我が家の日陰の場所に植わっていましたが、長年無視されてきたようで、たくさんの小枝がからまって醜く、花もほとんど咲きませんでした。アメリカ北西部の植物についての知識もなくそのまま放置していたのですが、10年前にマスターガーデナーのトレーニングを受けるようになってから、この問題は簡単に解決しました!
まず、レンギョウの徒長枝、込み枝やからみ枝を剪定してスッキリさせ、掘り起こしやすくしました。剪定は12月から3月上旬までが適期、花が終わって5月中旬までに伸び過ぎた枝を切り詰めますが、6月中旬からは花芽ができ始めるので強剪定はしないことです。
次に、レンギョウを掘り起こしました。日当たりを好む落葉性なので、日当たりの良い家の前のドライブウェイ側の、常緑低木の間に移植(植え付けは12月から2月までが適期)。大きな穴を掘って、腐葉土を混ぜ込んで、水を流し込んで、息ができるよう深植えせぬよう気を付けて、足で踏んで空気を抜き、水をたっぷり与えて、マルチング。風通しがよくなり、害虫は見かけません。花が終わった後に肥料少々。剪定以外はほとんど手がかかりません。
1月下旬頃に中国で感染が始まった新型コロナウイルスがアメリカでも広がる前、シアトルのワシントン州コンベンション・センターで2月26日(水)から3月1日(日)までの5日間、恒例のノースウエスト・フラワー&ガーデンショーでインターナショナル・イケバナの展示会があり、場所と剪定の功が効した枝ぶりのよいこのレンギョウを使って展示しました。
他に、まだ蕾の固いシャクナゲ、そして、花屋で買った水持ちがよく長く持つ Protea Compacta の赤い花々をアクセントに。レンギョウは2月下旬はまだ蕾で、その1週間前より枝ぶりのよいのを選んで水切りして、水入りバケツに入れてガレージに保管、展示の頃に花が咲き始めました。長い展示会に耐え、水持ちして満足でした。私の作品の写真をご覧ください。
3月に入って、ここアメリカでも新型コロナウイルスの感染が拡大し、会社・学校・レストラン・フェスティバルなどが閉鎖され、コンサートやスポーツイベントなどが中止になりました。また、感染防止のため、人との社会的距離を保つ重要性から自宅待機命令が出ています。この夏の東京オリンピックも来年に延長になりましたね。個人的にも、今のところ5月までのさまざまなイケバナ展示会、ミーテング、セミナーなどがキャンセルになりました。テレビをつけると、新型コロナウイルスのニュースばかりで、ますます大きく拡散しており、先が見えません。
巷の緊急事態をよそに、我が家の庭にはさまざまなヘレボルス(Helleborus)、アセビ(Pieris Japonica)、ヘダー(Heather)、レンギョウ(Forsythia)、梅(Thunder cloud plum)、沈丁花(Daphne), 水仙(Daffodil)が満開で春爛漫。石楠花(Rhododendron)も咲き始めています。植物が一生懸命に花を咲かせている生命力に癒されます。今週は雨の予報で外は灰色。でも、これらの植物を選んで室内に春を創作し和んだ空間にひたっています。とてもリラックスできますよ。こんな時こそ、花をいけて、室内を飾ってみませんか?
そんなわけで、今は出かけられるのは食料品の買い出しぐらいで、家にいることが多い分、日々飛び回り、時間不足でやりたくてもできていなかったこと、たとえば、室内の掃除を徹底てきにすること、不要なものの整理整頓でダウンサイジング、家の修理や改造、書き物、読書、庭のデザイン、新しいレシピを使った料理、手作りクラフト、部屋のインテリア模様替え、ご無沙汰している友人たちへお見舞いカードを送ったり、電話するなどやることがいろいろ。家族と協力してプロジェクトをやるいい機会でもあります。主に私は庭作りに精を出し、夫は2階の暖炉の周りの古いタイルをトレンディなものに替えるプロジェクトに精を出しています。
一刻も早く、この感染症に効果的なワクチンができて世界中の人々が救われ、非常状態が終わり、元の生活に戻れるよう祈るばかりです。皆さん、お体をくれぐれも大切に、気を付けてお過ごしください。
掲載:2020年3月