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第3回 一番身近なPCP(かかりつけ医)

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米国で医療的な検査を受ける際など、「あなたのPCP(ピー・シー・ピー)は?」と聞かれて、とまどったことがあるかもしれません。

PCP とは、プライマリ・ケア・プロバイダーの略語で、日本語だと「かかりつけ医」です。米国ではプライマリケアが医療サービスの土台です。

そこで、今回はプライマリケアについてとりあげます。

もくじ

プライマリケアの役割

専門的な高度医療技術を誇る米国ですが、誰もがお世話になる頻度が高いのは、プライマリケア(かかりつけ医)です。定期的な健康診断を実施し、病歴や生活習慣などをふまえ、疾病予防やメンタルヘルスの問題を含む健康増進のための助言をし、継続的な健康管理をしてくれます。

また、発熱や腹痛など日常的な体調不良に関する診断と治療や、ちょっとした怪我の手当、糖尿病や高血圧、脂質異常症(高コレステロール)といった慢性疾患の対応などもしてくれます。一方、大きな病気が疑われる場合は、必要な検査や適切な専門医の受診を手配します。

ファミリードクター(家庭医)や内科医(18歳以上の患者対象)、子供なら小児科医がPCPとなるのが一般的ですが、米国では数多くのナース・プラクティショナー(NP)もPCPの役割を担っています。これは日本との大きな違いです。

ナース・プラクティショナー(NP)とは?

ナース・プラクティショナー(NP)は、医学知識や初期医療について訓練と実践を修了した看護師です。看護において修士以上の学位をおさめ、全米レベルのNP認定試験に合格し、州の免許を取得しています。日本にも診療にかかわる「診療看護師」という職種がありますが、米国では州によってより主体的に医療サービスを提供することができます。

例えば、ワシントン州、オレゴン州を含む西部を中心とした27州では、NPが独立して診断や治療、薬の処方を含め診療全般を行うことができるので、NPがPCPとして診療所を開業することもできます。

特定の業務に関してNPに医師との連携を義務づけている州や、南部を中心にNPは医師の監督や指示のもとでが診療すると定めている州もあります。そうした州ではプライマリケア医がいる診療所で、NPが一緒に診療にあたっています。

PCP(かかりつけ医療者)の選び方

それでは、一番身近な存在になるPCPをどのように選んだらよいでしょうか。

まずは、自分の加入している医療保険が使えるPCPを選ぶことが重要です。具合が悪い時に遠くまで運転していくのは大変なので、地理的な条件も考慮すべきかもしれません。

家庭医や内科医、NPの中から誰をPCPとして選ぶかは、個人のニーズと好みや相性によります。同性がいいという人もいるでしょう。

例えば、医師はより幅広い、高度な医療行為をするための教育と実務経験を積んでいるので、既往症や複数の慢性疾患を抱えているといった場合は、医師の方が良いかもしれせん。

一方で、NPは診療の予約が取りやすいことも多く、風邪や中耳炎などすぐに診てもらうには便利なことも。また、看護がバックグラウンドなので、親しみやすく、より患者に寄り添うケアが期待できそうだと考え、NPを選ぶ人もいます。

家庭以外のPCP

家庭医やNPは全世代の患者に対応しますが、子供には小児科医を選ぶ親もいるでしょうし、内臓疾患を持つ成人は内科医を選ぶのも良いでしょう。一方、思春期から出産年齢にかけての女性は、産婦人科医(OB/GYN【オービージーワイエヌ】)を含めてかかりつけ医にしたり、高齢者特有の健康問題が心配な人は老年科医(geriatrician)をPCPに選ぶ手もあります。

自分の加入している医療保険会社のリストで、自分のニーズに合ったPCPを探しましょう。多くの医療者は所属クリニックのウェブサイト等で、得意分野を含めた自己紹介を公開しています。自分が話しやすいPCPを選び、継続的な健康管理をお願いするのが、賢いプライマリケアへのかかり方だと思います。

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