「その人らしく生きるのを助けるのが医療」をモットーに、日米の医療のさまざまな違いをわかりやすく解説します。
渡米するにあたり、日本の薬局で常備薬を買ってきた(または、念のため、日本の医師に処方してもらった)けれど、いざ薬を服用しようと思ったら、有効期限が切れていたり、何の薬なのかわからなかったりして、困ったことはありませんか?
「Over The Counter(OTC)」 Drugs とは
ここアメリカでは、多くの薬を「Over The Counter(OTC)」Drugs(市販薬)として、ドラッグストアやスーパーの薬コーナーなどの店頭で購入できます。医療者からの処方箋が必要な処方箋薬(Prescription Drugs)とは異なり、誰でも買うことができます。薬局にはほとんどの場合薬剤師が常駐していますので、症状に対して適切な薬の選択や、初めて使う薬の効果、副作用などについて無料で相談できます。保険料や処方箋薬の自己負担額が上昇した影響により、近年、OTC 薬の消費が増える傾向にあると言われています。
ブランド医薬品(先発医薬品)とジェネリック医薬品(後発医薬品)
OTC 薬を含め、一般に医薬品には、その薬を開発した製薬会社が販売する「ブランド医薬品(先発医薬品)」と、ブランド医薬品の特許期間が終了した後に、ほかの製薬会社によって販売される「ジェネリック医薬品(後発医薬品)」があります。
- ブランド医薬品(先発医薬品)とは
製薬会社は、様々な実験や試験を実施して新薬を開発します。さらに、開発した新薬の安全性や有効性を証明するために必要なテストを、繰り返し行います。そのため製薬会社は、新薬の開発プロジェクトに多額の資金を投じることになります。
製薬会社は、開発で得たそれらのデータをもとに米食品医薬品局(FDA)に新薬の認可申請をし、FDA から承認を得られれば、その新薬を発売できます。新薬の発売後、特許期間中は、新薬を開発した製薬会社がその薬を独占して販売できます。そうした薬のことを、ブランド医薬品(先発医薬品)と呼びます。
- ジェネリック医薬品(後発医薬品)とは
ブランド医薬品の特許期間が終了し、薬を開発した製薬会社に独占販売の権利がなくなると、ほかの製薬会社もその薬と同じ有効成分を使用した医薬品を製造して販売できるようになります。こうした薬のことを、ジェネリック医薬品(後発医薬品)と呼びます。
ジェネリック医薬品は、ブランド医薬品よりも開発費が少なくてすみます。そのような事情が価格に反映されるため、ジェネリック医薬品は、ブランド医薬品よりも販売価格が安価になります。
- ブランドとジェネリック、ちがいはあるの?
薬には、「有効成分」とそれ以外の「付加成分」が含まれています。ブランド医薬品とジェネリック医薬品は、「有効成分」は同じですが、この「付加成分」の異なるものが多いです。しかし、「付加成分」は薬の効能・効果に影響を及ぼさず、体にも安全です。よって、ブランド医薬品とジェネリック医薬品の効能・効果と体に対する安全性は、同じと考えてよいのです。
たとえば、解熱・鎮痛薬の「Tylenol(タイレノール)」という製品は、アセトアミノフェンが有効成分です。この場合、「タイレノール」がブランド医薬品、アセトアミノフェンを有効成分とした解熱・鎮痛薬がジェネリック医薬品となり、後者の方が割安で購入できます。
OTC 薬を使用するときの注意
OTC 薬を使用する際は、必ず説明書を読み、用法・用量を守りましょう。使用する人がアレルギー体質である場合、あるいは別の薬と併用する場合などは、命に関わる状態を引き起こす可能性もあります。また、特に7歳以下の乳幼児や妊娠中の方などは、使用する前に医療者に相談することをおすすめします。
OTC 薬の説明書の読み方
薬を使用する前は、パッケージに書かれている説明書きや同梱されている能書を読みましょう。また、薬を使用していて、指定された使用期間を過ぎても症状が改善しない場合は、医療者に相談することをおすすめします。パッケージにある注意書きの読み方の例です。
Active Ingredient | 有効成分の含有量およびその働き |
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Uses | 効能・効果 |
Warnings | 使用上の注意 |
Allergy alert | 考えられるアレルギー反応 |
Stomach Bleeding warning | 胃から出血する可能性がある |
Do not use | この薬と併用してはいけない薬 |
Ask a doctor before | 使用前に医療者に相談する必要ある |
When using this product | いつ使用するか |
Stop use and ask a doctor if | 次の症状が出たら使用を中止し、医療者に相談 |
Directions | 用法・用量 |
Other Information | 保存および取扱いに関する注意など |
Inactive Ingredients | 有効成分以外の成分 |
詳しい情報は FDA のサイトをご参照ください。
薬やサプリメントの情報を調べるのに便利な連邦政府機関のサイトです。
>> A service of the U.S. National Library of Medicine National Institutes of Health
掲載:2014年12月 情報提供:youcocare 看護師 岡本 優子さん
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