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第5回 予防医学のすすめ。ワクチン接種とがん検診を忘れずに

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医療といえば、病気になった時に受けるものというイメージがあります。しかし、予防できる病気は事前に対策をとることで、身体的なつらさや、高い医療費に苦しむリスクを減らすことができます。予防の方が治療よりも費用対効果が高いので、米国では年一回の健康診断に加え、規定のワクチン接種やがんのスクリーニング検査などは医療保険でカバーされ、自己負担なしで受けられます。

目次

感染症と公衆衛生

空気感染する麻疹(はしか)は最強の感染力と言われますが、先進国ではワクチンのおかげでほぼ姿を消しました。米国も2000年に麻疹の排除宣言をしましたが、毎年、地域的な麻疹の集団感染の発生が増加しています。今年はテキサス州西部の小さな町から始まり、3月13日現在で、すでにワシントン州を含む15州とニューヨーク市で、合計301人の麻疹感染者が出ています。感染者のほとんどがワクチン未接種で、子ども一人が死亡し、大人一人も麻疹による死亡の疑いがあります。

また、今季は米国でもインフルエンザが猛威を振るい、疾病対策センター(CDC)では少なくとも52万人以上が重症化で入院し、2万2000人以上が死亡すると推計しています。感染症が地域に広がってしまうと、病院の対応能力がひっ迫したり、学校や職場の運営にも影響が出たりして、多くの人の日常生活を妨げてしまうことは、新型コロナウイルス感染症で世界中が経験しました。

ワクチンで予防できる病気

幸いなことに、麻疹をはじめワクチン接種で防げる感染症(Vaccine preventable diseases/PVDs)はたくさんあり、子どもは出生直後からさまざまなワクチンの定期接種スケジュールが決まっています。

主なものは、ジフテリア、百日咳、破傷風、ポリオ、MMR(麻疹、風疹、おたふくかぜ)三種混合、水疱瘡、ロタウイルス、B型肝炎などです。また、11歳頃から男女ともにHPVワクチンを接種しておくことは、女性の子宮頸がんだけでなく、男性に多い中咽頭がんなど、HPV感染を要因とするがんの予防に役立ちます。

米国では各州の法により、健康上の理由がある場合を除き、子どもたちが託児所や公立小学校へ入学する前に規定のワクチン接種を義務付けています。麻疹予防を含むMMRワクチンも米国全土で義務付けられており、2回接種で生涯にわたる麻疹予防の有効率が約97%だそうです。

しかし、近年では宗教や信条を理由として、子どものワクチン接種の免除を求めるケースが増加傾向にあり、麻疹の集団感染の発生要因となっています。感染症流行を抑制する「集団免疫」を期待するには、95%の子供たちがMMRワクチンを接種することが必要とされていますが、最近では90%前後まで下がってきている地域もあるそうです。

子どものワクチンについて詳しく知りたい方は、CDCおよび日本小児科学会のウェブサイトをご参照下さい。

大人にも必要なワクチン

大人になっても、毎年のインフルエンザやCOVID-19のワクチン接種は重症化予防に推奨されています。特にインフルエンザワクチンは、2歳から49歳の人であれば、自分でもできる鼻スプレー型のワクチン(FluMist)が登場しているので、注射が苦手な人には朗報ですね。

また、50歳以上の成人には、肺炎球菌ワクチンや帯状疱疹ワクチンも推奨されています。さらに60歳以上の高齢者や妊婦、新生児に対して、RSウイルス感染症で肺炎の発症リスクを下げるRSVワクチンも推奨されるようになりました。最後に、破傷風や百日咳などは、大人になってから追加接種が必要な場合もあるので、プライマリケア医や薬剤師に相談しましょう。

絶対に受けたいがん検診

がんのスクリーニング検診は、がんを早期発見するために行うものですが、予防を兼ねることができる検診があります。それは、大腸内視鏡による大腸がん検診です。

最近は50歳以下での大腸がん発症も増えてきたことから、米国では45歳から大腸内視鏡によるスクリーニング検診が医療保険でカバーされるようになりました。この検診では、大腸の中にポリープ等の異常がないかを医師が肉眼で見ることができ、ポリープがあった場合にはその場で切除することで、大腸がんに移行するのを予防できるのです。

がんは早期発見の方が治療が容易になります。上記の大腸がん検診に加え、米国の医療保険では、40歳以上の女性の乳がん検診(マンモグラフィー)、21歳以上の女性の子宮頸がん検診、50歳以上の喫煙者や喫煙歴がある人の肺がん検診、50歳以上の男性の前立腺がん検診を自己負担なしで受けることができます。プライマリケア医が手配してくれるので、相談してみましょう。

「FLATふらっと」は、日本語を話す医療者とともに在米日本人の健康をサポートしている501(c)(3)認定の非営利団体です。在米日本人でがんや自己免疫疾患を経験した方、シニアの皆さんが、日本語でおしゃべりや情報交換ができるオンラインサポート・ミーティングや、陰ヨガクラス、専門家による健康情報のウェブ講演などを実施しています。ボランティアも募集中です。お気軽にお問い合せ下さい。
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