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第1回 ガイドドッグ(盲導犬)パピー育成ボランティア

執筆者:ナオミ・シェラー

兵庫県神戸市出身。1998年にシアトルへ。Guide Dogs for the Blind の盲導犬パピー育成 『Puppy Raiser』(パピー・レイザー:PR)のボランティアをライフワークにしている犬好きです。

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日本からシアトルに移り住み、その時に連れて来た甲斐犬が16歳で亡くなりました。悲しくて、「もうペットは飼えない」という状態が5年続きましたが、生まれた時から犬と一緒だった息子が「また犬を飼いたい」と言い出した時に見つけたのが、Guide Dogs for the Blind の盲導犬パピー育成 『Puppy Raiser』(パピー・レイザー:PR)ボランティアでした。

盲導犬の子犬を育てるボランティアとの出会い

ガイドドック(盲導犬)のパピー育成ボランティアは、生後2ヶ月のパピー(子犬)を協会から委託され、15ヶ月位まで育てます。立派に成長したパピーを送り出すことは寂しいですが、「これなら愛犬との死の別れの悲しみはないはず」と、このボランティアに登録しました。これは息子の高校のシニア・プロジェクトにもなりました。我が家はその後もずっとこのボランティアをして、今までに6頭の犬を育成してきました。

アメリカの盲導犬育成システム

盲導犬になる訓練を受けるパピーは、Guide Dogs for the Blind のカリフォルニア協会本部で繁殖された特別な子犬です。犬種は、ラブラドール、ゴールデンリトリバー、そしてその二種のクロスの3つ。優秀なパピーといっても、やはり子犬は元気で、やんちゃです。

育成中は、クラブ・リーダーと協会の方針に従い、月に2、3回のミーティングや犬を連れて公共の場へ出かけるアウティングに参加します。こういったことは、一般犬を飼う時にも貴重な体験となることばかりです。

パピーの社会化のため、スーパーマーケットにも、図書館にも、劇場にも、そして交通機関にも、できるだけ一緒に連れて行きます。

その時は盲導犬パピー訓練中であることを示すパピー・コートを着せるので、たいていの場所に連れて入ることができます。 

パピー時代からたくさん経験をたくさん積んでいるため、協会に戻ってからの本訓練はわずか3ヶ月で済みます。

大型犬は1年経つと体重60パウンド(約27キロ)くらいに育つので、育成中に2、3回は審査(Evaluation)があります。成長したパピーは協会に戻り、8段階の本訓練を受け、最終段階では視覚障害の方とキャンパスで2週間にわたる合同訓練を行います。それをすべて修了すると卒業となり、ユーザーの元へ旅立ちます。卒業式にはパピー・レイザー達も招かれ、自分達が育てたパピーをユーザーに手渡します。ボランティアとしての達成感は、この瞬間が一番大きいものだと思います。

ただし、すべてのパピーがガイドドッグになれるわけではありません。訓練を始める前の健康診断や訓練を受けている間の審査で不適格になる場合もあるので、最終的にガイドドッグになれるのは訓練を受けた犬の50~70%ぐらい。ガイドドッグになれなかった犬はキャリアチェンジ犬になり、他の仕事に就いたりします。パピー育成ボランティアが望めば、ペットとして迎えることができます。

我が家の場合も、担当した6頭のうち、ガイドドッグになったのは1頭のみ。4代目は我が家の子になり、キャリアチェンジでセラピー犬となっています。

次回からは犬との暮らしについて具体的なお話をしたいと思います。

※このボランティアの良い点
医療費は Guide Dogs for the Blind が負担します。ボランティアは食事とおもちゃのみ負担します。旅行の時などはクラブのメンバーが責任を持って預かってくれます。 

※パピーレイザー募集中
ガイドドッグでは、いつでもパピーレイザーを募集しています!興味のある方はぜひお問い合わせください。地域のクラブを紹介してくれますよ。

参考になるウェブサイト

Guide Dogs for the Blind
www.guidedogs.com

日本の身体障害者補助犬についての最新情報は厚生労働省の公式サイトなどで確認できます。2003年から公共施設・交通機関、スーパーマーケットやレストラン、ホテルなどにも同伴できるようになりました。「身体障害者補助犬を見かけたら」「身体障害者補助犬の受け入れについて」もご一読ください。

日本盲導犬協会
www.moudouken.net

盲導犬の里 富士ハーネス(日本で唯一の常時見学可能な盲導犬訓練施設)
www.moudouken.net/fuji-harness/

関西盲導犬協会(盲導犬クイールのふるさと)
kansai-guidedog.jp

おすすめの書籍

日本で盲導犬ボランティアをしている友人が出版しました。

掲載:2014年4月 更新:2021年8月

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