執筆者:真知子・フォート
2010年にワシントン州立大学のエクステンション・プログラムでマスターガーデナーの資格を取得して以来、コミュニティ・ガーデンや園芸相談、コミュニティガーデンの世話などボランティア活動を続けています。自宅のスタジオではイケバナ教室を開講中。初級クラスはオンラインでも受講できます。お問い合わせは machikofa@gmail.com まで。
草月指導者連盟会員、草月シアトル支部ボードメンバー、インターナショナルイケバナシアトル支部ボードメンバー
今年2回目の「自然の庭勉強会」は、まさに、その名前通リの庭でした。
過ごしやすい晴天の8月末、ウディンビル在住の会員の1エーカーほどある庭で、ガーデンツアーが始まりました。以前に伺った時は春で、家の傍にシャクナゲの花々が咲いてきれいだったことが印象に残っていましたが、裏へ進んでいくと、自然の庭が広がりました。
我が家の自然の庭と同じように、高さと幅が2フィートにもなる地元のシダ、Sword Fern が森の骨格を作っています。このシダは常緑種で、植物の少ない冬の時期には鹿の食べ物になったり、一年中を通して小動物のシェルターに、鳥たちの巣作りの材料に、また、雑草除けのグラウンド・カバーにもなります。その間に、スノホミッシュ郡コンサベーション・プラント・セールで購入したという原生種の数々が植えられ、庭から出た廃物を利用した手作りの鳥たちの巣箱や垣根などのすてきな出来栄えに感心しました!
その後は、皆さんが持ち寄った夏野菜をいかした一皿一皿を味見し、美味しく楽しいランチとなりました。
さて、自然の庭とは何でしょう?それは、その土地で生きる強い原生植物や景観を活かしながら自然の森にいるような庭のこと。秋に葉が地面に落ち、その上に雨が降ってコンポスト化し、土に栄養を与えていく自然任せの庭で、芝生を刈る労力、雑音、経費、肥料要らず、家々が建つ前から生存している昆虫類(てんとう虫や蜘蛛など、アブラムシなどの悪い虫を食べてくれる良い虫たち)や小動物たちが化学肥料や殺虫剤などの影響で消滅することなく、人間も含めて、自然の摂理にかなった環境保存の空間で、元気に健康に生きながらえる。それが自然の庭なのです。
ここアメリカ北西部原生植物(native plants)の種類は多種多様。ネイティブプラント専門のナーサリーもいろいろあり、オンラインで検索すれば、近くにある専門店が見つかります。また、キング郡、スノホミッシュ郡、スカジット郡では毎年、早春にConservation Plant Sale が催され、数々の原生植物が手軽な値段で手に入りますし、前もってオンラインで注文することもできます。
毎年、このプラントセールで購入したものを我が家の自然の庭に植えていますが、その中でよく育ち気に入っている主な植物をご紹介します。来年のプラントセールの情報は、Snohomish Conservation District Plant Sale で。原生植物のリストや詳細は Washington Native Plant Society でご覧ください。
【グラウンド・カバー】
- Cascade Penstemon:丈3フィートのピンク紫の小花が咲き、半日蔭、乾燥に強し
- Kinnikinnick:丈1フィート、ピンクの小花と赤い実、半日蔭、乾燥に強し、浸食から守る
- Purple Cornflower:丈2~3フィート、紫色のデイジーのような花、鳥と蝶々を呼ぶ
【常緑種の低木】
- Evergreen Huckleberry:丈2~13フィート、半日蔭、乾燥に強し
- Low Oregon Grape:丈2フィート、黄色の花と青い実、半日蔭、乾燥に強し
- Tall Oregon Grape:丈5~7フィート、黄色の花と青い実、半日蔭、乾燥に強し
- Salal:丈5フィート、ベル型小ピンク花、暗い紫色の実、半日蔭から日陰、乾燥に強し
【落葉種の低木】
- Baldhip Rose:丈4フィート、薄いピンク小花、半日蔭、乾燥に強し
- Mock Orange:丈10~12フィート、香りの良い白い花、半日蔭から日向、乾燥に強し
- Oceanspray:丈10フィート、白いライラックのような花、半日蔭か日向、乾燥に強し
- Red Flowering Currant:丈5~10 フィート、赤い小花と実、ハミングバードと蝶々を呼ぶ、半日蔭、湿った土を好むが、根付いてしまうと乾燥にも強くなる
- Snowberry:丈4-7フィート、ピンクの小花に白い実、ハミングバードと蝶々を呼ぶ、日陰からフルサン、乾燥に強し
- Vine Maple:丈25フィート、春に白とピンクの小花、紅葉し散ったら枝が緑から赤色に変わり鳥や他の生き物の大切な食物に、半日蔭からフルサン、乾燥に強し
我が家の東側がいまだ手付かず、自然のままに放置しています。でも、この春から夏は雑草が目立ったので、今から来年の早春にかけてクリーンアップし、自然の庭にしようと計画中。既に、Sword Fern で骨格が出来ており、大木の Big Leaf Maple や Cedar が森を形成し、その森に通じる砂利の小道を作り一歩を踏み出しました。その小道沿いにさまざまなネイティブプラントを植え込めばいいかなと考えています。
目まぐるしい毎日を過ごしていても、自然の摂理にかなった、手がかからない自然の庭ならリフレッシュできますよ!
Happy Gardening!
掲載:2019年10月