執筆者:ナオミ・シェラー
兵庫県神戸市出身。1998年にシアトルへ。Guide Dogs for the Blind の盲導犬パピー育成 『Puppy Raiser』(パピー・レイザー:PR)のボランティアをライフワークにしている犬好きです。
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最終回の今回は、犬との旅についてお話したいと思います。
犬との旅は、本当に楽しめるのでしょうか?それは、幼い子供連れでの旅と共通点があるように思います。日程、乗り物、宿泊、食事 観光、遊ぶプランについては、大人である自分中心ではいけません。
束縛が多少あったとしても、子供との旅は、後で振り返ると良い思い出になり、子供の笑顔を見ると「一緒に来てよかった」と思わずにいられません。
犬との旅も これとまったく同じ気持ちになります。
まずは、犬連れの旅に出る前に、じっくり下調べしましょう。AAA (米国自動車協会)の PetSpot や本も参考にして下さい。
今回は『Happy Dogs ワン友の会』のメンバーにも体験談等をいろいろお聞きしました。
宿泊
ペットの同伴が可能な宿泊施設はいろいろありますが、必ず電話で確認しましょう。ウェブサイトにある記述から方針が変わっていたり、犬の大きさによって受け付けてもらえないことがあります。
B&B などは個人宅ということもあって、ほとんどが「ペット不可」ですが、オーナーが動物好きということで、ペット同伴で泊まれるところも多少はあります。ワシントン州のポート・タウンゼンドなら Palace Hotel、サンファン・アイランドなら Tucker House Inn がそうです。ペットの宿泊料金は通常20~50ドルですが、Motel 6 のように無料のところもあります。
また、飼い主が用事を片付ける間に犬を預けられる近所の犬のデイケア(一時預かり)を紹介してくれるホテルなどもあります。
犬連れで気楽なのは、やっぱりキャンプですね。国立公園はトレイルに犬を連れて入れないので、ハイキングなどをしたい場合は気をつけましょう。
また、ホテルでは「犬を部屋に置いたままにしないように」とあるので、食事やスパなどに行く時は不便です。
その点、カナダのウィスラーにある Nita Lake Lodge は、犬連れでも満足感が高いそうです。
食事
パティオなどに犬を連れて入れるレストランやカフェもあります。また、フードトラックやルームサービスも便利ですね。テイクアウトした食事を部屋で食べるのも良いです。
環境が変わったりすると食べなくなる犬もいるので、好きなおやつやサプリメントなどを余分に持って行きましょう。
乗り物
乗り物酔いをする犬には、近場の旅がおすすめです。休憩を一定間隔で取るようにしましょう。なお、犬を車の助手席に乗せるのは、やめましょう。
観光、アクティビティ
犬との旅は、アウトドア中心で、人と一緒に楽しめることが望ましいです。やはり、ハイキングや水泳などが最高ですね。
基本的には、車中で犬を待機させるのは、気候や盗難のことを考えると避けるべきです。やむを得ない場合は、安全度の高い駐車場所を選び、短時間に用事を済ませるようにしたいものです。
旅の途中や目的地でのドッグパークなどの情報も知っておけば、長い移動時間や待機のあと、犬が気晴らしに遊ぶこともできます。
ガイドドッグパピーを連れて旅をしたこともありますが、サービス犬はホテルもほとんど無料ですし、レストランや公共施設も同伴できるため、不自由を感じませんでした。
最近、ガイドドッグではないパークスを連れて初めてオレゴン州ポートランドに2泊で出かけた時は、Kennedy School Hotel に泊まりました。
ここは犬の大きさに関係なく、ペット宿泊料金が15ドルと良心的。部屋も大きく、フローリングでした。近くにはドッグパークがふたつもあり、食事はポートランド名物のフードトラックで楽しめました。
その他、毎年夏に、犬を連れてキャンプに行きます。野生動物や蚊のことも心配なので、犬もテントで一緒に寝ます。うちでは犬は家具に乗せないことに決めているので、人が同じ高さで寝ることが、パークスにとっては大喜びのイベントになります。
なお、旅先では、予防接種コピーや迷子札も持って行きましょう。
旅であっても、私は簡易クレートや短めのリーシュを持参します。人がゆっくり休みたくて、犬の様子をずっと見ることができない時に、犬も安全な状態で置いておけるからです。
確かにペット連れの旅だと「入れない場所」があったりと、ちょっと残念なこともありますが、犬は太古の昔から狩猟などで人のお供をしてきた動物です。現代社会の今でも、犬がお供できる旅は、まだまだあります。ぜひ、ご自分の犬にあった旅を探して、チャレンジしてみて下さいね。
この 『犬との暮らし』 連載エッセイも今回が最終回になります。
人に比べると、犬の寿命は本当に短いものです。「今日を生きる犬達」は、過去を後悔することも、老いを恐れることもありません。
あなたのもとで暮らすことを選んだのは、犬でなくあなたです。愛犬の生涯を「幸せな思い出」でいっぱいにしてあげてください。犬の喜びは、あなたにとっても十分に「幸せな思い出」になるはずです。
最後のご挨拶代わりに、私が主宰している 『ワン友の会』 で、2014年のプロジェクトとして、AKB48の 『恋するフォーチュンクッキー』 の Seattle ワン友 Ver を制作しましたのでシェアさせてください。
ワシントン大学の桜の季節からクリスマスまで、緑と湖に囲まれた美しいシアトルを、メンバーとワンコが楽しく踊りながらご紹介します。お楽しみいただければ幸いです。
参考サイト
Pet Friendly Travel Site
www.bringfido.com
Guide Dogs for the Blind(私がボランティア所属している盲導犬協会)
guidedogs.com
日本語サイト:犬旅
inu-tabi.com
日本語サイト:All About 犬との旅行準備と宿でのマナー
allabout.co.jp
掲載:2015年1月