夏場はお肌が汗でべたべたしたり、知らず知らずテカったり。でも、「ちょっと外に出るだけで汗が出るから、水分や皮脂でお肌が潤ってる」と思ってはいませんか？ところが、夏の肌は肌の内部が乾燥するインナードライ肌になりやすい原因がいっぱいなんです！
シアトルの夏は、気温もそう高くならず、湿度も低いので、生活する上では大変過ごしやすいのですが、お肌のことを考えると、バリア機能が低下しやすく、乾燥肌によるトラブルを起こしやすい時期とも言えるのです。
ですから、夏の間は特に紫外線対策と保湿ケアを丁寧にして、肌本来のバリア機能が低下しないよう保湿ケアをいたしましょう！
バリア機能ってなに？
お肌の一番上にある「角質層」という膜が、皮膚に触れる全ての物から体を守り、また、内部の水分が外へ蒸発しないように守る働きをしています。これが「バリア機能」です。
体内に異物が入るのをブロックしたり、細菌やウイルス等の侵入を阻止したり、紫外線によるダメージを防ぐ働きもあります。私達が海に入っても塩漬けにならないのは、このバリア機能のおかげ。
夏はどうしてバリア機能が壊れやすいの？
健康な角質層は自分で保湿成分を作り出しているため、約20～30%の水分を含んでいます。この水分量が低下した状態が「乾燥肌」です。
特に、空気中の湿度が50%以下になると、角質層の水分が急激に蒸発しやすくなり、肌が突っ張るなどの自覚症状があらわれます。そうなったときは、肌の水分量は10%以下になっていることも。
特に夏は他の時期に比べ洗顔の回数が増えたり、紫外線やクーラー等の影響で乾燥肌になりやすく、バリア機能も低下します。また、食生活が乱れ、冷たい飲み物をたくさん飲むことで、栄養不足や血行不良に陥り、お肌のターンオーバ−のサイクルも乱れます。すると、古い角質が蓄積して分厚くなり、毛穴のつまりや乾燥にきび（大人にきび）に悩まされることに。
お肌の乾燥によってバリア機能が低下すると、紫外線のダメージもダイレクトに受けることになって、水分、油分のバランス、弾力やきめ等にも影響が出てしまいます。その結果、シワ、シミ、たるみなど、私たちが避けたい老化が進んでしまうことになるのです。
保湿ケアはどうして大事なの？
そこで「保湿ケア」の出番です。人間本来の肌には水分維持の仕組みが備わっていますが、加齢などによって低下しているので、それを補ってあげる必要があります。それが保湿の目的です。
お肌の角質層の水分を守る保湿成分は3つ。「皮脂」「天然保湿因子」「角質細胞間脂質」で、角質層の水分のうち、80%以上は角質細胞間脂質（例セラミド）、16～17%は天然保湿因子が守っています。実は皮脂の果たす役割は2～3%と非常に低く、水分を守る力はあまりありません。ですから、化粧水が蒸発しないよう乳液や油分でふたをする＝保湿万全というのは実は間違いです。
お肌の乾燥を改善するためには、お肌の水分保持力を高めることがまず重要。セラミド、コラーゲン、ヒアルロン酸などはとても保湿に優れた成分なのでお勧めです。中でも角質細胞間脂質の「セラミド」はお肌の水分を包み込む性質があり、湿度が0%になっても、一度つかまえた水分を蒸発させない、まさに保湿のスペシャリスト。
もともと肌に存在するセラミドは加齢とともに減少しますが、化粧品やピーリングなどの角質ケアをすることで、少しずつ増やしていくこともできます。
以前、化粧水をたっぷりと使用する保湿方法が人気になったこともありますが、この方法は一時的に肌をぬらしているだけで、肌の水分を余計に蒸発させる可能性があり、お肌の保湿にはなりません。
今年からは、保湿成分を取り入れた美容液やクリームを使い、本格保湿ケアを行いましょう。
それと同時に、食事からも血流を促進し、代謝を高めていくことが大切です。
たんぱく質や良質なオイル（オメガ3系脂肪酸、オメガ6系脂肪酸を3:1の割合で摂取することが理想）、β カロチンやビタミン E を中心にビタミンやミネラルを積極的に取りましょう。
夏の乾燥肌ケア
- 皮膚表面の皮脂が減っている状態なので、洗顔のし過ぎに気をつけましょう。
- スキンケアは保湿効果の高いものをたっぷりと使用し、最後に油分のあるクリームや乳液を加えましょう。
- 通常のスキンケアにあわせて、マッサージをとり入れ、血行促進を心がけましょう。
- バリア機能が低下している時には、肌の刺激になりうる洗浄成分、香料、着色料、防腐剤には注意が必要です。シンプルな配合で作られたものや、無添加、低刺激表示のあるスキンケアコスメを選びましょう。
掲載：2016年7月 更新：2022年10月 情報提供：ワシントン州公認エステティシャン 坂上美豊