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第53回 冬の過ごし方

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真知子・フォートさん

執筆者:真知子・フォート
2010年にワシントン州立大学のエクステンション・プログラムでマスターガーデナーの資格を取得して以来、コミュニティ・ガーデンや園芸相談、コミュニティガーデンの世話などボランティア活動を続けています。自宅のスタジオではイケバナ教室を開講中。初級クラスはオンラインでも受講できます。お問い合わせは machikofa@gmail.com まで。

草月指導者連盟会員、草月シアトル支部ボードメンバー、インターナショナルイケバナシアトル支部ボードメンバー

Northwest Flower & Garden Festival

Northwest Flower & Garden Festival

毎年2月はまだ寒く、霧、雨と、暗い冬に疲れうんざり、心が春よ来いと叫んでいます。

毎年欠かさず訪れている恒例のフェスティバル『Northwest Flower & Garden Festival』は、まさにその救世主!入口を入るや、色あざやかな早春の花々が華々しく出迎えてくれ、自然と笑顔が戻り、幸せにあふれ、ガーデニングへの愛情と意欲がほとばしってきます。長年にわたり所属しているインターナショナルイケバナ・チャプター19が毎年催す展示会で、私自身も毎年作品を出品している縁もあります。

この大切で楽しいフェステバルがコロナ禍で2年もキャンセルとなって気持ちがダウンし、今年も新種のオミクロン株の感染が広がってまたもやキャンセルかと危惧していましたが、なんと予定通りに開催されました!

Northwest Flower & Garden Festival

Northwest Flower & Garden Festival

自分のイケバナ展示のセットアップがある初日、午前9時の開幕より30分ほど早く、フロントエントランス近くで、予防接種証明とワークパスを見せてから入場しました。いつもと同じように、一足早く咲き誇っている春球根たち(スイセン、チューリップ、プリムローズ、クリスマスローズなど)が目に入ってきて、思わずニッコリ。さまざまなスタイルの庭園のディスプレイに興味津々になりながら、多種多様な生花や草などで作った個性的な衣装を身につけた華やかなマネキン人形がずらーっと並んでいる様にうっとり。

前方を見ると、ノースホールの天井に『IKEBANA』という大きな字のサインを発見。急いでイケバナのブースに着くと、私以外のさまざまなイケバナが既にセットアップされていて準備万端でした。

Northwest Flower & Garden Festival

インターナショナルイケバナ・チャプター19の展示

今回のセットアップは初日の限られた時間だけなので、前もってたくさんの枯れ枝でベースを作って持参していき、花器にそれを入れるだけでほとんど完了。枯れものだけでは少々寂しいと、バレンタインデーも近いので、水持ち良し、室内環境にも良しの真っ赤なアンスリウム(Anthurium)を加え、焦らずにできてほっと一息したところで、フェスティバルが開幕!そのままお昼までホステスとして残り、訪れる観客からの質問に答えたり、インターナショナルイケバナやマスターガーデナーの友達にも2年ぶりに再会したりして、お喋りが楽しかったです!幸い、フェステイバル期間中はお天気も上々で、無事に閉幕しました。

このイベント以後は意気があがり、やる気十分。まだ寒くてやりたくない、春が来る前の準備(各々の花壇のクリーンアップ、枯れた草木の取り除きやカットバック、雑草取り、剪定、肥料を与える、造園プランなど)をボチボチやり始め、昨年の夏から習い始めた陶器の制作では、イケバナ用の花器作りに熱が入ってきました。

ところが、昨日の朝、目覚めると、なんと白銀の世界!我が家のまわりでは8インチ(約20cm)もの雪が積もり、なかなか溶けそうにもない感じで、「春近し」のワクワク感が一気にへこみ、冬へ逆戻り。可愛い花々を咲かせていたスノードロップス、クロッカス、ハーデイシクラメン、クリスマスローズなどの春の球根たちが皆、雪の下に隠れてしまいました。

これには、昨年のクリスマス直後の大雪の悪夢を思い出させられました。あの時は今回よりもすごく低温が続き、雪がなかなか溶けず、ほとんど家におこもりの状態が一週間余り続いたのです。暗い気持ちで新年を迎えましたが、幸いだったのは、前もってお正月用の食料品を買い備えていたお陰で、通常通りに、おせち料理をいただき、年を越すことができました。

ところで、もう一つ、毎冬に元気づけてくれるイベントに、マスターガーデナー主催のウインターシリーズセミナーがあります。

Rhododendrons Species Botanical Garden

Rhododendrons Species Botanical Garden

コロナ禍に入ってからはZoomで、先日はフェデラルウェイ市にあるフェデラル・ウェイにあるシャクナゲ原種植物園(Rhododendrons Species Botanical Garden)内の園芸店で、もう10年もマネジャーを務めている日本人女性を講師に迎え、専門中の専門のシャクナゲ(Rhododendrons)の講義でした。マスターガーデナーに属して12年目ですが、日本人女性の講師は初めて。受講者のほとんどは英語のネイティブスピーカーで、彼女の現場実践経験からの豊富なインフォメーション、わかりやすいスムーズな講義は大変に勉強になりました。同じ日本人女性として、誇りに思います!

Rhododendrons Species Botanical Garden

Rhododendrons Species Botanical Garden
寒中に咲き始めているシャクナゲの花、R.lanigerum(E.Himalaya)

講義のおかげで、我が家の庭に植わっているシャクナゲはほとんどが人間が手をいれた改良種(Hybrid)ばかりで、花が咲く時期もほとんどが4月の中頃から5月下旬までと同じ、代わり映えせず面白くなしと再確認することができました。野生からの原種(Species)の種類がよくわかり、特に3月の早咲き種もあるとのこと。いろいろと欲しくなり、シャクナゲ原種植物園に問い合わせたところ、ストックがあるというので、交通渋滞を避けるために早起きしてピックアップに行ってきました。15年振りに訪ねたシャクナゲ原種植物園は、2月下旬ということもあり、シャクナゲはほとんど咲いておらず、散策者もおらずひっそり。でも、欲しかった原種がいろいろと手に入ったので、行った甲斐がありました!

初めてシャクナゲ原種植物園を訪ねたのは、5月初旬だったかと思います。22エーカーの庭園に色とりどりのシャクナゲが咲き乱れ、きれいでした!この時に、そこの園芸店で買った原種3株は下記、R.grande以外は、今も我が家の庭で元気に育っています。

  • R. ponticum ‘Variegatum’(緑の細い葉のふちが白っぽいクリーム色で花の色は赤紫っぽい色)
  • R. augustinii (あまり大きくない緑の葉に、ラーベンダ―色の花、コンパクト)
  • R. grande (非常に大きな葉、寒さに弱く、大木になる)

シャクナゲの専門家の講義から学んだコツです。

お薦めのシャクナゲの植え込み時期のベストは秋、そして、初冬、春先の3月まで。

半日陰で午前中の日光、午後の陰が理想的な植え込み場所です。とにかく、半日蔭がベスト!日陰に植わっているシャクナゲはひょろひょろと病的、日光が足りません!

シャクナゲの根は浅く、粘土っぽい土は向かず、水はけの良いオーガニックマター(腐葉土やコンポストを混ぜこむ)の土がよし。植える際は地上より3インチほど高く植え付け、水をたっぷりと与えたら、ウッドチップで覆って寒さ暑さから守ってやることが大切です。

剪定は少しづつ。大幅にすると死なせてしまうことも。ただし、落葉性のシャクナゲ(Azalea)は大幅に剪定しても問題なし。花が終わった直後の剪定が来年の花芽を失わず安全でベスト。ついでに、花柄を取り除くと来春にもっと花が咲きます。

「元気がない」「花が少ししか咲かなかった」「成長していない」などの問題のあるシャクナゲには、3月初旬までに、ゆっくりと効く有機肥料を少々あげてください。健康が保たれているシャクナゲには虫も病気もついてこないので、以上のことを考慮に入れて世話していけばいいですね!

シャクナゲの花見がベストなのは、4月中旬から5月中旬でしょうか。まだシャクナゲ原種植物園へ行ってないなら、ぜひお出かけください!盆栽展も見られますよ。

Happy Healthy Gardening!

掲載:2022年2月

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