10月の第2月曜日は、連邦祝日のコロンブス・デーです。イタリア人のクリストファー・コロンブスによる最初の航海を記念し、イタリア系アメリカ人の貢献を讃える日で、1968年にリンドン・ジョンソン大統領が『コロンブス・デー』を連邦祝日にする法案に署名し、1971年に連邦祝日となりました。
会社は休業?
日本の「国民の祝日」とは異なり、州や地方自治体、民間企業にはすべての連邦祝日を祝日とする(有給休日とする)義務はないので、それぞれで決めることができます。
コロンブス・デーは連邦祝日の中でも特に一貫性のない日の一つです。連邦職員は有給休日となり、郵便配達もありません。連邦機関が休業するため、債券市場や多くの銀行も休業します。しかし、株式市場は通常通りで、大多数の小売店や企業も営業します。また、ほとんどの学校は休校になりません。
そもそも賛否両論のある日
1492年にスペインを出港して西へ向かったコロンブスは、同年10月12日に現在のバハマ諸島に到着したことで知られています。しかし、コロンブスの生涯についての研究が進み、現地人を奴隷にしたり虐殺したりしたことや、ヨーロッパから探検家や入植者が来て権利を主張するはるか昔から先住民が住んでいるという事実に対する認識が深まるにつれ、Indigenous Peoples’ Day(先住民の日)や Native American Day(アメリカ先住民の日)を正式に制定することを求める運動が活発になりました。
そして、州や市が「先住民の日」を制定し始めました。先住民が人口の推定約8.5%を占めるサウスダコタ州は、1990年にこの日を「アメリカ先住民の日」に制定した最初の州と考えられています。(2023年国勢調査)
2024年の先住民の日(Indigenous People’s Day)は30州で認められており、3州とワシントン D.C. が州の祝日として制定しています。(Time and Table)
市の行政レベルでは、シアトルを含む130以上の市が「先住民の日」を祝っています。シアトルでは、2014年にこの日を「先住民の日」としても祝うことをシアトル市議会が満場一致で可決され、当時の市長が署名して成立しました。この日、シアトルでは、ダウンタウンやディスカバリー・パークにあるデイブレイク・スター・インディアン・カルチュラル・センターなどで、さまざまなイベントが開催されます。
ワシントン州にも先住民の部族が多く住んでいますが、州としてコロンブス・デーを祝日に定めておらず、コロンブス・デーを先住民の日に変更するということもしていません。(ワシントン州法参照)
バイデン大統領、アメリカ合衆国大統領として初めて「先住民の日」を宣言
2021年10月8日、バイデン大統領はアメリカ合衆国大統領として初めて、10月第2月曜日を Indigenous Peoples’ Day(先住民の日)と宣言しました。
先住民の日は、後にアメリカ合衆国が建国される土地を含むアメリカ大陸の最初の住民は先住民であることを認める日です。
バイデン大統領はこの宣言書で、「何世代にもわたり、連邦政府は組織的に先住民を同化させ、追放し、先住民の文化を根絶しようとしてきた」「今日、私たちは先住民の回復力と強さ、そして彼らがアメリカ社会のあらゆる側面に与えてきた計り知れないポジティブな影響を認識する」と述べています。
また、バイデン大統領は、米国議会で定められたコロンブス・デーについての宣言も行いました。この宣言書では、イタリア系アメリカ人のアメリカ社会の伝統と文化を豊かにし、貢献し続けていることを称賛する一方で、コロンブスをはじめとする同時代の探検家たちがアメリカ大陸にもたらした害悪についても言及しています。
「今日、私たちは、多くのヨーロッパ出身の探検家が部族国家や先住民のコミュニティに与えた過ちと残虐行為の痛ましい歴史を認識している。過去の恥ずべき事実を埋もれさせず、正直に向き合い、明るみにし、できる限りの対策を講じることは、私たちの国家としての偉大さを示すものだ。西部開拓は先住民のコミュニティに、暴力、部族の強制移動と土地の盗用、病気の持ち込みと蔓延など、荒廃の波をもたらした。 この日、私たちはこの痛ましい過去を認識し、先住民のコミュニティに投資し、部族主権という厳粛で神聖な約束を守り、すべての人々の尊厳、敬意、正義、機会を中心とした明るい未来を追求することを決意する」
2024年時点で Indigenous People Day は連邦祝日になっていません。