アメリカの「スクール・ゾーン」(School Zone)とは、小学校や中学校、高校などの周辺区域で、子どもたちの安全を守るために特別な交通規制が設けられているエリアのことです。
スクール・ゾーンでは、通常、登下校などの時間帯に速度制限が厳しく設定されており、ドライバーは特に注意し、その速度以下で運転する必要があります。スクール・ゾーンの速度制限は一般的に時速20マイル(約32キロメートル)に定められており、標識や警告灯が設置されています。
スクール・ゾーンの特徴とルール
- 速度制限:スクール・ゾーンでは、通常の道路よりも低い速度制限が設定されています。警告灯が点滅している(flashing)時間帯や登下校の時間帯には、特に速度制限が厳格に適用されます。
- 標識:スクール・ゾーンには、写真(上)のような標識が設置されています。標識には『SCHOOL』や『SCHOOL ZONE』といった表示があり、制限速度などが記載されています。
- 時間帯:通常、登下校の時間帯になりますが、いつが登下校の時間帯なのかわかりづらいため、警告灯が点滅するようになっています。また、”WHEN CHILDREN ARE PRESENT” は「子どもたちの登下校の時間帯」という意味で、学校の授業時間帯という意味ではありません。
- 歩行者優先:スクール・ゾーンでは、子どもたちや学校関係者の横断が予想されるため、歩行者優先のルールが厳しく適用されます。
- 罰則:スクール・ゾーン内での速度違反やその他の交通違反は、通常よりも厳しい罰則が科される場合があります。罰金が高額になることが一般的です。
スクール・ゾーンの時間帯 “WHEN CHILDREN ARE PRESENT”
スクール・ゾーンの標識には、”WHEN CHILDREN ARE PRESENT” と書かれているものがあります。これは通常、「子どもたちの登下校の時間帯」という意味ですが、一般的には次のような時間帯が想定されています。
- 登校の時間帯:午前7時から午前9時の間。子どもたちが登校する時間帯です。
- 下校の時間帯:午後2時から午前4時の間。子どもたちが学校から帰宅する時間帯です。
- 学校の特別行事やイベントの時間:運動会や放課後の活動など、学校が定める特別な時間帯にもスクール・ゾーンの規制が適用されることがあります。
- 警告灯の点滅:多くのスクール・ゾーンでは、警告灯が点滅している時間帯が速度制限の時間帯となります。この警告灯が点滅している場合、たとえ上記の時間外であっても、スクール・ゾーンの規制が適用されることがあります。
具体的な時間帯は州や地域によって異なるため、運転する際には、標識や警告灯の指示に従うことが重要です。正確な時間帯を確認するには、地元の学校や交通管理局の情報を確認しましょう。
スクール・ゾーンでの速度違反取り締まり
スクール・ゾーンにカメラが設置されている場合、ドライバーが速度制限を超えたスピードで走り、スクール・ゾーン内で点滅している警告灯の前を通過すると、カメラが作動して車両の後部の写真を撮影し、違反の瞬間を短いビデオに記録します。その際、車両の速度も表示されます。
警察はこの記録を確認し、違反と判断された場合、車両の登録所有者に違反通知書が郵送されます。
このようなカメラを使った取り締まりシステムに加えて、警官もスクール・ゾーン内で速度違反のドライバーがいないか巡回することがあります。
米国運輸省(USDOT)によれば、このようにスピード違反の取り締まりにカメラを使うことで、事故を50%以上減少させる可能性があります。
スピード違反のリスク
当然ながら、スピード違反は非常に危険です。道路交通安全局(NHTSA)によると、2022年のスピード違反による死亡者数は12,151人、負傷者数は推定300,595人でした。スピード違反による死亡者数は2022年にわずかに減少しましたが、依然として全交通事故死亡者の約3分の1にあたる29%がスピード違反が原因で亡くなっています。
また、スピード違反というと高速道路を思い浮かべるかもしれませんが、NHTSA によると、2022年に報告されたスピード違反による交通事故の87%が高速道路以外の道路で起きたことがわかっています。
車のスピードは、歩行者が重傷や死亡するリスクに大きく関係しています。AAA 交通安全財団の調査によると、時速20マイル(約32km)で走行する車両に衝突された歩行者は、時速30マイル(約48km)で衝突された歩行者に比べ、死亡する確率が約3分の2低くなります。