冬の道路では、見た目には何の問題もないように見えても、危険な状態になっている場合があります。その一つが「ブラックアイス」(black ice)です。
ブラックアイスは、道路や歩道、ドライブウェイなどの表面にできる薄く透明な氷の層のことで、実際は透明ですが、黒いアスファルトと同じように見えるため、「ブラックアイス」と呼ばれています。車を運転している時に気づかずに走ると、スリップしたりしてとても危険です。特に夜は見分けるのが難しいので、天気予報などで「ブラックアイスの危険性がある」と見聞きしたら、気をつける必要があります。
ここでは、ブラックアイスについてまとめました。
もくじ
ブラックアイスの特徴
- 見えにくい性質
ブラックアイスは通常の氷と同じようにほぼ透明で、気泡が作られず、黒いアスファルトと同じように見えるのが特徴です。車を運転している時は、昼間でも夜間でも見分けるのは難しく、とても危険です。 - 発生条件
軽い凍雨(freezing rain)や雪が降った後、湿度が高く、気温が氷点下になるときに発生しやすくなります。特に早朝や夕方など気温が低くなる時間帯に多く見られます。 - よく見られる場所
橋や高架道路、日陰、水辺の近くなど、表面温度が低くなりやすい場所で発生しやすいです。
ライトで照らすと路面が光るので凍結していることがわかる場合もありますが、運転している時は特に、濡れているだけのように見えることがあります。
市や郡、州では、凍結をできるだけ防ぐよう、主要道路を防氷剤と塩で事前処理しますが、それでも完全に防ぐのは難しいことがあります。
また、主要道路ではない道路は自然に気温が上昇してブラックアイスが溶けるまで待つしかないことも。出かけないといけない場合は、事前に道路状況を確認することをお勧めします。
ブラックアイスのメカニズム
ブラックアイスができるのは、次のような理由によります。
- 放射冷却
冬になると、夜間に地表から熱が放射されることで、路面温度が急激に下がります。この現象は特に晴れた夜に顕著で、特に早朝や夕方など気温が低くなる時間帯に多く見られます。 - 湿度と水分の影響
雨、霧、露、軽い凍雨(freezing rain)や雪が路面に残り、気温がほぼ氷点下まで下がると、これらの水分が凍結してブラックアイスを形成します。 - 周辺環境の影響
橋や高架道路は下部が空気にさらされているため、地面よりも冷えやすく、ブラックアイスが発生しやすい場所です。また、トンネルや森林に挟まれた道路、日陰や木々の影になっている場所では太陽の光があたりにくいので、氷が溶けずに残り、ブラックアイスになることがあります。
ブラックアイスに遭遇したら
米国農務省のフォレスト・サービスは、ブラックアイスに遭遇した時に事故を防ぐ方法として、次の事柄を挙げています。
- 冷静さを保ち、過剰に反応しないこと。
- 基本的なルールとして、できるだけ何もしないで車が氷の上を通り過ぎるのを待つことが重要。
- ブレーキから足を離し、ハンドルをできるだけ直進状態に保つ。
- 可能であればギアをシフトダウンする。
- もし車の後部が左右に滑り始めた場合は、滑っていく方向に非常にわずかにハンドルを切る。逆方向にハンドルを切ろうとすると、スリップやスピンを引き起こすリスクがある。
- 慎重に運転する
スピードを落とし、急ブレーキや急なハンドル操作を避ける。 - ヒントを探す
他の車が滑っている場所や、路面が不自然に光って見える場所に注意してスピードを落とす。 - 準備を整える
冬用タイヤを装着し、ブレーキや車両を事前に点検する。
日本で「ブラックアイスバーン」と呼ばれる理由
ブラックアイスは、日本では「ブラックアイスバーン」と呼ばれます。これは、日本語特有の外来語の組み合わせです。
- ブラック
英語の “black” です。アスファルトの黒色のことです。 - アイスバーン (eisbahn)
ドイツ語で「氷の道」を意味しています(bahnは「道」「コース」の意味)。スキーや氷上の用語として用いられることが多く、日本では「アイスバーン(氷の道)」として広く使われています。
このように、英語の「black」とドイツ語の「eisbahn(氷の道)」が組み合わさり、日本語では「ブラックアイスバーン」として定着しています。